みんなが知らずに使ってるAkamai(3)
インターネットには様々な「ごまかし技術」というものが存在していますが、この特許で実現されているのも一種の「ごまかし技術」なのかも知れません。 DNSを利用する事によって、ユーザの環境を全く変更せずに負荷分散が出来るのは、既存の第三者が運営する様々な装置を全く変更せずに「ごまかしつつ」、本来の動作とは別の動作をするようなシステムを作り上げています。 既存システムを変更しなくても良いというところに、この特許の強さと美しさがあるのだろうと思います。
アカマイサービスを購入する顧客
アカマイ社が提供するサービスを購入する顧客は以下のような条件がありそうです。
- 特定地域だけではなく世界に対して情報発信をしている
- 世界中から非常に多くの人々がWebサイトを見に来る
- 大きいデータファイルをやり取りすることがある
- 何かのきっかけでアクセスが集中することがある
もちろん、上記条件に限定されるわけではないのですが、上記条件を満たすような巨大企業にメリットが大きいサービスである気がします。 例えば日本国内だけでサービスをするのであれば、国内の複数拠点にWebサーバを設置するだけでも何とかできるのかも知れません。 しかし、世界中に高品質なWeb配信を行おうと思った場合、世界各所のデータセンターにサーバを設置する必要が出てきます。 世界各所にサーバを設置するのは非常にコストがかかります。 日本とアメリカだけならば何とかなるのかも知れませんが、多くの国がひしめき合うヨーロッパなどに対しても高品質にWeb配信を行うのは非常に大変です。
でも、そのような巨大企業だけで全世界のトラフィックの2割まで行く場合があるというのは凄いと思えます。
アカマイ社の顧客企業の発見方法
検索エンジンを使うとアカマイ社の顧客企業をある程度発見可能です。 以下の検索キーワードで検索してみて下さい。 (これは私が勝手に調べた方法でプレゼンで解説されていたわけではありません。ご注意下さい。)
- akadns.net
- edgesuite.net
- akam.net
さらに、発見したそれらしきドメイン名を使ってDNSに問い合わせをしてみます。 例えば、windowsの場合はコマンドコンソールから以下のようなコマンドを入力します。
C:\> nslookup www.microsoft.com
Name lb1.www.ms.akadns.net
Address: XXX.XXX.XXX.XXX
XXX.XXX.XXX.XXX
Aliases: www.microsoft.com
toggle.www.ms.akadns.net
g.www.ms.akadns.net
MacosX,Linux,*BSDの場合は以下のようにします。
% dig mixi.jp
; <<>> DiG 9.3.4-P1 <<>> mixi.jp
;; global options: printcmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 19980
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 5, AUTHORITY: 8, ADDITIONAL: 8
;; QUESTION SECTION:
;mixi.jp. IN A
;; ANSWER SECTION:
mixi.jp. 600 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
mixi.jp. 600 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
mixi.jp. 600 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
mixi.jp. 600 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
mixi.jp. 600 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
;; AUTHORITY SECTION:
mixi.jp. 86400 IN NS ns1-126.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS aus1.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS eur3.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS eur5.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS use4.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS usw1.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS asia9.akam.net.
mixi.jp. 86400 IN NS ns1-55.akam.net.
;; ADDITIONAL SECTION:
aus1.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
eur3.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
eur5.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
use4.akam.net. 156738 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
usw1.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
asia9.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
ns1-55.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
ns1-126.akam.net. 81396 IN A XXX.XXX.XXX.XXX
それっぽいDNSが関わってれば、そのWebサイトを運営している会社はきっとアカマイ社の顧客ですね。
ISP間を流れるトラフィックを監視???
「アカマイはISP間を流れるトラフィックがわかる」という発言がプレゼン中で出て来たのですが、帰りの電車でこの表現の意味する所がどこか非常に気になりました。 セミナー中に質問が出来なくて非常に残念だったのですが、個人的にはこの表現は誤解を招くのではないかと思いました。
恐らくISPはアカマイ社にトラフィック情報を生で渡したりしていません。 本当の意味で「ISP間を流れるトラフィックを知る」にはBGPルータから流れるパケット数等に関する情報を得なければなりません。 アカマイ社にそのような権限があるとは考え難いです。
私が個人的に思ったのは「アカマイサーバ同士の通信量を知っている」という話なのではないかと感じています。 「このISPはアカマイサーバの台数が○台で容量的に足りなくなることが多いので隣のISPにあるキャッシュに問い合わせる事が多い」というような情報を元に、ISPに設置すべき最適なアカマイサーバの台数を推測してISPに提案しているという話なのでしょうか?
それとも、本当にISP間を流れる生トラフィックに関するstatisticsを得る権限を持ってるのでしょうか?
ISPにアカマイサーバを設置する
アカマイサーバを世界中のISPに設置してもらうという表現だけを聴くと非常に単純ですが、ここにも色々と複雑さがありそうです。
「コスト負担は誰がどうしているのか?」という質問をしたのですが、あまり直接的に言いたくないような雰囲気が一部含まれていました。 流石に質問が直球過ぎだったと思います。
ISP同士のpeeringとか、tier1などの話と同様に、ここにも個々の力関係というものがあり、色々な要素で様々なものが決まって行く世界なのだろうと推測しています。
なお、アカマイサーバはAMD64 Linuxだそうです。
SSL対応
httpsでURLが始まる通信として良く知られているSSL対応も可能のようです。 暗号化処理は非常に重いので、通信路暗号化処理が必要になるコンテンツの負荷分散が出来る事は重要です。
(続く:次へ)
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