はてなブックマークリニューアル
昨日、はてなブックマーク2.0の発表会に行ってきました。 伊藤直也氏による「はてなブックマーク概要」と、株式会社プリファードインフラストラクチャCTO太田一樹氏による検索機能紹介でした。
今回の目玉
今回の目玉は、デザインの刷新、検索機能の強化と、ジャンル分け機能の強化、お気に入り機能の刷新によるコミュニティ化の促進だと感じました。
個人的には、「お気に入り」機能の大幅な改造によって発生するコミュニティの自律分散的な発生促進が最も大きな変化になるだろうと感じました。
検索機能強化
今まではてなでブックマークしても、タグ以外で過去のブックマークを発見するのが非常に難しい状況でした。 今回の検索機能強化によって、「何でもいいからブックマークに放り込んで後で探す」ということがやりやすくなっているようです。
ジャンル分け機能強化
新しいはてブでは、記事の中身を確認して自動的にジャンル分けが行われる機能が追加されています。 新聞記事では、9割以上の確率で正確に分類ができるそうです。
また、ユーザがジャンルを訂正したとき、その訂正情報のフィードバックが行われるそうです。 ベイジアンフィルタを使って、変更に関しての学習が自動的に行われる仕組みを採用しているとのことでした。
お気に入り
今回、個人的に一番大きな変化だと感じたのが「お気に入り」機能の拡充です。 自分が気に入ったブックマーカが複数人ブックマークしたものだけを表示できます。 UI的には一人、二人、三人になっていますが、URLを直打ちすれば任意の人数でできます。
お気に入られ
さらに、「お気に入られ」もわかるようになっています。 これによって、twitterのフォローしかえしのような事も発生しそうです。 お気に入りに登録されると、メールを受信できるような仕組みもあります。 今まであまり利用されてこなかった、「お気に入り」機能ですが、私も早速100件以上登録してみました。 (結構ネット上で活動している人でも、はてブのお気に入りを使っていない人も多いんですよね)
自分のお気に入り画面
自分をお気に入りに入れてくれている人一覧が出てきて、相手をお気に入りに入れやすいUIになっています。
どこからでもお気に入りへ
さらに、どこからでもお気に入りに入れられるようなUIになっています。 例えば、他人のお気に入りにはっているユーザのアイコンや、人気エントリや注目のエントリでのはてブ一覧などからも「お気に入り」に登録できます。 登録には、各ユーザのアイコンをクリックして選択窓を表示させ、その中から「お気に入りに追加」を選びます。
お気に入りのタブ
さらに、お気に入りの中からスターを付け合って「スターフレンド」になったり、はてなグループを利用したブックマーク人気リストを作ったりできる「タブ」機能もあります。 これらは、今後機能追加されていくようです。
今後は、「お気に入り」を活用したセグメント分けが活発になると予想されます。
ネガコメ問題
はてな社内では、はてなブックマーク上でのネガティブコメント問題が非常に大きな問題として扱われているという雰囲気を感じました。 今回のリニューアルで、直接ネガティブコメント問題に取り組んでいるわけではありませんが、次の大きな課題として「社会層(メディア・コミュニティ)」に関して扱うと述べられていました。
ただ、個人的にはネガティブコメント問題には、個人の感情が可視化されただけである面もあるため「ブックマークとコメントを共有する」というシステムそのものと「ネガティブにならない」こととの両立は非常に難しいと感じています。 業界や思想の対立が可視化された結果、対立する双方が相手を「ネガティブ」であると感じているだけの場合や、ネガティブなコメントを書かれてしまう原因が原著者の勘違いや知識不足という場合もあります。 また、「正義」や「正しさ」に関しての概念が各個人毎に違うというのも非常に難しい点です。
これらをシステムとして作るのは、恐らく容易ではありません。 「褒める事しかできない」スターでさえも、批判的なコメントに対してスターをつける事によって、批判/批評に力を与える効果があります。
ジャンル分け学習機能
ユーザがジャンルを訂正したときに、その情報が学習されるという話がありましたが、悪意のあるユーザが大量に発生して意図的に学習を行わせようとした場合どうなるのか気になったので、質問時間に質問してみました。
回答としては、現在フィードバックが行われるのはスタッフが行った変更だけであり、一般ユーザによる変更ではフィードバックは行われないとのことでした。 さらに、実際には今のところジャンルを設定しているのはnaoyaさんだけであるそうです。 今後は、「はてなブックマーク市民」や「はてなブックマーク議員」構想などを使って、一般ユーザも学習フィードバックに参加できる仕組みを考えて行きたいとのことでした。
さらに、会見後にnaoyaさんに「自分のサイトに対するブックマークのジャンル変更はフィードバックさせても良いのではないかですか?」と個人的に質問してみました。 現在、投げ銭をするためのシステムとして「サイト管理者」と「はてなアカウント」を結びつける機能があるそうです(foaf:accountNameを使った方式ですね。参考)。 それを活かせば出来そうだという話をnaoyaさんがされていました。
移行
11月25日にシステム置き換えが行われるようです。 今から20日後に一斉に全ユーザが移行作業を行わなければならないわけですが、それまでにどれだけバグを潰せるかと、移行を行う時のダウンタイムがどれだけ短いかが恐らくhatena社の腕の見せ所だと思います。 非常に困難な作業だと思いますが、頑張って頂きたいと思います。
個人的には多くのヘビーユーザに3ヶ月ぐらい使って頂いて、バグを出し切ったりレビューを受け取ったりしながら調整してから一斉置き換えが良いのではないかと感じています。 イースターエッグ探しのようにバグを探す事を「楽しい」と感じるユーザは多いはずで、そのようなユーザの力を最大限借りると移行作業の混乱は軽減できる気がしています。
JavaScriptが必須?
今回のバージョンアップによって、かなりUIが使いやすくなったと感じました。 しかし、UIの使いやすさ向上はJavaScriptに頼っている部分も非常に多いと感じました。
例えば、現状の「お気に入りに追加」部分のHTMLは以下のように記述されています。 href="javascript:void(0);" なので、JavaScriptをOFFにするとお気に入り追加が出来ません。
の部分は、
<li class="following">
<a href="javascript:void(0);"
onclick="Hatena.Bookmark.IgnoreEdit.TextLink.create(this, 'geekpage');"
class="add-ignore"><img src="/images/ignore.gif"
alt="ユーザーを非表示" /></a>
<a href="javascript:void(0);"
onclick="Hatena.Bookmark.FavoriteEdit.TextLink.create(this, 'geekpage');"
class="add-favorite"><img src="/images/follow.gif"
alt="お気に入りに追加" /></a>
</li>
なお、ここら辺は正式リリースまでに変わる可能性があります。 現状で見えているHTMLコードは仮である可能性も高いのでご注意下さい。
最後に
細かいところでは色々ありそうですが、全体的に非常に考え込まれていて良いシステムだと感じました。 SBMとしての利用しやすさを向上さえるために検索機能を充実させる一方で、より「コミュニティ」としての機能を強化するために「お気に入り」を中心としたシステムの構築を実現できているプランだと思います。
最初は戸惑いが発生するかもしれませんが、徐々にこなれていって、より良いものになって行きそうだと思えた発表でした。 今後が非常に楽しみです。
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