激烈明るいLEDで室内灯を作ってみた(はじめての電子工作)
1W 100ルーメンのハイパワーLED(OSW4XME1C1S、300円)と充電電池のeneloop(単三型)を使って室内灯を作ってみました。
このLEDを直視すると目を痛めてしまうので注意が必要ではありますが、実際に出来上がった物は結構良かったです。 流石に通常の蛍光灯などとは比べ物にはなりませんが、単三電池を利用するものとしては、かなり明るい室内灯が出来ました。 真っ暗な部屋で不自由がないぐらいの明るさはあります。
これだけ明るいにも関わらず、今回作った室内灯は消費電力が0.4Wというのもいいです(抵抗の種類を変更することで消費電力を今回作ったものよりも大きくも小さくもできます。明るさと持続時間のトレードオフがあります。)。
はじめての電子工作!
大学の学部が文系だったこともあり、工学などの授業が一切なく、実はこういった電子工作はやったことがありませんでした。 強いて言えば中学の技術の授業で言われるままにラジオを作ったことぐらいです。 もちろん、中学時代の半田付けは、自分が何をやっていたのか全く理解してませんでした。
今回、LED室内灯を作ってみようと思ったのは、元々持っていたeneloopを夜間の計画停電で活用できないだろうかという発想から来ています。 室内をある程度明るくするような乾電池式のライトは単一型電池を要求する事が多いにも関わらず、単一電池が入手困難な状態で不便であると思っている時に、1W 100ルーメンの明く低消費電力LEDの存在を知り、それを活用した室内灯を作ってみたくなりました。
しかし、私は基本的にソフトウェアしか知らず、ハードウェア制作は全くわからなかったので、hwhackのyuoさんに教えて頂きました。 (非常に丁寧に教えて頂きました。ありがとうございました!)。
まずは秋葉原でお買い物
まず最初に行ったのは、LED室内灯を作るのに必要な材料を調べたうえで秋葉原に行って材料を購入することです。
行ったお店はオーソドックスに秋月電子通商、千石電商、西川電子部品ネジ部の3店舗です。
購入した材料
購入した材料は以下のような感じです。 材料だけの値段は室内灯1個で数百円ぐらいです。 抵抗などは数十円という価格帯ですし。
今回購入した材料で一番のポイントは、なんといってもこのOPTOSUPPLY社製ハイパワー1W LEDです。 放熱板付きのOSW4XME1C1Sを購入しました。
お店で材料を探しているときに、折角なら2種類作りたいと思ったので、通常の単純な室内灯とUSB給電で2段階明るさ調整可能な室内灯の2種類を作る材料を購入しました。 ネジ等はyuoさんが持っているものを頂き、各種機材もお借りしました(どういった種類の機材があるのかを知ると、そういった機材が凄く欲しくなってしまいます。。。)。
単純な回路版
まず、最初に単純な回路のLED室内灯を制作しました。 電池4本、スイッチ、抵抗、放熱板付きLEDだけの回路です。
LEDの順電圧(VF)が3.3Vです。 LEDに流す電流を抵抗の値で調整しますが、ここでは12Ωの抵抗を利用しました。 抵抗はすこしオーバースペックかもしれないけど念のため2Wの金属皮膜抵抗です。 このときに流れる電流は以下のように計算します。
eneloopが一つ1.2Vで、直列に繋いでいるので4.8Vです。 3.3V以上にするには3本以上のeneloopを直列繋ぎにする必要がありますが、今回は4本使うようにしました。
単三型eneloopの容量が1900mAhなので、12Ωを使って125mAを使うと考えると約15時間使えます。 抵抗の値を小さくするとLEDが明るくなりますが、点灯時間が減ります。 15Ωで約19時間と悩みましたが、「15時間ぐらいでいいや」ということで12Ωにしました。
なお、eneloopではなく通常の単三電池を利用すると1本が1.5Vなので、電池4本で6.0Vになります。 5Ωの抵抗を利用した場合、eneloopだと300mA、通常単三電池だと540mAになります。 LEDが350mAまでなので、5Ωの抵抗を使ってしまうと通常単三電池が使えなくなってしまうので注意が必要です。
ヒートシンクに穴を開けてLEDをネジ止め
今回、金属加工等についても色々と教えて頂きました。
まず、最初にLEDの過熱を防ぐためにヒートシンクにLEDモジュールを付ける作業をしました。 LEDについているネジ穴の間隔を仕様書を参考にしながら見て、穴を開ける場所をペンシル型ケガキ針とスコヤで印付けします。
印付けした場所に対してポンチとゴムハンマーで凹みを作って、ドリルがずれないようにします。
印付けした場所にドリルで穴を開けます。
ドリルで開けた穴の中にネジ溝を作るネジ切り作業をします。 ネジ切りはタップという工具を使って行います。 このとき、タップが折れてしまうことを防ぐためにあらかじめ潤滑油をさしておきます。
ネジ穴が完成したら、LEDをヒートシンクにネジ止めします。 ショートを防ぐために樹脂性のネジを利用しました。
基板作り
抵抗とスイッチを固定するための基板を作ります。 まず、最初に配置を決めるために基板に部品を付けてみます。
利用する基板の大きさを決めて、基板を切ります。
半田付けします。 半田付け結果を見て頂くと、私の素人度合いがわかると思います。。。
LEDを接続
LEDと基板を接続しますが、そのまま電線で繋いでしまうと基板との接続部分が弱いので、コネクタを基板に付けました。
銅線の被覆をストリッパで取り除き、金属部品を先っぽに圧着し、コネクタに差し込むことでコネクタ部分が完成します。
これを基板に付けたコネクタのメス部分に差し込みます。
さらに、銅線のもう片方をLEDモジュールに半田付けします。 まず、最初に銅線の被覆をストリッパで取り除き、露出した銅線先端を半田でコーティングします。
LEDに先に半田を盛ります。 再度持った半田に対して銅線を持って行って接続します。
これで全部が組み合わさって、単純版が完成です! ドキドキしながらスイッチを入れたら無事に点灯してホッとしました。
紙を被せて撮影
USB給電2段階明るさ調整版
単純なLED室内灯を一つ作るだけではなく、応用としてもう一つ別の物も作ってみました。
次に作ったのが、USB給電によるLED室内灯です。
この回路のポイントは、スイッチ二つに対してそれぞれ15Ωの抵抗を使っている点です。 これによって、片方を入れると約113mAの電流が流れ、両方を入れると113mA+113mAで約226mAが流れるという2段階の明るさを設定できるようになっています。
もう一つのポイントはポリスイッチ(ヒューズの役目)によってUSBホストに過度な電流が流れないようにしてあります。 これを入れないとUSBホスト側が壊れることがあるようです。
作り終わってから気がついたのですが、USBのA型メスコネクタで作ったのは失敗でした。 ミニ型のB型メスで作るべきでした。。。 次に作る時は気をつけたいと思います。
「作ってみる」のは大事かも
実は昔からハードウェア制作に憧れていたという側面も結構あります。 それ以外にも、記事を書く時にそういった経験や知識があった方が良いと感じることが増えていました。 ネットワークに関連することで色々と調べて記事を書こうとするうちに、どうしても消費電力の話やハードウェア性能の話が登場します。 ソフトウェアに関しての知識しか無い私は、恐らく色々なことが解っていないと痛切に感じることが増えてました。
去年、FPGA勉強会に参加したり、色々と「ハードウェアに関連するものを何か作って理解を深めたい」という思いはあったのですが、「何を」の部分で思いつく物がないので、そのままになっていました。
それが、今回、「こういうのが欲しい!」と思えるものが、やっと登場しました。 非常に単純な物ではありますが、「eneloopを使ったLEDによる室内灯が作りたい!」と強く思えました。 これが出来たから何か大きく前進するかというと、そこまでは甘くはないだろうとは思うのですが、経験を積むという意味では最初の一歩を踏み出さないと次はないというのが私の考えなので、まあ、作ってみようと思った次第です。
実際にやってみると色々新鮮であると同時に、今まで一切理解不能だと拒否反応に近い感覚だったハードウェアが急に身近に感じられるようになりました。 それはきっと気のせいだとは思うのですが、こういうのって実は大事だと思った今日この頃です。
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