SRv6を活用し、リンクローカルIPv6アドレスだけでバックボーンのルーティング - Interop ShowNet 2022
今年のShowNetバックボーンの面白いところは、バックボーンネットワークのデータプレーン用ルーティングがグローバルIPアドレスを使わずに実現されていることです。 SRv6を活用したIPv6 onlyのバックボーンネットワークです。
IS-ISを使ってリンクローカルアドレスだけのルーティング
一般的には、OSPFだとルータIDが必要なので、そのためにループバックアドレスを用意してそこにグローバルIPv4アドレスを設定するといった運用が多いと思いますが、今年のShowNetではIS-ISを使ってグローバルIPアドレスなしでデータプレーン用のルーティングを行っています。
各バックボーンルータは、ルータが立ち上がると同時に自動的に設定されるリンクローカルIPv6アドレスを使ってIS-ISでのルーティングを行います。 各バックボーンルータは、リンクローカルIPv6アドレスのインターフェース識別子としてModified EUI-64を利用する設定にしてあるため、ルータを再起動しても各ネットワークインターフェースには、再起動前と同じリンクローカルIPv6アドレスが設定されるようになっています。
OSPFを使ったIPv4とIPv6のデュアルスタック環境構築のために、これまでは、OSPFv2による経路を作ってから、OSPFv3による経路を作るという作業が必要だったのですが、今回はそれと比べると非常に楽になったとのことでした。 今回は、IS-ISを有効にした状態でIPv6をenableするだけで、neighborが上がっていくという感じだったようです。
さて、そうするとルータのどこでグローバルアドレスがあるのかという話もあるわけですが、default面のloopbackに、RRとMP-BGPをはるために/128のglobal unicastをつけているとのことでした。
出展者向けトラフィックはSRv6で
バックボーンのデータプレーンはIPv6 onlyで運用されていますが、出展者向けにインターネットとの接続サービスは必要です。 そこで、出展者向けのサービストラフィックはover SRv6で実現されています。
今回のShowNetでは、IPv4は全てのトラフィックがover SRv6で、IPv4はSRv6のEnd.DT4というVPN End functionが使われています。
IPv6もサービストラフィックは全てover SRv6で、SRv6のEnd.DT6というVPN End functionが使われています。
さらに、Segment RoutingのFlex Algoという、ひとつのIGPドメイン内で複数のトポロジごとに最短経路を計算できる技術を使ってサービストラフィックと、5Gのトラフィックなどを分けるといった運用も行われています。
マネージメント用にはIPv4アドレス
リンクローカルIPv6アドレスのみでルーティングを行なっている、という説明を受けると、「あれ?管理や監視などのマネージメントはどうやっているのだろう?」という疑問が浮かびます。
そこで、質問してみたところ、それぞれのバックボーンルータは、マネージメント用の別セグメントに接続しており、そこではプライベートIPv4アドレスを使っているとのことでした。
今回のデモは、バックボーンをIPv6 onlyにしたうえで、Next Hopとして利用されるのがリンクローカルIPv6アドレスという形にすれば、データプレーンのためにはIPv4だけではなくIPv6もグローバルアドレスなしでルーティングを行えることが示されたデモと言えそうです。
しかし、マネージメント用には何らかの工夫が必要という点も今回のデモの面白さかも知れません。
とはいえ、データプレーンだけでもグローバルアドレスゼロという運用は非常に面白いと思いました!
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