無からの創造に対する報酬に関して
さきほど書いた「フリーランスにとっての無駄足」についてogochanさんとTwitter上で会話をしていたのですが、そのなかでogochanさんが以下のような面白い発言をされていました。
Webデザインでデザイン案を考えて持って行くまで発注の意志を決めない顧客が多かったり、書籍の執筆で本が出版される寸前に初めて契約書にサインしたり、プログラムの受託開発で設計を終わらせるまで契約の話にならなかったり、という話題はよく聞きます。
言われてみれば、これらの話は「無からの創造」に対しての報酬を避けるという側面があります。 デザインや設計や基本コンセプトが出来上がるまでは、発注側は「その相手に発注しても大丈夫か?」という部分が理解できないので、「これならば大丈夫そうだ」となって発注者側リスクが十分に下がらないと発注をしたくないという話のような気がします。
でも、「無からの創造」ってその後のプロジェクト全体に非常に大きな影響を与える一番大事なところですし、ある意味一番苦しい部分だったりもします。 「コンセプトを考えてデザインする」って、時間の割に「いかにもアウトプット」という感じのものが徐々にできるわけでもないのがツライところです。 既に設計が存在していてコーディングをするのであれば、行数とかで進捗状況をおぼろげながら把握できた気分にはなれますが、「全体デザイン」に関しては、ある意味「降って来る」のを待つという場合もあります(最初に全体デザインをしっかりと作らずに、走りながら同時に設計を行って炎上案件になるという場合もありますが)。
一方で、発注者側で「無からの創造」に対して早期に報酬が保証される場合もあります。 既に実績があったり、他のところでの実績によって創造者が著名な場合です。
これはプログラミングとかの受託開発ではなく、Webなどのデザインや広告コピー(もしくは広告キャンペーン設計とか)などの場合だと思いますが、知名度がある人に「無からの創造」を依頼する場合には、まず最初に報酬をどうするか発注側が考える事も多そうです(○○で著名な××先生に絵を描いてもらうんです!とかだと、準備してある予算で大丈夫かなどを含めて)。
そう考えると、「無からの創造」に対して上手に対価を受け取れないというのは、受け取れない側の実績の積み重ね(別名「信用」?)が不十分であると相手に判断されているという側面もあるのかも知れません。 (単に足元を見られて値切られているだけの場合も多そうではありますが)
とはいえ、やっぱり「無からの創造」は非常に重要な部分なので、その部分で正しく対価を受け取れるかどうかというのは非常に大きな問題だと思います。 デザイン考察や設計に関してまず一度発注という形で、その後の実際の開発はデザインが確定してから工数見積もり後という案件もありますし、状況によって何が良いのかは色々変わるのだろうとは思いますが。
なお、「フリーランスにとっての無駄足」で書いた話は、どちらかというと企業内での調整が出来ていなくて、いざ最終的に支払いの処理をしようと思ったら「社内処理が無理でした。ごめんなさい」という流れを経験したことを書いているので、この「無からの創造に対する対価」とは多少方向性が違います。
p.s. 出版の契約書が本が出来上がった後というのは、執筆者側にとってのメリットでもありますけどね。 私は遅筆なので、最初から期日が決まった契約書を交わして本を書いていたら違約金を請求されるのではないかとビビってしまいます。
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