初モノてんこ盛り!NICTの「SDN海鮮丼」実験 (2)

2013/2/6-1

Juniper OpenFlow

Juniperのβ版OpenFlowによるデモも行われていました。

デモは、ロジカルシステムによるOpenFlowスイッチによってフローの制御を行うというものです。 基本的なコンセプトは、昨年のInterop Tokyo 2012で行われたデモと似ているという感想です。



帯域オートスケール:SDTN

NTTによるSDTN(Software Defined Transport Network)のデモも行われていました。 このデモは、利用しているネットワーク帯域に合わせて帯域割り当てが行われるというものです。

このデモの前提として、「帯域割り当てが行われた分だけ課金される」というものが想定されています。 使ってないときには割り当てを減らし、使いたいときには割り当てを増やすというものです。

この話を最初に伺った時には、既存ネットワークに合わせて末端ノードが最適なトラフィックを自動計測するような話題だと勘違いしてしまいましたが、末端ノードの生成するトラフィックに合わせて途中ネットワークにおけるQoS的な設定を動的に変更するというデモだったようです。 個人的には、「帯域の動的な適応」というような話題だとどうしてもTFRC(TCP Friendly Rate Control)系の連想をしてしまい、あまり上手く質問ができなかったことが悔やまれます。

SDTNをCisco OnePKで実装したバージョンのデモも行われていました。 将来的には、OpenFlowによる実装も視野に入れたいとのことでした。

FLARE

今回の実験でのFLARE部分の構成は以下のようになっています。

今回の実験での「初モノ」は、イーサネットトレーラでスイッチングが出来る部分と、FLAREによる映像トランスコードです。

まず、イーサネットトレーラでのスイッチングですが、そういった機能は非常に珍しいと思われます。 「多分、世界初」だそうです。 多くのSDN製品はL2-L4の各種ヘッダを見てスイッチング可能ですが、イーサネットトレーラでスイッチング可能というのは、私も初めて見ました。

映像トランスコードですが、FLAREがトランスペアレントなプロキシのように映像をトランスコードします。 これは、パケット単位でやるのではなく、トランスコード用のFLAREがある程度映像をバッファリングしてからトランスコードして、それを配信するというものです。 配信されている映像がフレーム間圧縮を利用するフォーマットなので、バッファリングは必要ですよね。

FLAREそのものに関してですが、FLAREは、「Deep Programabilityを実現するネットワーク仮想化技術」と説明されています。 FLAREに関しては、昨年開催されていたITpro EXPO 2012で記事が出てました。

生体ゆらぎの知見に着想を得た仮想ネットワーク制御技術

「脳や遺伝子等に共通する生体ゆらぎの仕組みを応用し、外乱に強いネットワークを実現する」という発表もありました。





この研究に興味がある方は、以下の論文をご覧下さい。

RISE OpenFlow Testbed

JGN-X上の大規模OpenFlowテストベッドであるRISE(Research Infrastructure for large-Scale network Experiments)のデモも行われていました。

OpenFlow 1.0を独自拡張し、MPLS-TP対応OpenFlowスイッチを開発しているようです。









OpenFlow国際接続実験

SDN 10種類のセレクション系とは独立して、OpenFlowの国際接続実験が行われていました。 SDN 10系統のうちのひとつであるRISE(OpenFlow)系を通してシンガポールのA*STARと接続して4Kの伝送実験を行なわれていました。 映像送信および受信を行う末端側はSDN網における変更を意識せずに、映像の送受信が行われ続けます。

映像伝送実験

映像伝送系の実験も行われていました。 NICTプレスリリース文には、以下のように紹介されています。

コンテンツ(さっぽろ雪まつり会場からのハイビジョン映像)を国内外の複数拠点へHDから4Kレベルの高精細品質にて伝送することで、広域かつ多機能なネットワーク運用技術の実検証を行いました。その際、新世代での高度な運用を念頭に置き、SDNコントローラと連携してネットワーク伝送状況を高精度に測定・分析しました。

また、シンガポール及びタイの研究機関と協力し、ITU-T標準IPTV技術である、LIMEを用いた各国へのVOD及び4Kライブストリーミング配信実験も実施されました。さらに、さっぽろ雪まつり会場では、会場参加者向けのWi-Fiとエリアワンセグによるエリア限定のiPhone/Androidスマートフォン向け映像配信実験及び会場とJGN-Xを100Gbpsネットワークで接続した超高速伝送実験も行われました。

最後に

発表内容を聞いると色々なものがSDNとなっており、「SDNとは何か?」に関しては、まだまだ漠然としているような印象もありますが、色々と新しい試みが詰まっている発表でした。 凄いマニアックな発表だなぁとも思う一方で、面白い取り組みもあると思いました。

あと、「直前まで死闘してました」的なイベントモノっぽい空気が流れているところも、何か凄く共感できる感じです。 初公開モノを含む実験って、こうだよなぁ的な。

今年も昨年に引き続き、「SDN」という単語を良く目にしそうだと思った今日この頃です。

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