OSI 7層モデル

今までメールやWebを使っていて、「何で、ADSL・無線・光ファイバーなど色々別の回線を使って通信出来ているのだろう?」と思った事は無いでしょうか? もし、何気なくインターネットを使っていてそのような疑問を持てたら、貴方はすごいです。目の付け所が良いです。 ただ、思ったことが無かったとしても、今、この瞬間思ってください(笑)。

実は、このように物理的な接続形態のバリエーションが豊富であることもインターネットの特徴の一つです。 これは、自律分散的な発想が各機器の内部の設計に含まれているからです。 このような物理的な接続形態のバリエーションを生み出しているのがOSI 7層モデルです。 この7層モデルの特徴としては、「各層は自分の責任範囲だけを頑張る」ということです。

図1. OSI 7層モデル
番号 名称 役割 具体例
7 アプリケーション層 個々のアプリケーション WWW、メール
6 プレゼンテーション層 データの表現形式 HTML
5 セッション層 通信手段 HTTP
4 トランスポート層 End-End間の通信制御 TCP、UDP
3 ネットワーク層 データを送る相手を決め最適な経路で送る IP
2 リンク層 隣接機器同士の通信を実現する Ethernet
1 物理層 物理的な接続、電気信号 光ファイバ、電話線

7層モデルの一番下は物理層です。 一番下の層の事をレイヤ1(Layer 1)とも言います。 物理層は、物理的な接続形態を表します。 例えば、光ファイバー、電話回線、LANケーブル(Ethernetケーブル)、無線などは物理層に相当します。

下から2番目の層はリンク層です。 レイヤ2(Layer 2)とも言います。 リンク層は、隣の機器との接続性を確保します。 ここでの接続性とは、物理層での物理的接続ではなく、論理的な接続です。 例えば、光ファイバーで2台の機器を接続しても同じ方法で通信をしないと通信は成り立ちません。 このような隣の機器との通信方法を決定しているのがリンク層です。 リンク層では、物理層の違いを吸収するという作業も行っています。 例えば、光ファイバーもしくはLANケーブルで通信できるイーサネットというものがあります。 下の物理層が異なっていても、リンク層がその違いを隠蔽すれば、それより上は一番下がどんな物理的接続形態なのか考えずに済みます。

下から3番目はネットワーク層です。 レイヤ3(Layer 3)とも言います。 ここでは、隣よりもさらに離れた機器との通信を実現します。 この表現は多少わかりにくいかも知れません。 私も一番最初に勉強をした時にはレイヤ2とレイヤ3の違いが感覚的にわかりませんでした。 レイヤ2とレイヤ3の違いを図2に示します。

図2. レイヤ2とレイヤ3の違い

図のように、レイヤ3では離れた地点との通信を実現します。 すごく乱暴に言ってしまえば、ルータを超えないのがレイヤ2で、ルータを超えるのがレイヤ3です。 ここでもOSI 7層モデルの階層が重要な役割を果たしています。 階層構造が無い状態では、下の図のような状況で困ってしまいます。

図3. 色々な物理接続で繋がれたネットワーク

階層構造のお陰で各ルータが接続している物理形態やリンクに左右されずにレイヤ3が動作することが出来ます。 このネットワークを越えた通信をするのがIP(インターネットプロトコル)と呼ばれるものです。 「プロトコルとは何か」という疑問を持ったと思った方は<こちら>へ。

次のレイヤ4は、トランスポート層と呼ばれます。 レイヤ3までは、パケットが届くまでの作業をしますが、レイヤ4以上(以上というのは4を含みます)は宛先にパケットが届いてからの作業をします。 レイヤ4の代表的なプロトコルにはTCPやUDPがあります。 TCP/IPという表現が良く利用されますが、これは、IPとTCPを使った通信を表しています。 現在のインターネットでの通信の99%以上はTCPによるものなので、TCP/IPがインターネットと同義で使われている場合を見受けますが、厳密には別物なので注意しましょう。

レイヤ5以上の部分は、今回の全体像とあまり関係がなく、しかも混乱させそうなので、今回の説明では割愛させていただきます。 「書け」というご希望を頂ければ書きたいと思います。

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