OpenFlow 1.3.1相互接続性試験 [Interop Tokyo 2013]
1ヶ月近く開いてしまいましたが、Interop Tokyo 2013記事です。 (最近、やっと書籍関連作業が落ち着いてきました。。。)
ShowNet OpenFlow 1.3.1デモ
ShowNet SDN企画4つのうちのひとつとして、OpenFlow 1.3.1を利用した来場者インターネット接続サービス提供デモが6ホールに設置された体験コーナーで行われていました。
同デモを利用したユーザとしては、そのブースでネット接続を行ったとしてもOpenFlowが実際に使われているかどうかを解析するのは難しかっただろうとは思いますが、ブースはいつも誰かが使っていたので、特に問題なく実演が行われていたのだろうと思います。
OpenFlow 1.3.1相互接続性検証
このデモは、来場者への接続サービスを提供すると同時に、OpenFlow 1.3.1相互接続性検証も兼ねていました。 ほぼ同時にONFの第3回プラグフェスタも行われており、どちらを世界初のOpenFlow 1.3相互接続性検証と言っても支障は無いような状況だったのがおもしろかったです。
- イクシア、「Interop Tokyo 2013」においてOpenFlow v1.3対応機器とのマルチベンダ相互接続実験に成功
- 東陽テクニカ、INTEROP TOKYO 2013で世界初のOpenFlow 1.3相互接続デモを実施 (PDF)
既存のOpenFlow製品の大半がOpenFlow 1.0仕様であり、OpenFlow 1.1から1.3をサポートするハードウェアが非常に少なかったため、Interop Tokyo 2013でのOpenFlow 1.3.1相互接続性試験は非常に大きな意味を持っていました。 「これからOpenFlow 1.3系製品が登場するぞ」という狼煙のようなものです。
OpenFlow 1.0と1.3は、かなり違います
「OpenFlow 1.3.1の相互接続性試験」という文面だけ見ると、OpenFlow 1.0からマイナーバージョン番号が少し上昇しただけにしか見えないかも知れませんが、実は1.0と1.3.1は全く別のものとも言えるぐらい大きくな変更が加えられています。
OpenFlow 1.0策定後、OpenFlowの仕様は急激な勢いでバージョンアップしました。 OpenFlow 1.0が2009年12月、約1年後の2011年2月にOpenFlow 1.1が策定され、約1年半後の2012年6月にはOpenFlow 1.3が策定されました。 そのなかで、OpenFlow 1.1、1.2は根本的な基幹部分に対してドラスティックな変更が加えられています。
たとえば、OpenFlow 1.0ではOpenFlowスイッチを転送されるパケットに対して適用されるフローエントリはひとつだけでしたが、OpenFlow 1.1からは複数のフローエントリに記述された内容が統合されたうえで実行されるという形式に変更されています。
OpenFlow 1.2では、どのようなパケットをマッチさせるのかに関してのマッチフィールドの方式がそれまでとは全く違うOXM(OpenFlow eXtensive Match)に変更されました。 OpenFlowの初期設計は、L2スイッチなどに内蔵されたTCAM(Ternary Content-Addressable Memory)を強く意識しており、マッチフィールドも固定長でした。 しかし、OpenFlow 1.2から採用されているOXMでは、一般的なネットワークプロトコルにありがちなTLV(Tag Length Value)方式に変更されています。
「IPv6サポートがOpenFlow 1.2の大きな特徴である」というような説明が良く見受けられますが、OpenFlow 1.2でマッチフィールドをOXMにすることによってはじめてIPv6対応が可能になったという側面もあります。 IPv6対応するためにOXMのようなものにせざるを得なかったという話もありますが。
これらの他にも、大きな変更が色々とあります。
OpenFlow 1.3は相互接続性確保のバージョン
このように、OpenFlow 1.0以降に非常に大きな変更が色々とありましたが、あまりに急激に仕様が変わったため、ハードウェアベンダーの実装が追いつかず、OpenFlow対応ハードウェアの多くはOpenFlow 1.0対応のままでした。
そのため、OpenFlow 1.3標準化後に、ONFはOpenFlow 1.3を相互接続性確保を行うバージョンにすることに合意し、OpenFlow 1.3での十分な相互接続性が確保されるまでは、さらなる仕様追加はしないとしていました(ただし、1.3.Xというマイナーバージョンアップは行われています)。 OpenFlow 1.3は、ハードウェア実装間の相互接続性確保のためのバージョンという意味合いがあったわけです。
そういった背景で、OpenFlow 1.3.1相互接続性試験がInterop Tokyo 2013で行われました。 このことから、OpenFlow 1.3対応が着々と進みつつあり、それまでは「OpenFlowは基本的にOpenFlow 1.0製品ばかり」という雰囲気が一気に変わりつつあるようにも思えます。
さらにバージョンアップしそうなOpenFlow
さらに、OpenFlow 1.3での相互接続性がある程度確保されつつあることから、ONFがOpenFlow 1.4/1.5の議論を開始することを公表しています。
OpenFlow周辺は、まだ色々と変わっていきそうです。
p.s. 拙著「マスタリングTCP/IP OpenFlow編」が再来週ぐらいから書店に並び始めると思います。よろしくお願い致します!
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