日本のインターネットも月末に向けて「ギガが減る」
一部界隈で「ギガが減る」という表現が話題です(参考:若者はみんな使っている?謎のワード「ギガが減る」とは)。
「ギガがない」「ギガが回復した」「ギガが限界」「ギガがやばい」といった表現をTwitterなどで発見することもできます。データの単位を示すギガバイトのうちの「ギガ」という部分が何故か物のように表現されており、なかなか破壊力が大きい衝撃的なパワーワードです。
最近話題になっているのは「ITに詳しくない人々が使う変な表現」という面白ワードとしてですが、そういった表現が、実は日本のインターネットトラフィックの傾向を示すものになりつつあると言えてしまうのかも知れません。
IX事業者が見る「ギガが減る」
インターネットマルチフィード株式会社の吉田氏が2016年のIP Meetingで発表した「2015年インターネット運用動向」(PDF)の中で、次のように月初めから月末にかけてトラフィックが落ち込んでいく様子が紹介されています。
「2015年インターネット運用動向」より
なお、月末に向けてトラフィックが減少していき、月初めにトラフィックが急激に増えるという傾向が顕著なのは、NTT docomoとKDDI auです。ソフトバンクは月初め、10日、20日に締めがあるので、そこまで露骨な傾向にはなってないようです。
「2015年インターネット運用動向」より
コンテンツ事業者の観測結果としても
このような「ギガが減る」という日本のインターネットトラフィックの傾向は、TwitterやSpotifyなどのコンテンツ事業者によっても観測されています。
2017年6月16日に行われたBBIX BGP MeetingでのSpotify発表には、日本ユーザに対して提供する通信サービス品質に関して、次のようなグラフが含まれていました。
このグラフでは、線が下の方にあるほど品質が高いとされていますが、上の青い線がフィリピン、真ん中の紫色の線が日本、一番下が米国です。 米国は安定して品質が高い一方で、フィリピンは通信品質が安定しません。 日本は、月初めは米国並みの通信品質を実現していますが、月末が近づくにつれて通信品質が落ちていきます。
増え続ける移動通信のトラフィック
総務省は、2009年より毎年2回「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」を公表しています。
2017年2月に公表された「2016年11月分」では、「我が国の移動通信の総ダウンロードトラヒックは前年同月比31.0%増」とあります。 移動通信も新たに計測を行うようになったのは2011年からですが、集計開始後、毎回移動通信によるトラフィックは増え続けています。固定通信は移動通信以上に増えていますが、そのうちの何割がモバイル機器からのオフロードであるかが気になるところです。
モバイルデータプランの「ギガ」が増量されるよりもさらに急激な勢いで動画などによる移動通信が増えることで、「ギガがなくなる」がより早く発生するようになると、月末に向けてインターネットトラフィックが減少する傾向は、いまよりもさらに顕著になる可能性がありそうです。「ギガが減る」は、日本のインターネットに与える影響は、さらに増えていくのかも知れません。
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