世界初の100Gbps 1波伝送実運用@Interop
技術的な視点で見たとき、「今年のInteropは当たり年だ」と書きましたが、その理由の一つとして挙げられるのが、ソフトバンクテレコムとアルカテルルーセントが共同で行った100Gbps 1波長距離伝送を成功させたことです。
先日、「世界初の100GbE-LR4運用@Interop」という記事を書きましたが、Interop ShowNetでは、これと平行して「もう一つの世界初の実運用」が行われていることになります。 NTTコミュニケーションズ、インフィネラジャパン、イクシアコミュニケーションズの3社が共同で実現した100GbE-LR4は、25GbE 4波となっている100GbEをDWDM装置であるInfinera DTNで10Gbps 10波にして幕張から大手町へと伝送するというものです。
一方、ソフトバンクテレコムとアルカテルルーセントが実現した「世界初」は、光の干渉効果を用いた新変調方式であるコヒーレント変調を利用して幕張と池袋間を100Gbps 1波で実現しています。 今回の伝送距離は50km以上のようです。 さらに、アルカテルルーセントの1830 PSS-32(Photonic Service Switch)は、この100Gbpsを88波まとめることが出来るDWDM装置なので、機器としては8.8Tbpsを実現可能です。
ShowNet NOCブースに設置してあるアルカテルルーセント1830 PSS-32に入っている銀色のカードが100Gbps伝送用のカードです。 製品化前なので、表面塗装が行われていない銀色のカードとなっています。
ソフトバンクテレコムによる初の回線コントリビューション
去年と比べると、今年のInterop対外線の大きな特徴の一つとして、ソフトバンクテレコムのULTINA Data Servicesによる対外線コントリビューションあります。 今回、ULTINA Data Servicesで100Gbps 1波の伝送が行われましたが、商用実トラフィックでの100Gbps 1波伝送は世界初です。
この100Gbps 1波伝送の中を流れていたのが、10GbE 3本です。 各10GbEリンクを利用して、Yahoo! BB、ODN、mpls ASSOCIOの3カ所とBGPによるピアリングが行われました。 下記図の「ULTINA Data Services」となっている部分が、ソフトバンクテレコムによるコントリビューションです。
対外線図:Interop Tokyo公式サイトより
各10GbEは、幕張会場でアルカテルルーセント1830 PSS-32へと接続され、1830 PSS-32が100Gbps 1波としてまとめたものを池袋まで運ぶという形です。
最後に
今年のInteropは、2005年から続いている100GbE標準化が今月完了する見込みであることや、ネットワーク仮想化技術が現実的なものへと進化したこと、さらにはデジタルサイネージが国内で熱くなっていること、Ether OAMが浸透し始めていること、進化の過程にあるサーバ仮想化技術など、技術的に見ると非常に面白い物が目白押しであると思います。
なかでも、幕張からの対外線である2種類の100Gbpsが、両方ともそれぞれ「世界初」であるという凄さは際立っています。 まだ製品化前のものばかりなので機材が世界で数個しかないようなものばかりということもあり、100Gbps同士の相互接続までは今年は難しかったようですが、来年に期待ということになりそうです。
今後もインターネットは進化/変化し続けると強く思える今日この頃です。
参考
- アルカテルルーセント:ソフトバンクテレコムのバックボーン増強にアルカテル・ルーセントの100ギガビット対応光伝送ソリューションを採用
- 世界初の100GbE-LR4運用@Interop
- Interop Tokyo 2010直前に過去を振り返る座談会(後編)
- 今年のShowNetみどころ
- Interop Tokyo 2010直前に過去を振り返る座談会(前編)
- 2010年Interop ShowNetの心
- 2010年Interop記事一覧
- 2009年Interop記事一覧
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