IPv6本を書きながらネットワークエンジニアではない方々向けのIPv6勉強会をやって思った、IPv4とIPv6の大きな違い
無償で読めるIPv6本を書き進めています。IPv6そのものを解説する方法をあれやこれやと試行錯誤しています。 あーでもない、こーでもない、という感じで二歩進んで一歩下がるような感じのときもあります。
その試行錯誤の一環として、ネットワークエンジニアではない方々向けのIPv6勉強会も行いました。 私は比較的、通信事業者どっぷりのコミュニティに入っていると言えますが、そこだけを見ていては、いま書くべきIPv6本は見えてこないのではないかと思って、ネットワークエンジニアではない方々向けの勉強会を主催しました。 実際はネットワークエンジニアの方々も多く参加されているようでしたが、そうではない方々も参加されていたので、IPv6勉強会に参加された方々の反応、質問、アンケート結果など、非常に参考になりました。 参考になると同時に、自分の説明方法で反省すべき点も新たに見えた部分もあります。
前提を無視して書いていたなぁと。
これまで、割とマニアックな部分の方が書きやすくて、IPv6そのものを解説する文章が非常に書きにくいと感じていました。 そのため、IPv6に付随する様々な話とか、IPv4とIPv6のデュアルスタック環境の話とか、そういう話の方が筆が進む傾向がありました。
その理由として、やっと何となく「これかも」と思えるようなものが見え始めてきました。 IPv4の解説を書くときには、無意識のうちに「インターネット」の解説であったり、「TCP/IP」の解説を行いがちですが、IPv6の解説を書くときには、「インターネットプロトコルバージョン6」のみの解説を書いた方が良いような錯覚が自分のなかにあったのかも知れません。
インターネットはIPv4を使って世界的なネットワークへと成長しました。 インターネットといえば、インターネットプロトコルです。 そして、TCPやUDPを含む表現である「TCP/IP」も、「インターネット」を解説するときに含まれることが多いです。
その一方で、IPv6は、IPv4が抱えているIPv4アドレス在庫枯渇問題の解決策として作られています。 IPv4で普及した「インターネット」に対して、新たな要素になるインターネットプロコトルのバージョン6であり、バージョン4とバージョン6が混在しているのが現状です。 IPv6そのものは、後から作られたものであるため、IPv6を解説するためにTCPやUDPをゼロから解説することが少ないのです。
IPv6に関して、語ろうとすると、IPv4との対比になりがちですが、それは、IPv4に関連する技術を理解している前提で解説してしまっているのです。 で、インターネットプロトコルのバージョン6に関してだけを説明しようと思うと、どうしてもバージョン4との違いという非常にマニアックな話になってしまいます。 つまらないんです。しかも、「わかる人にしかわからない」というダメなコンテンツになってしまうんです。
IPv6仕様に関して、RFCに書かれている仕様を説明するだけでは、単なるRFCの和訳以下です。 英語で書かれたRFC原本を読む方々向けにIPv6本を書いても意味がないのです。
で、色々考えていくうちに、IPv6だからといってインターネットの仕組みを省略して書いてないのが悪いのではないかということに気がつきました。 IPv6の本だけど、「インターネット」について理解できる本であれば、IPv4のことを知らなくてもIPv6に関して学べます。
IPv6とIPv4の大きな違いは、やはり、現時点ではIPv4が存在しなければ「インターネット」そのものが成り立ちにくいうえに、IPv6は後から出来たものであるという点です。 その解説文が、無意識のうちにインターネットプロトコルだけに寄りがちなのは、「インターネットの多くはIPv4で構成されている」という発想があったのかも知れません。
IPv6に関しての理解を広めるためには、インターネットバージョン6の話だけをするのではなく、「インターネット」に関して話から始めた方が良いんじゃないか。そんな気がしてきたのです。 そう考えつつ、いま、IPv6本で「インターネットの仕組み」からの解説を行うように内容を充実させはじめています。
読みやすいIPv6本を実現するための試行錯誤は続きます。
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