みんなが知らずに使ってるAkamai(5)
最後に
今回のセミナーは非常に楽しかったです。 参加者が終了後にひたすら「今日は楽しかった」と言っていました。 今まで自分が知らなかった事を色々知れたり、知らない所で動いている「何か」の存在を意識できたのが良かったのかも知れません。
セミナーを開催して頂いた、Akamaiさん、そしてこの企画を立案して実現したyasuyukiさん、ありがとうございました!
なお、この文章は公開前にAkamaiさんに確認して頂き、了承を得て公開しています。 また、文章執筆のために色々調べたのでプレゼンそのものとは全然関係が無い内容も結構色々入っています。 ご注意下さい。
*1 おまけ:TCPスループットのモデル
TCPの性能は以下のような数式としてモデル化可能です(参考:Promoting the Use of End-to-End Congestion Control in the Internet, Sally Floyd and Kevin Fall, IEEE/ACM Transactions on Networking, 1999)。 距離が大きくなれば通信速度が遅くなるのは以下のようにTCPによる要因もあります。 しかし、だからといって必ずしもTCPが悪いわけではないのでご注意下さい。 データ到着の信頼性が確保できないインターネットでの通信において仮想的に信頼性を確保する技術としてTCP以上のものはまだありません(少なくとも普及しているものとしては無い)。
上記式を見ると、スループットを表す「T」は右側の式よりも小さくなります。 ということは、右側の式が大きくなるような条件であれば得られるであろう最大スループットは上昇し、逆に右側の値が小さくなるような条件であれば通信によって得られるスループットが降下します。
式右辺を考えたとき、MTUは通信中に大きく変化する事は少ないです。 まあ、例えば通信中ずっと1400周辺の値になるぐらいで考えてみて下さい(1400という値は話を単純化するための嘘です)。 通信中に最も変化するのがp(パケット喪失率)です。 これは他の通信のトラフィック量などによって変化する事が多いです。
最後のRがパケットが行って返ってくるまでの時間です。 距離が大きくなると、この「R」部分の値が大きくなります。 そして、分母に入っているRの値が大きくなると、全体的なスループットも小さくなって行きます。
おまけ
過去に実際に起きた「インターネットが壊れて復旧した」事件を端緒に、「粘り強いが壊れやすく、壊れやすいが粘り強い」という視点でインターネットの形を探るという本を書きました。 インターネットを構成する基礎技術TCP/IPを解説した書籍は非常に多くありましたが、そのTCP/IPを使ってインターネットがどのように運用構築されているのかに関しては、あまり知られていません。本書は「TCP/IPを知っていてもインターネットはわからない、一方でインターネットを知るにはTCP/IPの細かい話を全て知る必要もない」という思想で、教科書的にならずに、あくまで「読み物」として楽しんで頂けることを目標に書いています。 Akamaiは7章で紹介しています。
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