さくらインターネットのネットワーク構成
先月、さくらインターネットのネットワーク構成を調べました。
興味がある方はどうぞ。
IPv4によるAS間接続
まず、whoisを利用して、さくらインターネットが保持しているASを調べてみると、AS9370、AS9371、AS7684の3つあることがわかります。
次に、それらのAS番号を基にCyclopsで調べると、各ASと接続されているASに関しての情報がわかります。 Cyclopsは、世界各所で公開されているBGPフルルート情報をまとめて見やすくしてくれるネットサービスです。 結構素敵なので良く使ってます。
Cyclopsに掲載されている情報を見ると、以下のように東京と大阪のAS同士でEBGP接続を行っていることがわかります。 EBGP的に東京と大阪を接続することで、東京と大阪の間が完全に切断されたとしても大丈夫になるような冗長構成にしてあるようです。
この図では、さくらインターネットのCustomerやPeerと推測されるASに関する情報を全てまとめてしまっています。 これらの詳細を知りたい方は、各自でCyclopsにAS番号を入力して調べて下さい。
なお、上記図におけるBGP接続のProvider, Peer, Customerの分類はCyclopsによる外部からの推測であり、実際の契約を反映したものではない可能性があるのでご注意下さい。 Cyclopsでは、その経路がTier 1までさかのぼる場合にはProvider/Customerであると判断し、Tier 1まで行かずに宛先まで到達する接続はPeerであると判断しています。
Cyclopsの仕組みに関しては、以下の論文に記載されています。
AS9370とAS9371の接続形態
東京と大阪の二つのASの間は10Gbps回線2本で接続されています。 片方が東海道側で、もう片方が中仙道側です。
物理的に別々の経路を通っているため、地震などの災害で途中回線が切断されても、もう片方がバックアップとなる構成になっています。 また、両方の回線が切れたとしても、東京と大阪で別ASになっているので、他ASへとトラフィックが流れることによって障害が回避されます。
合計20Gbps分の回線の占有率は、現状では平均で5Gbps程度であるようです。
(この情報は田中社長に直接教えて頂いて、許可をうけて公開しているので、外部から推測したわけではありません)
IPv6構成
さくらインターネットは、全てのサーバのIPv6化を平成22年度中に完了させることを宣言しています。
BGP視点で、そのIPv6構成を見ると以下のようになっています。 なお、ここでの観測図はIPv6でシングルホームになっているように見えますが、実際は観測しきれてないだけでマルチホームにしてある気がしています。
さくらインターネットに限らず、現時点では多くのASにおけるIPv6構成は非常にシンプルです。 まだIPv6そのものがあまり普及していないためだと思われますが、時間の経過とともにIPv6におけるAS間接続が複雑になっていくものと推測しています。
公式サイトでのネットワーク図
今回は主に外部からの推測を行ってみましたが、公式なバックボーンネットワーク図も公開されています。 是非、そちらもご覧下さい。
notice
ここで公開しているこのブログエントリそのものに対して報酬は頂いていませんが、さくらインターネットのネットワーク構成を調べるに至った経緯として原稿料が発生する記事広告の執筆あります。
AMN経由で、さくらのマネージドサーバCore 2 Duoに関する記事広告(報酬を受け取っての記事執筆)の執筆依頼を頂き、記事を書きました。 原稿料を頂いて書いたのはAMNが用意した専用のコーナー(さくらのマネージドサーバCore 2 Duoブロガーレビュー)に掲載するための記事です。
今回、ここで同様の内容を公開するのは、折角ネットワーク構成を調べたので、自分のブログでも掲載しようと考えたためです。 さくらインターネットさんはVPSで盛り上がっているので、恐らくネット構成を知りたいと思う方々もいるのではないかと思いました。
記事広告と本ブログの違いに関しては、双方の文章を見比べて頂ければと思います。
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