IETF homenet co-chair, Mark Townsley氏インタビュー(2)
Q: いまおっしゃったビジョンはワーキンググループ全体の意見ですか?それとも個人的な意見が中心ですか?木構造ではなく、任意の構造での接続というと、最近流行のファブリックみたいだと感じました。これからのホームネットワークはイーサネットファブリックやFabricPathのようなものになっていくということでしょうか?
最近よく見るネットワークの形態ですね。 私は、ホームネットワークは今日のキャンパスネットワークと同じようなものになっていくと思います。 ただし、ホームネットワークにはオペレータがいないので、もっと自動化される必要があります。
同じ考えを持った人もいます。 さらに進んで、隣家のネットワークに自動的につながったうえでトランジットを提供すべきだという意見などもあります。 逆に、ネットワークトポロジを一種類に限定したい人々もいます。 現時点におけるワーキンググループのコンセンサスは、両者の間を取ったようなところになっています。
それは詰まるところ、昔からある議論に行き着きます。 「それは長期的視点のゴールですか?それとも短期的視点のゴールですか?」というものです。 いま、ワーキンググループ内で議論が白熱してるのが、まさにここら辺です。
前回のIETFでは、ケーブルオペレータのグループによって、限定されたトポロジによる提案が発表されました。 それより前のIETFミーティングでは、任意の形でのコネクティビティに関して比較的強いコンセンサスがありました。 この話は、いままさに議論されている内容であり、次回IETFで議論されるものと思われます。
前回のIETFの1週間前となる2月20日に、IETF外にあるオペレータのグループによって新しいドキュメントが公開されました。 ドキュメントは非常に詳細であり、ソリューションとともに動作しているコードも提供されていました。 homenetワーキンググループ内にも驚いている人がいましたが、IETFの外ではなく中でこのような活動をして欲しかったと驚いている人々は恐らく考えていたと私は予想しています。 とにかく、今回の件は、ネットワークオペレータがどのように家庭内ネットワークを見ているのかと、ユーザがどうやって家庭内ネットワークを見ているのかの違いを際立たせた言えるでしょう。 オペレータの視点では、ユーザが家庭内ネットワークで利用すべきルータはせいぜい2つか3つで、ISPとの接続はひとつで、他にあったとしてもバックアップ回線かVPNという感じです。 このような視点は多少近視眼的ですが、各家庭をPCひとつであるという見方をしたうえで、NATを使って全てを隠してしまうよりは一歩前進です。
オペレータによってユーザができることを制限してしまうことを、ワーキンググループが避けたいと考えていると私は思います。 これは昔からある闘争です。 電話やテレビなどでも同じようなことが起きました。 1980年代の話になりますが、ケーブルスプリッタとアンプを使ってケーブルテレビ会社に知られずに家庭内で2台のテレビを見たりしてました。 ケーブルテレビ会社が2台のテレビを使っているのを知ったとしたら、2台分の代金を請求していたでしょう。 1台以上のPCを利用できるようにした初期のNATゲートウェイも、これと同じようなものでした。 いつの時代も、オペレータがサポートされた設定として提供するものと、ISPが提供しないという理由でユーザが勝手にやることの間の綱引きがあります。 ワーキンググループ内で、そういった感じの議論も多少見られるようになってきました。
(続く:次へ)
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