大規模 Ether OAM 相互接続運用@Interop
今年のInterop ShowNetでは、マルチベンダーによるEther OAM(802.1ag)相互接続運用が行われています。 誤解を恐れずEther OAMを説明するとすれば、「Layer 2でpingやtracerouteと同等の事をやるための仕組み」と言えるのかも知れません。
インターネットを構成するルータの設定を確認したり、障害検知を行うためにpingやtracerouteが非常に多く利用されますが、これらはLayer 3までの障害検知までしか行えません。 Layer 3だけでは、Layer 2以下の「障害箇所」を特定するのは困難です。
例えば、以下のような構成のネットワークがあったとします。 以下の図では、ルータBとルータCの間はVLANを設定してあるスイッチ3台によって構成されています。 実際には、スイッチ2とスイッチ3で障害は発生していたとしても、Layer 3で検知できる障害はルータBとルータCの間で障害があるという所までです。
Ether OAMは、このような問題を解決するために、Layer 2レベルで障害検知をするための技術です。 例えば、稼働しているVLANを途中のスイッチで消してしまう等のオペレーションミスも即座に発見可能になります。
大規模相互接続実験
Ether OAMをサポートする機器は約2年程前から登場し始めていますが、各種ベンダの相互接続性が大規模に実験されたことは無いのではないかと思われます。 もしかしたら、世界初なんですかね???
まあ、どちらにせよ、今年行われているEther OAMの大規模相互接続運用は、相互接続性を確認する目的で発足したInteropに非常にマッチしている試みだと個人的に感じました。
登場当初は、標準化が不十分な状態であったり、動作も不安定だったという話も聞いた事があります。 最近は標準化も落ち着き、各種ベンダーが製品化を発表するようになってきました。 そのような状況もあり、今年Ether OAMが大規模に運用されることが決定したようです。
以下が今年相互接続が行われたEther OAM対応機器一覧です。
- Juniper Networks MX240
- Cisco Systems ASR9000
- Brocade NetIron XMR4000
- Brocade NetIron XMR8000
- ALAXLA Networks AX6600S
- ALAXLA Networks AX6700S
- Alcatel-Lucent 7450 ESS
- Alcatel-Lucent 7750SR
- NEC QX5500
- NEC IP8800/S6700
- SII Network Systems NS-7500
- Extreme Networks BlackDiamond 12800
EtherOAM対応スイッチとトポロジ図です。
誰でもEther OAMマシン(CTS ESH-3105)
今年のShowNetでは、Ether OAM未サポートのL2スイッチでのEther OAM運用のために、各所にESH-3105という機器が設置されています。 小さく微妙にカマボコのような筐体のESH-3105は、上流のEther OAMサポート機器との間でEther OAMによる回線監視を行っています。
要は「誰でもEther OAMマシン」ですかね? このESH-3105は、Ether OAM専用デバイスというわけではありません。 SFPポートを搭載した宅内向け小型スイッチングハブで、CPEとして使用出来るよう光ファイバの収納トレイも内蔵しています。
非常に面白い機器だと思いました。
Ether OAM 監視機器(富士通九州ネットワークテクノロジーズNext Stream)
Next StreamによるEthernet OAM監視デモもShowNet NOCで行われていました。 そのデモでは、ShowNet内のEther OAM機器までの接続性を監視し続けるによって、障害が発生すればL2的な障害発生箇所が直ちにわかるようになっていました。
Next Stream本体
個人的には富士通九州さんと言えば、ちょくちょく非常に面白い独自機器をShowNetにコントリビュートしている九州のベンダさんというイメージがあります。 そういえば、昔Gigabit Ethernetが出現し始めた時に、GbEテスタをShowNetにコントリビュートしていて、会期前の光ファイバチェックで大活躍だったような記憶があります。 あのとき、私はSTMでした。
SII Network Systems EXAtrax II NS-7500
SII社のNS-7500もEther OAM相互接続実験に参加していました。 個人的には初めて見るスイッチだったので、おもわず撮影してみました。
最後に
公開された場において、これだけの多くの機種でEther OAMが同時に運用されるのは、恐らく世界初なのでは無いかと思われます。 一見地味ではありますが、非常に意義のある取り組みだと思った今日この頃です。
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InteropTokyo2009 EtherOAM相互接続実験結果
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