日本初のInter-RIR IPv4アドレス移転
日本初のInter-RIR IPv4アドレス移転に関するプレスリリースが行われました。
プレスリリース文には、以下のようにあります。
サイバーエリアリサーチは、2011年10月よりIPアドレスの移転を仲介する日本唯一のサービス「IP移転」(http://www.ipiten.jp/) を運営しています。このサービスでは、余剰アドレスや未使用アドレスを有する組織から、アドレスを必要とする組織に移転を仲介しており、10件を超える移転実績を有しています。しかし、これまで地域を越えてIPv4アドレス移転を行うことはできず、日本におけるIPv4アドレスの需要拡大に対応できない恐れがありました。
このような状況の中、アジア太平洋地域のIPアドレスの管理組織であるAPNICにおいても2012年8月には地域を越えたアドレス移転が行えるように制度変更が行われましたが、日本と海外の間でアドレスの移転を調整する仕組みがなく、実質的に地域を越えた移転を行うことは難しい状況でした。このため、日本における唯一のIPアドレス移転事業者であるサイバーエリアリサーチと、世界最大規模のIPアドレス移転事業者で、IPv4アドレス移転市場を開拓してきたIPv4 Market Groupが協業し、北米地域から日本へ、地域を越えたIPアドレス移転を実現しました。
ipiten.jpは、私がgihyo.jpで連載している「IPv6対応への道しるべ」の第8回で取材に伺いました。
さて、今回のプレスリリース文を見て、「あれ?JPNICってまだ移転できないんじゃなかったっけ?」と思ったあなたは鋭いです。 今回の移転は、ARINからAPNICへというものです。
しかも、今回の移転の大きな特徴は、日米の移転にIPv4アドレス仲介事業者が入ることによってRIRを越えた移転が行われたところにあると思います。 アメリカ側のIPv4アドレス仲介事業者は、Nortel/Microsoft社の間の750万ドルの売却を仲介したスタッフが在籍するIPv4 Market Groupです。 仲介業者同士のやり取りによってRIRを越えたIPv4アドレス移転が行われるなんて、3年前には考えにくかった状況なんじゃないかと思います。
SKICO → IPv4 Market Group → ipiten.jp → クララオンライン
なお、移転そのものは昨年12月下旬ですが、プレスリリースは今朝になっています。 その時間差に関してですが、2月21日がサイバーエリアリサーチ社の創立日だそうで、創立日のお祝いとして温存していたとのことでした。 あと、価格も質問してみましたが、そこは非公開だそうです(まあ、当然ですよね)。
IPv4アドレス移転(売買)関連の情報って、割と地味なので、色々と公開されつつも多くの人々が気がつかない(気にしない)話かも知れないとは思います。 とはいえ、いままさにインターネットって大きく変わりつつあるんだなぁと思う今日この頃です。
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