IETF homenet co-chair, Mark Townsley氏インタビュー(3)

2013/5/13-1

Q: その構造を実現する為に、IPv6でなければならない点はありますか?おっしゃったいくつかの点はIPv4でも実現可能だと思います

任意の形でのコネクションとともに実現したいのが、複数ISPによるマルチホーミングです。 マルチホーミングの話が登場しはじめると、IPv6とIPv4の違いが出てきます。

IETF内に存在しているワーキンググループとして、我々はIPv6のみにフォーカスするとしてチャーターされています。 とはいえ、IPv4を壊すようなことは許されてませんし、可能な限りインターネットプロトコルを侵さないことが求められています。 ということで、もし我々がIPv6のためにつくったものがIPv4でも使えるのであれば、IPv4でも使えます。 ただ、我々のワーキンググループではIPv4用のドキュメントは策定しないので、誰かが別にドラフトを書くなどすれば良いと思います。

たとえば、「IPv6ではこのようにやる。しかし、IPv4ではその方法では無理だ」というような話があったとき、IPv6側を損なわせてIPv4の制約にあわせたりはしません。 ここが非常に重要な点です。 IPv4とIPv6の両方のためのものを作るわけではないのです。 IPv6のために作ってるのであって、たまたまIPv4でも動くのであれば、それはそれで良いという感じです。

ということで、我々が沢山のルータを繋げようとしているものは、ルーティングプロトコルになります。 家庭内で利用するためのIGPです。 いまのところ、それはOSPFです。 最近はIS-ISについての議論もあります。

さらにいうと、他の何かが登場する可能性すらあります。 ワーキンググループが軌道に乗って来ると、沢山の人々が独自プロトコルを持ってくるようになります。 そして、どこかでワーキンググループが決断する必要があります。

この話の根本的な部分は、それらのルータの間で何らかのコントロールプロトコルが存在するということです。 そのプロトコルは、複数のコネクションから来る複数のプレフィックスを許容し、内部で全てのルータがローカルプールを持てるようにプレフィックスを割り当て、そのローカルプールがDHCPv6を通じてホストにアドレスを渡せるようにします。 それは、完全に分散された運用になります。 全てを制御するゲートウェイは存在しません。 IPv6では、各ISPへのコネクションは自律して運用されます。 たとえば、あるISPコネクションが/56で行われていて、その/56が家庭内の全てのルータに広告されていて、家庭内の個別セグメントには/64が自動的に割り当てられます。 我々には、そのためのアルゴリズムなどが既にあります。

それらは、ISPへのアップリンクの数だけ行われます。 たとえば、ISPへのアップリンクが二つあれば、二つの委任されたプレフィックスと、二つの/64、そして全てのホストが二つのアドレスを持ちます。 これがIPv4とIPv6の根本的な違いです。

似たようなことをIPv4でやることは可能ですが、ひとつのインターフェースに二つのIPv4アドレスを付けることはできません。

(続く:次へ)

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