Google撤退で中国ネットユーザが困る理由

2010/3/24-1

Googleが中国から撤退して、google.cnをgoogle.com.hkにリダイレクトするようになり、中国はそのトラフィックを検閲するようになったようです。

TechCrunch: China Calls Google’s Bluff, Blocks “Certain Sensitive Queries” From Hong Kong Site

それに対して、内田先生が「グーグルのない世界 (内田樹の研究室)」という記事を書かれています。 私もこの意見に賛成で、恐らく中国国内ネットユーザは「知」へのアクセスを制限されると思います。 ただ、私が考える理由は「Googleが優れているから」ではなく、「百度が過去にやらかしてしまった」です。

中国最大シェアの検索エンジンを世界中がブロック

Googleが中国から消えた事で、中国のネットユーザが困るだろうと私が思っている最大の理由は、世界中の非常に多くのWebサイトが中国検索エンジン最大手の百度をブロックしていることです。

Google撤退で百度(バイドゥ)の独占状態になるのではないかと言われていますが、独占状態の検索エンジンが世界中でブロックされているということは、中国国内ネットユーザの多くは情報にたどり着けないということになります。 Googleを追い出したことで、百度以外の検索エンジンシェアが増加しない限りは、中国国内からの「知」へのアクセスが激減することを意味します。

さて、では何故世界中のWebサイトが百度をブロックしているのでしょうか? これは思想的なものでも、何でもありません。 理由は非常に単純で、百度のクローラの行儀が最悪だったからです。

百度は、立ち上げ時に、恐ろしく急激な検索エンジンクロールを行っていたため、多くのWebサイトが.htaccessに百度ボット拒否設定を行っています。 Googleで「百度 .htaccess」等で検索してみると良くわかります。

2008年には、中国国内のソーシャルネットワークサイトまでもが百度のクローラをブロックしていることも話題になってました。

CNET News: Chinese social networks block Baidu indexing

現在では、百度の検索エンジンクローラの行儀は改善されたと言われていますが、ブロックをそのままにしているサイトも多いのが現状であろうと思います。

最後に

このように「過去の経緯」が亡霊となって、ジワジワと「知」へのアクセスを蝕むという状況が時間をかけて効いて来るような気がしています。 今回のGoogle撤退の件と、世界中での百度ブロックは全く無関係なのですが、無関係なところから生まれる「現状」は大きいと思う今日この頃です。

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