Twitterと政治を考えるワークショップの感想
Glocomで開催された「Twitterと政治を考えるワークショップ」に参加してきました。 日本、アメリカ、イランなどの事例を出しつつTwitterと政治に関して語るイベントで、ジャーナリストの津田さん(@tsuda)、フリーの旅人の山崎富美さん(@Fumi)、国会議員の橋本岳さん(@ga9_h)が登壇されていました。
このイベントの告知はイベント開催前日に主にTwitter上で行われていました。 前日にいきなり告知したにも関わらず87名の観客がぎっしりと会場内にいました。 告知後1時間で26人の参加申し込みが発生したというのもTwitterの速報性の高さを表しています(庄司さんのTweet)。
告知の文章は以下のようなものでした。
ユーザがそのとき感じた事を140文字以内で投稿するミニブログサービス「Twitter」は2008年から徐々に人気を博し始め、2009年に入り爆発的なユーザの伸びを見せています。流行の震源地である米国ではオバマ大統領(当時は大統領選挙候補者)をはじめ、オプラ・ウィンフリー、シャキール・オニール、ブリトニー・スピアーズなどの有名人、スポーツ選手が利用しているほか、CNN、New York Timesなど、メディアの速報サービスとして、またDellのように電子商取引へのゲートウェイとしての利用も始まっています。一方、政治家がTwitterを活用する事例も米国や英国では盛んで、わが国でも徐々にTwitterを始める議員が出てきている状況です。そして、最近はイランにおける選挙結果への抗議運動にTwitterが使われているというニュースもあり、インターネットを介して連鎖しあう人々の「つぶやき」は政治的にも大きな意味を持ちうる事を示しています。今回のワークショップでは、Twitterが政治の世界にもたらす可能性とその影響について、実際に Twitterを使っている橋本議員も迎えて議論していきます。
全体的な議論の流れなどは他の方やオンラインメディアの記事が恐らく出ると予想されるので、そちらを見て頂くとして、個人的に興味深かった点を中心に書いてみました。 現時点で発見している記事は以下の3つです。
- TechCrunch : 橋本岳衆議院議員、津田大介、山崎富美、3氏が「政治とTwitter」をディスカッション
- シロクマ日報:Twitter が政治を変えるのではなく、Twitter を手にした僕らが政治を変えるのだ。
- 小鳥ピヨピヨ:民主党議員と自民党議員がTwitterでつぶやきあった夜
- ITMedia : Twitterは政治や報道を変えるのか
開催の経緯はクロサカさんが書かれている「クロサカタツヤの情報通信インサイト :「twitterと政治を考えるワークショップ」開催のお知らせ」に書かれています。
また、#twpoハッシュタグを見て頂くとTwitter上での各種発言が見られます。(昨日の私のTweetはハッシュタグを入れ忘れていたので、この検索結果には含まれていません。)
講演資料
全体的な感想
全体的な感想としては「Twitterって日本でも普及し始めるのかなぁ」というのと、「情報公開のために利用するツールの多様化に伴って国会議員もネットリテラシ上昇が求められるのかなぁ」というような感想を持ちました。 議員本人ではなく、まわりの誰かが「IT担当」としてネットリテラシ的な部分を専門で考えるという体制があるか無いかで今後は色々と大きく変わって行くのかも知れません。
逆に言うと、今回のイベントでのいくつかの「現状」に対する発言を拝見して、予想通りと言うか予想以上と言うか、ネットリテラシの高い議員は少数派なんだろうなぁとも思いました。 そういう意味でも、ネットリテラシが高い議員が色々と活躍されるのは良い事だと感じました。
逢坂議員の「乱入」
今回のイベントのハプニングとして非常に面白かったのが、イベント最後でもう一人の国会議員Twitter-erである民主党の逢坂議員が「乱入」してきたことです。 その場にいなくても、どこからともなくイベントの情報を入手して、リアルタイムに接触が発生するというのは非常に凄い事だと感じました。
以下、TwitterでのTweetをいくつか抜粋しました。
余談
このやり取りが党を超えた初のTwitter上のやり取りだ!とTwitter上で感動されている方々がいらっしゃいましたが、実はその前にお二人はやり取りをされています。 実は、6月4日 AM 08:06に逢坂誠二議員が1Q84について呟いた内容に対して橋本岳議員が語りかけています。 橋本岳議員がTwitterを開始したのが6月1日なので、開始後4日目のTweetですね。 (逢坂議員がTwitterを開始したのは5月9日です)
好対照の二人の国会議員Twitter-er
二人の国会議員Twitter-erは、個人的には好対照だと思っています。 橋本議員は、ギリギリのラインを責めつつ、ライブで何かが動いている様子をTwitter経由で上手に発信しているようです。 同時に、ブログでは書けないような「ゆるい雰囲気」も表に積極的に出しています。
橋本議員は私の大学の先輩で、オンラインコミュニティやIPv6の研究を行っていたということで、ITリテラシは高いのでこのような情報発信ができるんだろうなぁと思いました。 (余談ですが、IPv6とかRFIDに関しては、恐らく橋本岳さんは私より全然詳しいです)
例えば、個人的に以下のTweetが「上手いなぁ」と思いました。
昨日のイベントでも「どうせ明日のメディアに出るような話だったら、メディアに出る前に防衛的に出しておいた方が良い」というニュアンスの発言をされていました。 また、「出して良い情報と出してはいけない情報は分けている」とか「必要に応じて人物は特定できないようにぼかしている」などのニュアンスの発言もされていました。 ここら辺は、やっぱり元サラリーマン経験者だなぁと感じました。
橋本議員のTwitter利用の目的は様々のようですが、中には政治家そのものに対して親近感を持ってもらうという目的もあるようです。 確かに、週刊プロレスを購入する話などは、そういう流れで書いているように思えます。
逢坂誠二議員のTweet
一方で、逢坂議員は非常にストレートに思想を伝播させるためのツールとして利用されているように感じます。 そして、恐らく「一般ウケ」するのは逢坂議員のTweetだろうと思われます。 実際、現状では逢坂議員の方がフォロワーも多く、メディアウケしているように見えます。 私も時々吸い寄せられるようにTweetを拝見しています。 どちらが良い悪いではなく、スタイルが非常に違うというのが印象的です。
ただ、個人的には逢坂議員のTweetには危うさも感じています。 こういう書き方をしてしまうと失礼なのかも知れないとは思うのですが、例えばはてなブックマークで初めてホットエントリ入りして、舞い上がってしまった後に炎上させてしまうブロガーのような雰囲気を多少感じています。
当初のTweetは非常に無難で抑えた内容でしたが、フォロワーが増えて行くと徐々に内容がストレートになっていったイメージがあります。 過激とまでは行きませんが、野次に似た表現と思えるTweetもフォロワーの激増とともに出現するようになりました。 このまま、フォロワーが上昇して行って、様々なノイズが襲いかかるのではないかと、Tweetを拝見していてハラハラすることもあります。
例えば、昨日は以下のようなストレートな発言をされていました。 立場上は恐らく正しい表現だと思うのですが、非常にストレートだと感じました。 でも、こういうストレートな表現を堂々とオンライン上で語る事そのものが「オンラインで政治を語る」という事なのかも知れないとも思いはします。
国会議員という職業は、様々な反論に晒される事を職業とされている方々なので、きっとちょっとやそっとの事ではひるまないような気もするので、まあ、気にし過ぎですかね。。。 というよりも、自分の立場と思想を伝える職業なので、Twitter経由の炎上とかを気にする事そのものが間違っているのかも知れません。
また、きっと野次であったとしても、それがオンラインで伝わるというのは有意義ではあると思うので、どのような利用方法が適切なのかは様々な方々によるトライアンドエラーなんだろうとも思います。
恐らく、お二人が今年のオンライン政治情報発信の鍵になるような感じもしております。 @seiji_ohsakaさんと @ga9_hさんのTwitterアカウントは面白いです。
最後に
今回のイベントは「Twitter」に着目したイベントでした。 一方で、政治への参加や、インターネットと民主主義などの話題は全体として「Twitterでなくても良い話題」であったとも思えます。 「Twitterじゃなくて、ブログでもWebサイトでもメールとかでもいいじゃん」という風にも思えました。
しかし、色々考えて「今、この瞬間はTwitterをメインに語る事が効率的である」という結論に達しました。 なんだかんだ言っても、Twitterは今の「流行モノ」です。 その流行モノに乗ったフリをしつつ、本質的なところではインターネットと政治などを考えるというところが恐らく「効率的」なのだろうと思います。 例えば「政治とブログ」というテーマで今更イベントを開催しても、誰も見向きもしないでしょうし、国会議員が新たに何かをやろうというインセンティブにもなりにくいだろうと予想してみました。
元エンジニアとしては「Twitterで」というのが納得出来ない気持ちも強いのですが、最近はやっと流行モノにうまく乗る事の効率を何となく自分の中で認識し始めた気がします。 何か、「Sad but true」って感じですけど。
最後にイベント全体に関して一言。 津田さんはやっぱり凄いです。
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