みんなが知らずに使ってるAkamai(4)
ただし、SSL対応をアカマイ社に依頼する場合、利用するアカマイサーバの数だけ証明書を発行しなければならなくなります。 例えば、4万台のアカマイサーバがSSL負荷分散に使われる場合、4万個の証明書をオリジナルコンテンツを持つ企業はCAから4万個の証明書を発行してもらう必要があります。 流石に普通の料金で4万個も証明書を発行してもらうと大変な値段になるので、コンテンツを持つ企業は適宜認証局を持つ企業と交渉をする場合もありそうです。 認証局とアカマイ間で契約がある場合もあり、その場合はスムーズに事が運ぶそうです。
どのコンテンツをSSL対応を依頼するかどうかは顧客側が全て決定します。 クリティカルな顧客情報がアカマイ社に漏れるような依頼をするクライアント(アカマイ社の顧客)はいないだろうと勝手に予想しています。
XMLで動作設定が可能
色々と細かい設定も出来るようです。 例えば、任意のHTTP headerに対する挙動をXMLで記述するという事も可能なようです。
最初はこのような機能がどのように利用されるのかが良くわからなかったのですが、例えば携帯電話のためにUser Agent情報を見て振り分けたり、Accept-Languageがenかjaでredirectする先を変えたり、cookieをセットする事ができるとのことでした。 確かに、そのような用途はありそうです。
何でも配信できる
個人的に凄いなぁと思った点の一つとして「配信は何でも出来ますよ。そもそもIPプロトコルレベルで自由でTCPでなくても良い」という説明が挙げられます。 「ファイルフォーマットは何でもOK」ならば、まあそんなものだろうとも思うのですが、任意のIPプロトコルをCDN化って強烈だと思いました。
これって、もしかしてSCTP(Stream Control Transmission Protocol)を導入できちゃうって事ですかね? あと、例えばモバイルIPをCDN網で実現したりとかできちゃいます? 「CDNのMVNO(Mobile Virtual Network Operator)」みたいな感じになるんですかね?
SLA 100%の凄み
さらに凄いのがISPレベルでの災害が発生したときのフェールオーバー機能です。 SureRoute機能と命名されているようです。
常に他のアカマイサーバとの通信状況などが把握され続けているので、ISPレベルでの障害が発生しても別のアカマイサーバとの連携が自動的に開始され、通信障害が回避されます。 これによって、例えば特定のアカマイサーバ同士を繋ぐISPが落ちたとしても、違う経路から辿れるアカマイサーバとの通信が新たに行われます。
このようなCDNサービスを受けていないWebサーバであれば、どこかのISPが落ちた時に特定の地域が通信不能になります。 しかし、アカマイサーバによるサービスを受けていると、そのような放射状に広がる通信障害は発生しにくくなるのだろうと思います。
光ファイバ切断事故
地中海海底ケーブル2本が切断されて、エジプト、インド、湾岸アラブ諸国で一般のインターネット通信が不安定になっても、アカマイ社の提供するサービスは安定してたと自慢してますね。
「2008年2月13日 - アカマイ、最近の海底ケーブル切断によるインターネット遅延について独自の見解を表明」
SLA 100%は自信の現れだと思う
このSLA 100%というのは非常にマーケティングに有効だと思いました。 達成できなくて責められるリスクを取ったとしても「お金を払った分は何があっても保証します」と言い切れるというのは、かなりの自信の現れなんだろうと思います。 自社システムにかなりの自信がなければ、恐らく100%とは言い切れないのだろうと思います。
IPv6
セミナーでIPv6に関して質問してみました。 答えは「検討中」で実際に何かが出来上がっているわけではないとのことでした。
実際、色々と難しい問題がありそうです。
例えばIPv4とIPv6で通過するISPが違ってきたり、オリジナルデータが変わって来る可能性もあるので、単純にネットワーク層が変わるだけではなさそうです。 細かい所ではアクセスログの扱いや、キャリアグレードNATへの対応などもあるかも知れません。
さらに、そもそもIPv6に対する需要がまだ無いというところも大きいです。 IPv6が語られる時にいつも登場するおなじみの鶏と卵問題です。
個人的に思ったのは、例えばアカマイサーバが4to6もしくは6to4的な働きをすれば、世界のIPv6化にとって非常に大きいのかも知れないということです。 ただ、商業的にCDNを行っている事業体なので、やはり強いニーズが無ければIPv6化へと踏み切るのは難しいのだろうと思います。
ストリーミング
Webだけではなく、様々な動画の配信もできるという説明がありました。 最近はFLVによる動画配信も多いようです。
ストリーミングはWebとは別の仕組みで動作しているようです。 ISPにおいてあるアカマイサーバのうちいくつかはOSごと切り替えが出来るようになっていて、リモートから再起動してWindowsにしたりLinuxにしたりできるようです。 例えば、Windowsでしかストリーミングができない時などには状況に応じて必要な台数をWindowsに切り替えてしまうようです。
オバマ大統領の就任演説
米国時間2009年1月20日行われたバラク・オバマ大統領の就任演説は、東部標準時間午後12時15分頃のピーク時には700万フローのビデオストリームが視聴され、2Tbpsを超えるトラフィックが発生したそうです。
確かにみんな見てましたね。
(続く:次へ)
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