「言いたいこと」をコンテンツ化するノウハウの有無
先日書いた「知名度ゼロからの「ネット影響力」獲得への道」から数ホップして、kanoseさんが以下のような記事を書いています。
おおむね賛成ですが、微妙に異なる意見も持っています。 私が当初前提としたのが、以下のような方々でしたが、
リアル世界で知名度があまりない人が、「宣伝に使えるのはネットしかないかも。だからネットで影響力が欲しい」みたいな方向で色々と考えていることがあります。たとえば、知名度がない企業が自社製品を宣伝する手段としてネットに着目している場合や、知名度がない個人がネットを活用してファンを増やしたいといった事例です。 個人であれば、マイナースポーツの選手であったり、作家を目指す人であったり、音楽家を目指す人であったり、アーティストであったり、フリーランスであったり、その他個人で活動を行うような場合が考えられます。
そういう方々って「言いたいことがない」わけではないんですよね。
多かれ少なかれ、人は誰しもが「言いたいこと」があるだろうと思うと、「言いたいことがない」のではなく、「自分自身が言いたいことを発見してコンテンツを作り上げるノウハウが無い」というのに近い気がしています。
多少前提がずれるのですが、たとえば、出版社のプロデュースのもと、お金を払って数回のインタビューに答えるとゴーストライターが本を書いてくれて、手軽に著者になれるというビジネスがありますが(「ブランディング出版」で検索してみてください)、それって社長とかの「言いたいこと」を書籍というコンテンツに仕上げてくれてるってことだと思います。
ブログだと、お金をかけて記事を書き続けるわけにはいかないのと、書籍と違ってブログを書くことそのものでステータスが得られるわけではないので、特殊な事例を除いては各個人が自力で「言いたいこと」を表現する文言を絞り出す必要があります。
ありきたりな内容の方がウケる
「言いたいことがある/ない」という話になると、その「言いたいこと」って何か高度な内容でなければならないというように錯覚しがちですが、実際は「言いたいこと」の中身がありきたりな内容である方が共感も得やすい傾向があると思います。
難しいのは、ありきたりな内容をいかにコンテンツとして成立させるかという部分であり、それを実現するのが「視点」であったり「切り口」であったりなのだろうという感じです。 多少極端でありつつも、骨子としては共感が得られるようなコンテンツがヒットしやすい気がしています。
コンテンツを「掘り出す」作業
これまで、色々な人のブログ記事執筆のためのブレストを無償で手伝ってきましたが、「何を書いてよいかわからない」という状況から脱するために、最初にするのは「あなたが何を書けるのかを一緒に探しましょう」という作業です。
具体的には、雑談をしながら、以下のようなことを目指します。
- 記事のネタとなりそうな案を会話から掘り出す(お酒を飲みながらなど)
- 第三者の目を意識した文章の補足提案(ここをもうちょっと解説してみてはどうですか?など)
- 基本的な用語などに関して質問
- 記事になりそうな要素を一緒に探す
- その人の専門性は何であるかを一緒に考える
- その人がしてきた経験で他の人がしてなさそうなことは何かを一緒に考える
- その人の最近の問題意識を質問してみる
- ネタ帳を持ち歩いて、何か思いついたら書き込むようにしてもらう
- ある程度骨子が思いついたら、タイトルのつけ方などを一緒に考える
- 場合によっては、「言いたいこと」を箇条書きにしてもらって、そこから文章案を作成
このときのポイントは、できるだけ相手にしゃべってもらうことです。 とにかく質問をして説明してもらいます。 その説明のなかで、さらにネタになりそうな話を質問したりしながら、私の手元の「○○さんネタ帳」を埋めて行きます。 場合によっては、相手が雑談している横で、そのままブログ記事案を書いてしまって、一緒に記事を作ってしまいます。
この他、ブログやサイトのユーザビリティを向上させたり、過去記事のアクセスログ解析等を通じてサイト読者の傾向などを一緒に考える場合もあります。 ネットウォッチをしていて、「あ、○○さんに関連しそうだ」というのを見つけたら、「これを元ネタにして文章書いたら面白いかも知れません」と伝えるようなこともあります。
そういった手伝いを繰り返して行くうちに、相手が徐々にコツをつかんで行って自分で文章を書けるようになることが多いのですが、慣れてくると「あー、こんなことすればよかったのか!目から鱗が落ちた」みたいな感想を頂くことがあります。 そういった感想の後に私が良く言うのが、「できることは全てやった、というのは、実はスタートラインに過ぎないことが多いんですよね」みたいな話だったりします。
ブログなどによる情報発信で壁にぶつかっているときの壁は、実は単なる自分自身の想像力の限界であるだけのことが結構多いと思う今日この頃です。
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