日本のIPv6採用状況が50%を超えている件について

2024/11/23-1

Googleによる「IPv6の国別採用状況」で、日本のIPv6採用状況が50%を超えています。 日本国内ユーザがGoogleにアクセスする際に、半分以上のユーザはIPv4ではなくIPv6で通信を行っていることになります。


Google「IPv6の国別採用状況」より(as of 2024年11月)

IPv6の利用は増えている

IPv6の利用は、世界中で確実に増えています。 Googleの「IPv6の採用状況」によると、2024年11月19日は41.51%です。


Google「IPv6の採用状況」より(as of 2024年11月)

個人的な感想としては、かなりの勢いで普及しつつあると感じます。

IPv6の普及は、仕様が策定された当初は、なかなか進みませんでした。 IPv6の最初の仕様であるRFC 1883は1995年に発行されています。 もう30年近く前です。

IPv4アドレス在庫枯渇問題に対する長期的解決策としてIPv6仕様が策定されたものの、IPv6普及は進まず、短期的解決策として同時期に作られたプライベートIPv4アドレスとNAT(NAPT)が急激に普及しました。 昔は、「石油とIPv4アドレスは枯渇しない」といった意見も非常に多く(参考:2007年IW記事)、IPv6が生まれた前提となるIPv4アドレス在庫枯渇そのものも疑われていたという背景もありました。

IPv6普及が進み始めたのは、実際にIPv4アドレス在庫が枯渇してからです。

2011年2月3日に、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)によるIPv4アドレスの中央在庫が枯渇しました。 1990年代から懸念されていたIPv4アドレス在庫枯渇ですが、NATによるIPv4アドレス利用効率化が非常に強力だったので、2011年まで保ったとも言えそうだと個人的に考えています。

IPv4アドレス中央在庫が枯渇した時点での、Googleの「IPv6の採用状況」によると、2011年2月2日時点における世界全体でのIPv6採用状況は0.18%です。 インターネットトラフィック全体から見ると、2011年時点でのIPv6トラフィックは非常に少ないものでした。

その後、時間をかけて少しずつIPv6の普及が進んでいきました。 IPv4とIPv6の間には直接的な互換性はないので、それまでIPv4によって世界中に拡大していったインターネットという世界規模のネットワークに対して新たにIPv6という仕様での通信を行えるような環境を整える、または追加するには、やはり時間と労力がかかる作業なのだと思います。

国別採用状況50%超え

2024年11月現在、Googleが公表する国別採用状況が50%超えとなっているのは、以下の通りです。

フランス76.89%
ドイツ75.52%
インド70.55%
マレーシア68.57%
ギリシア61.78%
サウジアラビア61.69%
ベルギー61.52%
ベトナム56.07%
グアテマラ55.24%
台湾54.76%
ハンガリー53.62%
ウルグアイ53.04%
ロシア51.2%
プエルトリコ51.08%
日本50.7%
メキシコ50.46%
ブラジル50.4%

サーバ側のIPv6対応が行われているのかどうかによって、ユーザの行う通信がIPv4で行われるのか、それともIPv6で行われるのかが変わるため、Googleが公表するデータのみを参考にしつつ、該当する国内においてIPv6でのトラフィックの方が多いとは必ずしも言い切れません。

しかし、たとえば、いまどきはGoogleとの通信を一切行わないユーザは多くないと推測すると、Googleとの通信の約77%がIPv6によるものであるフランスでは、77%のユーザはIPv6での通信が可能となる環境でインターネット接続を行っていると推測できそうです。 そういった環境で、WebサーバをIPv6対応すれば、もしかしたらIPv4よりもIPv6でのアクセスの方が多くなるのかも知れません。

「IPv6とIPv4を比べると、IPv4の方がトラフィックが少ない」という環境が、これから増えていく可能性を感じます。

2018年と2024年の違い

2018年に行った講演資料で、当時のIPv6採用状況について紹介していました。 過去の自分の発表資料を見ると、IPv6普及が徐々に進んでいることを実感します。


Google「IPv6の採用状況」より(as of 2018年8月)

Google「IPv6の国別採用状況」より(as of 2018年8月)

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