松江のIIJコンテナ型データセンターを見てきた(3)
現在、IIJコンテナ型データセンターには、IZmo Wと、コンパクトサイズのIZmo Sの2種類があります。 IZmo Wは、昨年行われていた実験のコンテナと同じようにラックが並んでいますが、IZmo Sは省スペースのために以下の図のようにジグザグにラックが並んでいます(そもそもIZmoのZは、IZmo Sのジグザグをイメージしてつけた名前だそうです。「松江なのに何で出雲なの?」という突っ込みは禁止だそうです)。
IIJ8月のプレスリリースより (参考)
このように、コンテナ内に仕切りがあって、ラックが9本並んでいるのがIIJコンテナ型データセンターの特徴の一つです。
4. 外気冷却による消費電力低減
外気冷却を利用した設計は、IIJのコンテナ型データセンターの大きな特徴の一つです。
コンテナ内部の温度調整は、2008 ASHRAE Environmental Guidelines for Datacom Equipment(以後、ASHRAE 2008)の基準を満たす範囲に保たれます。 ASHRAE 2008では、データセンター内での温度と湿度が満たす範囲を規定しています(2004年のバージョンが厳し過ぎるので2008年版では条件が緩和されました)。
ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers,アメリカ暖房冷凍空調学会)は、名前の通り、暖房、冷凍、空調などに関する国際的な学会で、空調に関連する規格やガイドラインも策定していますが、様々なところでこれらの規格が参照されています。
この基準を満たすために外気冷却を行いますが、たとえば真夏など、特定の状況によっては外気冷却だけでは冷やしきれないので、従来通りのコンプレッサを活用した温度調整との併用になっています。 ただし、コンプレッサが電気を多く消費するので、可能な限りコンプレッサを動作させないことが重要です。
以下の図は、コンテナ型データセンターの空調モジュールが動作するモードを表しています。 状況に応じて、外気の割合が変更されます。
IIJ.news vol.99より
あと、「外気冷却」という単語からも、コンテナ型データセンターを考える時に冷やすことを真っ先に連想しそうですが、単純に冷やせば良いというものではありません。 もちろんコンテナ内の室温の上限が問題なのはその通りなのですが、実は「下限」も非常に大きな問題になります。
(続く:次へ)
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