はてブにもdiggのburyのような機能があればいいのに
アメリカのソーシャルニュースサイトのDiggにはburyという機能があります。 他の人が「掘り下げた(Diggした)」記事を「埋め立てる(bury)」ことができます。 この機能によって「不適切な」もしくは「不愉快な」記事が多くの人の目に触れる前に却下されていきます。
日本国内におけるソーシャルニュースの役割を果たしている最大級のサイトとして挙げられるのがhatenaのブックマーク(以下はてブ)だと思います。 ユーザの多くはWeb屋/IT屋/アニメ好きのような雰囲気を感じる事もありますが、実際にはもっと広く使われている気がします(恐らく私の興味とマッチする人ばかりが目立って見えるのかも知れません)。
最近、私は「はてブにもdiggのようなbury機能があればいいのに」と強く思います。 その方が、はてなのタコツボ化を防止できるとともに、一部のブロガーが痛い目に遭わずに済む気がしています。
以下、私がそう感じている理由を述べます。
たこつぼ化への危惧
このはてなブックマークは、最近色々とリニューアルされて変化してきています。 はてな社社長の近藤氏はブログにて「たこつぼ」という記事を書いています。
しかし、今のまま行くと、単にインターネット好きの人々が集まるたこつぼを作るだけで、ネットの進化は別の方向に行ってしまう可能性があるという強い危惧を感じる。
このように、はてなサービスの「たこつぼ化」を危惧しています。 このタコツボ化への危惧はサービスの運営方法にも現れている気がします。
わかりやすい例としては、www.hatena.ne.jpでIT/コンピュータ/アニメなどの注目記事が表示されなくなったことが挙げられます。 昔は表示されていたのですが、昨年末からは社会/政治経済/生活人生/スポーツ芸能音楽/科学学問のみがwww.hatena.ne.jpのトップに表示されるようになったようです。
カテゴリに「一般」を新設しました。一般カテゴリは
- 社会
- 政治・経済
- 生活・人生
- スポーツ・芸能・音楽
- 科学・学問
の計5つのカテゴリを総合したカテゴリです。 より多くのユーザーのみなさまにはてなブックマークの人気エントリーをお楽しみいただけるよう新設しました。
新しいはてなのポータルでは、一般カテゴリから人気エントリーを掲載しています。
http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatenabookmark/20081218/1229593703www.hatena.ne.jpを見ているユーザは非常に多く、ここでIT系のピックアップ記事を表示しないことによって「IT臭」を消したいのだろうと思われます。
「たこつぼ」を形成しているもの
私が個人的に「たこつぼ」のように思えるのは、はてブでの「はてな村」的な話題が多い気がします。 個人的にはついつい読んでしまうのですが、「はてな村」が何であるかを知らない新規ユーザなどにとっては「意味不明」だろうと思います。
そして、「はてな村」で話題になるネタの多くはネガティブなものであることが多いとも感じています。 例えば、「○○さんが××さんの記事に文句を言った」、「××さんが反論した」、「△さんはひどいと思う」などの「揉め事」系ネタが「イカニモはてな村的」な感じがしてしまいます。
はてな村での揉め事は多くの外野を呼び込むようです。 外野が増えると、個々の記事に対するブックマーク数も増えていき、最終的には人気記事としてhotentryに掲載されるようになります。
賞賛も批判も1ブクマ
何故、揉め事が人気記事になっていくのかを考えて行くと、恐らくはてブの仕組みが賞賛と批判を平等に扱っているからであると思われます。 賞賛を示すブクマも、批判を一言書くためのブクマも、後で読むためのメモ用のブクマも、どれも平等に1票の投票として扱われます。
特定の記事に対するブクマ一覧は、ある程度の人が見ていることが知られているため「私はこの記事に対してこう思う」という「一言を言いたい」ためにブクマされることも多い気がします。
全てが平等であるため、多くの人が不快感を示すような特定個人の記事が人気記事になってしまったりします。
そして、人気記事一覧は多くの閲覧者が発生するため、特定個人が「書いてしまった」記事が批判的な意見とともに多くの人に閲覧されてしまいます。 これは、ある意味「怒りの増幅装置」になっているような気がします。
記事によっては、書いた本人が一番悪いようなものも多い気がしますが、それにしても私は「その記事が存在していること」さえ知らなければ、その記事を書いている人に対する怒りを覚えることは無いのだろうと思います。
buryによる効果
このような現状であるはてブですが、不特定多数が「この記事は人気エントリに掲載すべきではない」と言えるような「bury機能」があれば、非常に多くのユーザの目に触れる前に記事が人気エントリ一覧から削除されたりするだろうと思います。
そして、「たこつぼ的な内輪記事」に対する潜在的な批判も多そうなので、bury機能が出来れば「たこつぼ的な記事」は人気エントリに入りにくくなるだろうと予想しています。
一方で、「無難なエントリ」ばかりが生き残るようになり「はてブとしての味」が薄くなってしまうという問題はありそうな気もします。 多少の批判を集めるような記事の方が楽しかったり、本質的なところではためになったりするような気もするんですよね。 ただ、何がアウトで何がセーフかは、運用を通じてコミュニティが決定していくのだろうと予想しています。
ブロガーにも優しい
bury機能は一部のブロガーに対しても優しい機能であると予想しています。 多くの場合、極端な事を書くブロガーは、ある日突然形成されるわけではありません。 そのような人もたまにはいるようですが、まわりの反応を狙ううちに徐々に過激化していくパターンが多い気がします。
最初のうちは自分でも気がつかずに反感や負の感情を積み重ねて行き、あるきっかけでそれが大量の批判ブクマという形で溢れ出す事があります。 批判的な意見が大量発生するとともにブロガーに対する個人攻撃が開始される前に、様々な細かい積み重ねがあるような気がしています。 そして、色々見ていると、自分が徐々に過激化しているのを気がつかない場合が多い気がしています。 ある特定の点までは持ち上げていた人々も、気がつくと批判側にまわっていたりします。
過激化することによって、反応が増えるという状況が多少減れば、不要に過激化してしまう人も減るような気もします。 まあ、もちろん、反応があろうが無かろうが過激な人もいるので、あくまで本人が意図しないのに過激化している人にしか効果はなさそうではあります。
最後に
まあ、はてブにbury機能が出来たとして、自分の書いた文章がburyされるようになる気もしなくもないのですが。。。 それはそれとして、何となくbury機能があれば「たこつぼ」が減るのではないかと思った今日この頃です。
いや、でも、「たこつぼ」ではなくなったら、つまらなく感じるユーザも多いのかも知れません。 たこつぼって自分が中にいると感じている間は非常に居心地が良くて楽しいんですよね。
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