違法行為とWhois情報公開代行に関する研究
Whois情報公開代行といえば、今年4月に、日本国内から登録された.inドメイン名が大量に停止される事件がありました(参考:.inドメイン名停止とwhois公開代行)。 その事件と直接関係があるわけではないと思いますが、Whois情報公開代行に関する議論がICANNで行われ続けています。
先月24日に、ICANNのサイトで「Study on Whois Privacy & Proxy Service Abuse」に関するパブリックコメント募集が開始されました(10月22日まで)。 まだパブリックコメント募集の段階ですが、ICANNで公開されている調査結果は非常に興味深いものでした。
この調査は、違法行為等を行うドメイン名登録者と、一般的なドメイン名登録者で、Whois情報公開代行サービスを利用している割合に差があるかないかなどを調べたものです。 実際に電話をかけてドメイン名登録者にコンタクトが可能であるかどうかも調べています。
この調査の凄いところは、調べた数です。 たとえば、有名ドメインとの一文字違いドメイン名などの登録するTyposquattingドメイン名27053個のWhoisデータを調べています。 著作権侵害行為など、他にも様々なジャンルと同時に、合法的で無害なドメイン名のWhois情報も調べており、合計7万件以上のWhoisデータが調査されています。
調査結果
この調査の結果としては、違法行為等を行うドメイン名登録者の多くがWhois情報公開代行サービスを利用しているというものでした。
ただし、合法的な行為のためにドメイン名登録を行っている場合と比べて、違法行為等を行う場合の方が明らかにWhois情報公開代行サービスを利用していることは発見できなかったとしています。
当たり前な結果だとは思いますが、違法行為等を行うサイトはWhois情報公開代行サービスの他にも様々な手段で身元を隠しているとあります。 たとえば、存在しなかったり他人のものであるなど、偽の電話番号をWhoisに登録しているそうです。
最後に書かれているのが、Whoisに登録してある電話番号が正しい場合も多い一方で、合法行為か違法行為かに関わらず、そもそもコンタクト可能な電話番号がWhoisに登録されていないことが多いという点でした。
最近、Whoisに関する議論が盛り上がっていますが、こういった調査結果をうけて、どのような議論が行われるのかに興味がある今日この頃です。
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