IPv6普及率が約50%のベルギー
世界で最もIPv6普及率が高いのがベルギーであると言われています。Googleが公表している国別IPv6普及率では48.1%とあります(2016年11月21日段階)。もう少しでIPv6普及率が50%を超えそうです。
世界全体でのIPv6普及率は、11月16日のデータでは11.83%です。米国が28.7%、日本が13.44%です。フランスが日本と同じぐらいで13.28%のようです。IPv6普及率が低い国もあります。たとえば、イタリアが0.91%、ロシアが1.42%、中国が0.22%です。
ベルギーのIPv6普及率が高い理由
ベルギーのIPv6普及率が、なぜここまで高いのかに関して推測している記事がNetwork Worldにあります。
その記事では、ベルギーIPv6協議会の共同代表の感想が紹介されています。明確にはわからないとあるものの、次のような理由があるのではないかとあります。
- 国土が狭く、人口が密集している。国民が約1100万人に対して、もっとも離れた場所同士で約240km(記事では150マイル)ぐらいしかない。そのため、ブロードバンド回線(ケーブル)がいたることころにある。
- 歴史ある大手企業であるProximus(旧Belgacom)以外のISPは、IPv4アドレス在庫が限界に近づいている。
- 警察や政府組織などとISPが交わしている"秘密の"覚書によって、 NAT/CGN(Carrier Grade NAT)で1つのIPv4アドレスに対して収容できるユーザ数が16に限られている。
- (これらの他にも、いくつか理由と思われるものが紹介されていますが、それらは割愛します。)
個人的な感想としては、やはりCGNの利用に対する制約が存在するのが大きいのではないかと思いました。CGNは、1つのIPv4アドレスで複数の顧客を収容することで、ISPが使うグローバルIPv4アドレスを節約できる仕組みですが、IPv4アドレス1つに対して収容できる顧客数が16に制限されてしまうと、節約可能なIPv4アドレス数も制限されてしまいます。
警察等がCGNでの収容ユーザ数の制限を求める理由としては、CGNによって多数のユーザが単一のIPv4アドレスに集約されたときに、記録されたIPv4アドレスのログを使ってユーザがオンラインでとった行動等の特定するのが困難になる可能性が高くなるという点があげられそうです。
IPv6の方が政府組織や警察等が各種ログから行動を把握するのに便利だろうと思うので、CGN利用の制限と同時にIPv6推進を行うのも合理的かも知れませんが、そこまで考えてCGNに対する制約を課しているのかどうかは不明です。
その一方で、CGNは機材および運用のコストがかかる設備であるため、できることならば導入を最小限に留めたいというネットワーク運用者の思惑もありそうです。
非常に当たり前のことではありますが、やっぱりIPv6の普及は、IPv4アドレスの不足が大きなモチベーションといえそうです。
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