情報通信業界広報によるメディアへの愚痴の話

2013/2/4-1

最近、様々な企業の広報部門の方々と雑談をさせて頂く機会が増えているのですが、大手メディアへの失望というようなお話を伺うことがあります。 どちらかというと、最近失望したというよりも、そもそも期待してないことが多いという話だったりもしますが。

どういうことかというと、たとえば、外国企業の場合であれば、CTO等が来日して記者発表会を開催したときに、何も理解していない記者が来て質問をするときの話だったりします。 記者発表会に来た記者が、そもそもその発表会を開催している企業について何も理解しておらず、とりあえず質問はしてみるものの、その回答を聞いても理解できないので質問が続かないことも多いようです。 で、どうするかというと、記者発表会の後に、その企業の広報部門の人々が記者とマンツーマンで会社の概要からはじまり、その記者が行った質問と回答の意味を説明するという時間を取って、やっと小さな記事にしてもらえるというような愚痴も聞きます(真面目に調べてキッチリ書ける記者もいます。メディア全部が駄目と言っているわけではないのでご注意下さい)。

でも、冷静に考えると、情報通信関連の業界ネタって一般に理解されづらいんですよね。 そもそも、その企業の新製品(新サービス)がどう斬新かとか、どういった部分で利用されるのかという前提の時点で理解してもらい辛いわけです。 しかも、それは記者だけではなく、読者もそうで、間接的に凄く使っていたとしても、「そんな企業知らないよ」となるわけです。

書く側とすれば、そこのために勉強や調査をしたとしても、読者の少ない記事にしかならない可能性が高いわけで、あまり労力をかけてくれないのは仕方がないというのもありそうです。 メディア側がウハウハで資金が潤沢な状況であれば、様々なジャンルの専門家を社内に抱えたりすることも可能なのでしょうが、最近は記者の転職話が多く、今は逆に人が離れていってる状態にも見えます。

そう考えると、やっぱりメディアに期待しても難しいわけです。 しかも、今後その状況が改善する気配は見えておらず、さらに悪化するようにも思えます。 そうなると、各企業が自分で情報発信をしていくしかない気がしています。 自分の情報は、自分で作るという感じです。 記者発表会の準備とPR会社への丸投げばかりでは難しいですよね、みたいな。

ただ、様々な広報部門の方々のお話を伺っていると、コンテンツを自ら作ったり、情報発信のための企画を考えることを嫌がる方々が結構多い印象です。 情報通信業界を見る限りは、コンテンツや企画を考えるのが得意なのは、どちらかというと社内のエンジニアだったりします。 ソーシャルメディア等を上手に活用して情報発信が出来てるなぁと思う企業は、広報部門が企画を考えられるエンジニアとの二人三脚を成功させている会社なのかも知れません。

ということで、「メディアが良い記事を書いてくれない」と愚痴を言いがちな広報部門の方は、ネットを最大限活用しつつ、自分で情報発信を頑張るというのが個人的にはお勧めです。 ネット上で話題にしてくれる人が増えて、「その企業の記事を書けば読んでもらえる」という状況ができれば、記者発表会に来る記者の数も増えるでしょうし、メディアに記事が掲載されやすくなると思われます。 そこまでいかないにしても、記者が事前に知識を得たうえで取材に行けるような状況は作りやすくなります。

「これからはオウンドメディアが大事ですよね」という、特に新しくとも何ともないよくある話ではありますが、そういった方向性の試みが情報通信関連企業で増つつあると感じることもある今日この頃です。

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