GoogleがAAAA非表示リストを公開
GoogleがAAAA非表示リストを公開しています。 これらのIPv4アドレスからのIPv6に関する名前解決要求に対して、GoogleはAAAAレコードを返さない可能性があるとされています。 言い換えると、このAAAA非表示リストに掲載されているIPv4アドレスからはIPv6でGoogleと通信できない可能性があります。
なお、一般ユーザ視点で見た場合、このリストに自分が契約しているISPが掲載されていたとしてもこれまで通りGoogleとのIPv4での通信は行えるので、実際は大した問題にはならないとは思います。 「Googleとの通信でIPv6を使えなければ困る!」という場合には困りますが、これまではIPv4で通信が行われていたわけで、これからも今まで通りIPv4で通信が行えると思えば、あまり騒ぎ過ぎるような話ではないというのが私の感想です(このリストを見て一部で過剰反応が発生しそうな気もしているので念のため)。
このリストは昨日のGoogle公式ブログでリンクが張られています(「ほぼすべて」という単語の部分)。 ただ、リストそのものは数日前から公開されており、TwitterやFacebook上でジワジワと拡散していました。 数日前と比べると中身が微妙に増加しているようです。
GoogleがAAAA非表示リストを公表する話に関しては、以下の記事や、その他関連記事をご覧頂ければと思います。 先日、総務省で行われた研究会発表では、Google以外の事業者もこのAAAA非表示リストを利用する可能性があるとのことでした。
Google側で行われるようなIPv6名前解決結果非表示処理が「AAAAフィルタ」と表現されることがありますが、日本国内ISPがNTTフレッツ網で発生するIPv4-IPv6フォールバック問題を緩和するためにDNSキャッシュサーバで行われているAAAAフィルタ(参考)と、Googleで行われる処理は原理的に全く別物なので、今回は「AAAA非表示リスト」と表現してみました(「AAAA非表示ブラックリスト」という表現も考えましたが、ちょっと言い過ぎな気もするので「AAAA非表示リスト」としました)。
リスト入りトップテン
件数トップテンは以下のようになっています。
日本がダントツです。 現時点で、全262件中121件、約46%が日本のIPv4アドレスです。
順位 | 件数 | リスト中表記 | 日本語 |
---|---|---|---|
1 | 121 | Japan | 日本 |
2 | 48 | China | 中国 |
3 | 13 | United States | 米国 |
4 | 12 | United Kingdom | 英国 |
5 | 11 | Colombia | コロンビア |
6 | 7 | Taiwan | 台湾 |
7 | 6 | Thailand | タイ |
8 | 6 | Poland | ポーランド |
9 | 4 | Greece | ギリシャ |
10 | 3 | Romania | ルーマニア |
日本の件数が圧倒的ではありますが、個人的な感想としては予想よりもむしろ割合が少なかったような気もしています。 これまでのNTTフレッツ網IPv6問題に関する議論では、Googleの主張は「NTTフレッツ網が原因であり、日本だけだ」という感じでした。 なので、日本専用のリストになるのだろうと私は勝手に想像していました。
結果を見ると日本が圧倒的に多いのですが、過半数というわけでもなく、日本以外の国々も多く含まれています。
個人的には、日本以外でIPv6がIPv4と比べて遅くなる環境とその原因に非常に興味があります。 どういった要因でそれらが発生しているのかを見ると、IPv6やIPv4/IPv6デュアルスタック運用の課題等が垣間見えるような気がしているからです。 そういった意味でも、このリストは貴重なデータであると思います。
件数カウント
参考までに、6月7日時点(最終更新は6月5日)でのAAAA非表示リスト掲載件数は以下のようになっています。
121 Japan 48 China 13 United States 12 United Kingdom 11 Colombia 7 Taiwan 6 Thailand 6 Poland 4 Greece 3 Romania 3 Chile 2 Turkey 2 Mongolia 2 Malaysia 2 India 2 Czech Republic 2 Canada 1 Ukraine 1 South Korea 1 Slovakia 1 Russia 1 Portugal 1 New Zealand 1 Mexico 1 Kenya 1 Kazakhstan 1 Italy 1 Hong Kong 1 Germany 1 Ecuador 1 Brazil 1 Austria 1 Australia
補足
Googleが公表しているAAAAリストは、Googleの権威DNSサーバに対して問い合わせが行われているIPv4アドレスです。 ISPによるDNSキャッシュサーバは、ユーザに知らせるIPv4アドレスと権威DNSサーバへ問い合わせるIPv4アドレスを分けて運用されることも多いです。 BIND設定用語的に表現すると、listen-on(ユーザ側が知るIPv4アドレス)と、query-source(DNS queryに利用されるIPv4アドレス)が異なるという状態です。
Googleのリストには、IPv4アドレスとAS番号が書かれていますが、ISP内に複数のDNSキャッシュサーバが存在していてその一部だけがGoogleのAAAA非表示リストに掲載されているような場合があれば、ユーザは自分の使っているDNSキャッシュサーバがリストに含まれるかどうかをリストを見るだけでは知ることが困難な状態と言えます。
各ユーザが確認をするには、GoogleのAAAAを引いてみて結果が返るかどうかを試すという方法になりそうです。 ただ、そのとき、ISP側でAAAAフィルタが行われていて結果が返ってない可能性もあるので、権威DNSサーバ側で非表示処理を行っていないところも問い合わせつつ確認する必要があります。
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