全日本剣道連盟による多次元ネット中継、八段戦をUstream,Twitter,Flickr,YouTube,ブログで
追記:当日の様子を書きました。
昨年11月に、全日本剣道連盟(以後、全剣連)による全日本選手権大会中継をTwitter,YouTube,ブログで行いましたが(参考:とあるイベントにおけるTwitter中継事例)、今度の八段戦は全日本選手権大会の反省を活かし、UstreamとFlickrを増やす事になりました。 今回の4月の中継は、昨年11月の中継をバージョンアップさた試みになる予定です。
ソーシャルメディアには、それぞれ得手不得手があり、各種ソーシャルメディアの性格を活かしつつ剣道愛好家がネットを通じて剣道観戦を最大限楽しめる環境を目指した模索は、まだまだ続きそうです。
八段戦
中継する大会は2010年4月18日(日)に名古屋で行われる全日本選抜剣道八段優勝大会(通称「八段戦」)です。 昨年は、この大会で新しい取り組みを行うための下見を含めて取材に行きました(参考:剣道八段戦取材記)。
八段戦に出場される選手の方々は、全員八段です。 八段は非常に合格率が低い、ある意味狭き門と言えます。 2009年(平成21年)は、受審者数899名で合格者は19名でした(参考:全日本剣道連盟 剣道八段審査会(東京)結果)。 4月に開催される八段戦は、その「八段」という段位に合格した、ある意味超人な方々による大会です。
この大会は、剣道界内で注目されている大会ではありますが、全日本選手権大会のようにNHK中継されているわけではなく、いち早く内容を知りたいという要望が強い大会の一つです。
この大会の出場選手一覧を見ると、最年少が52歳で最年長が63歳、平均年齢57.9歳という選手構成になっています。 しかし、面を着けて顔が見えない出場選手の方々は、とても60歳ぐらいには見えないところが不思議です。 ピチピチの大学生が、この大会に出場されるような八段の先生方にかかって行っても、ボコボコにされると思われます。 次のYouTube動画は昨年の大会での試合です。
もちろん、全日本選手権出場選手よりもスピードは遅くはなりますが、逆に観客としては目で追いやすくなるので、個人的には全日本選手権よりも観戦が楽しいかも知れないと思います。
このような特殊な大会である「八段戦」ですが、今回の中継は次の面で昨年11月の全日本選手権のバージョンアップ版となります。
Ustreamによる中継でリアルタイム性の向上
昨年11月の全日本選手権大会では、Twitterで順次大会経過を伝えて行きましたが、 各情報は、全剣連の公式アカウントから発信する公式なものであるため、たとえば技を決めた選手を逆に書いたりするわけにはいきません。 各種データは公表前に間違いが無いかのチェックが必須でした。
そのため、Twitterやブログによる中継では、面/胴/小手/突き/反則などの技が決まったり、試合が終了するなどの「イベント」が発生してから、公表するテキストデータの推敲をしているうちに多少のタイムラグが発生します。 YouTubeの場合は、掲載前に編集作業が発生するので、そこでもタイムラグが発生します。
今回は、よりリアルタイム性を向上させるために、Ustreamを活用することにしました。 Ustreamによる「中継」であれば、そのまま事実を映像として流すだけなので、全剣連が間違った情報を発信してしまうという事故は発生しません。 Ustreamでは、バッファリングやエンコーディングのために実際よりも数十秒遅れた映像が配信されますが、逆に言うと、今回のUstreamを活用するという試みによって、剣道愛好家は今まで迅速に知る事ができなかった八段戦の試合経過全てを1分以内という迅速さで知れるようになります。
しかし、剣道の動作は非常に素早く、Ustreamの画質とフレームレートでは十分に楽しめません。 恐らくUstreamは試合の流れと大まかな結果を、いち早く知りたい人が活用するという用途になる予定です。
Flickrによる写真情報
全剣連には広報担当部署があり、そこの方々が各種大会を撮影しています。 今まで、それらの写真は剣窓という情報紙に掲載することがメインでしたが、今後はFlickrを活用して世界に対して発信することを実験的に開始していく予定です。
もちろん、Twitter,YouTube,ブログも
新しい項目を増やすからといって、品質を落とすつもりはありません。 前回の全日本選手権大会の時に行ったTwitter中継、YouTube動画、ブログによる結果のまとめは今回も行います。
今回も前回同様にハイスピードカメラを活用したスローモーション動画をYouTubeに掲載して行く予定です。
以下、昨年11月の全日本選手権大会で撮影された寺本選手vs内村選手のスローモーションと実際のスピードでのYouTube動画です。 次回の八段戦でも、通常版及びスローモーション版の両方を掲載していく予定です。
全剣連によるリリース文
以下、全剣連の剣道大会ブログでのリリース文です。
ソーシャルメディアは、単一のソーシャルメディアを使うのではなく、人的リソース考慮しつつ全方位で使うものかも知れないと思った今日この頃です。
大会当日の情報提供について平成22年(2010年)4月18日(日)、愛知県名古屋市中村スポーツセンターにて開催される「第8回全日本選抜剣道八段優勝大会」は、インターネットを通して、世界各地の剣道愛好家へ迅速に大会情報をお伝えする準備を進めています。
第8回全日本選抜剣道八段優勝大会において利用を予定しているソーシャルメディア(外部サービス)のURLとその紹介は以下の通りです。
今回は、新たに「Ustream」と「Flickr」による情報提供も予定しています。お楽しみお待ちください。
■ Ustream: http://www.ustream.tv/aj_kendo_f
Ustreamによる動画ストリーミングは、実際の試合よりも数十秒後に視聴者に届くほぼリアルタイムなメディアです。
全日本剣道連盟では「八段大会の進行状況等を迅速に知りたい」という要望に応えるため、八段大会をUstreamで流します。
Ustreamを利用すると、配信希望者はカメラとパソコンだけを持っていれば無料で配信が可能であり、視聴者は特別なソフトウェアをインストールせずにWebブラウザ経由で動画を視聴できます(フラッシュプラグインは必要です)。■ Flickr: http://www.flickr.com/photos/aj_kendo_f/
世界最大規模を誇る写真/画像共有用ソーシャルメディアです。
世界各国のプロ写真家などによる豊富なコンテンツが無料公開される一方で、多くの一般ユーザによる日常的な写真も掲載されているという特徴があります。
世界各国の人々が写真を掲載するという特徴とともに、Flickrに写真を掲載することで世界各国の人々が国境を越えて剣道の写真を届けられるという特徴もあります。
今後、インターネットを通じた大会写真の公開を実験的に進めて行きたいと考えています。■ Twitter: http://twitter.com/aj_kendo_f
ツイッターは「いまなにしてる?」を普通の人が書き込み続ける不思議なWebサービスです。
芸能人や政治家も続々「ツイッター」の利用を開始しています。
最近話題のツイッターを活用することによって、言葉による「インターネット実況中継」 を実現するとともに、剣道とは直接関係がないユーザが剣道に興味を持てるような環境を整備できます。■ YouTube: http://www.youtube.com/ZennipponKendoRenmei
YouTubeは世界最大の動画共有サイトです。YouTubeに剣道動画を投稿することにより、 日本国内のみならず世界の人々に剣道の素晴らしさを伝えることができます。
全日本剣道連盟では、一昨年から積極的に動画の配信を行っております。
たとえば、50年以上前に開催された第1回全日本選手権大会の動画は世界中で注目されました。
昨年の第57回全日本選手権大会では、スローモーション映像を撮影できるハイスピードカメラを活用した「決定的瞬間」の動画配信も実験的に行いましたが、八段戦では、動画カメラの台数を増加するとともに動画編集体制を整えて、より洗練された動画配信を目指したいと考えております。
Ustreamとの違いは、編集作業の有無による公開のリアルタイム性です。
Ustreamは無編集でそのままリアルタイム動画配信を行いますが、YouTubeに掲載する映像は編集作業を会場で行い、試合結果の1時間後程度を目指した配信を行う予定です。■ 大会情報ブログ: http://kendo-champ.jugem.jp/
全日本剣道連盟では、ホームページを通じて大会結果の告知を行ってきました。
しかし、インターネット上で使われる技術の発展とともに、ユーザ側から「内容更新の通知」を 迅速に受け取りたいという要望も上がるようになってきました。
全日本剣道連盟では、RSSなどの技術を活用した大会結果情報更新通知を簡潔かつ迅速に行うには、現時点ではブログを活用することが最適であると考え、昨年から全日本選手権大会結果ブログを開設しました。
このブログを大会情報ブログと改め、今回行われる八段大会においても、事前情報を含めた情報発信を積極的に行う予定です。
4月18日、おたのしみに!
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