インターネット論文「The Design Philosophy of the DARPA Internet Protocols」を読む
最近、雑誌を読むのに飽きてきたので、どうせなら論文を読んで勉強しようと考えてみました。 どうせならインターネット関連の論文を読もうと思い「良い論文」とされているものを探してみました。 まずは、大御所系論文から読んでみました。
インターネットは、米国防総省の資金援助によるネットワークプロジェクトDARPANET(Defense Advanced Research Project Agency Network)で開発されたものを元にしています。 この論文はインターネットの前身であるDARPANETとインターネットのdesign philosophy(設計理念)を説明しています。 インターネットで使われる各プロトコルを知ることも重要ですが、インターネットの当初の設計思想を知るのはもっと重要です。 ということで、この論文をまず読んでみました。
折角読むなら他の人が読みやすいようにちょっとしたメモを公開しようと考えました。 ということで、読んだ内容を何と無く摘んでメモを書いてみました。 役に立つかどうかは不明ですが。。。
Abstract
この論文、abstractからカッコイイですね。要約(勝手に翻訳なので間違っているかもしれません)すると、
- TCP/IPが最初に提案されてから15年たった(1988年の論文なのでその15年前)。 プロトコルがどうやって動作するかを扱った論文は多数あるが、何故そのプロトコルをそうなったかを知ることは難しい場合がある。 この論文はインターネットを形作った当初の設計理念を解説する。
といった感じの事が書いてあります。
1.Introduction
1章によると、一番最初のプロポーザルと実際に出来上がった標準はかなり違っているらしいです。
まず、データグラム型であることとコネクションレスサービスである事は、当初はあまり強調されていなかったけど結果として標準では重要な要素になったそうです。
IPとTCPがレイヤーに分かれているのも途中からで最初はわかれていなかったそうです。 こういった変化は標準策定前の実装とテストを繰り返すことによって行われていったそうです。
この論文は、インターネットがもともと目指していた目標と実際に出来上がったプロトコルとの関係を紹介してくれるらしいです。
2. Fundamental Goal(基本的な目標)
DARPAの最も重要な目標は現存する複数のネットワークを相互に接続することでした。
(とりあえず、英語のままの方がわかりやすいかも知れないので英語のままで。) The components of the Internet were networks, which were to be interconnected to provide some larger service.
次に重要だったのが、色々なTrasmission mediaを使って単一のシステムを構成することでした。 (論文では書いていませんが、無線やら有線やら光ケーブルやら色々な機器同士がつながれるというのは実は凄いことだったりします。)
通信の多重化のために使われた技術はパケットスイッチングでした。
Gatewayと呼ばれるpacket switchesによってネットワークが相互接続されるという事も目標の一つでした。
これらの基本的な目標からインターネットの基礎構造はできあがっていきました。
3. Second Level Goals
この論文ではインターネットアーキテクチャの「set of goals」は以下のようなものだったと言っています。
- Internet communication must continue despite loss of networks or gateways.
- The Internet must support multiple types of communication service.
- The Internet architecture must accomondate variety of networks.
- The Internet architecture must permit distributed management of its resources.
- The Internet architecture must be cost effective.
- The Internet architecture must permit host attachment with low level effort.
- The resources used in the Internet architecture must be accountable.
上記のような条件を満たすアーキテクチャを目指してインターネットは設計されていたそうです。 上記条件は重要度順に並べられています。 最初に述べられている条件が一番重要ということでした。
インターネットはもともと軍用に設計されているため、ネットワークのsurvivability(生存性)が最も重視されたそうです。 戦時中は使えるものはできるだけ使いたいのであって、accountable(責任の所在がわかる?課金できる?ちょっと自信ありません)である事はあまり重要ではありません。 商用に設計されていればこれらの順序は変わっていたかもしれないそうです。
今日はここまで
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