IIJ 月額945円、SIMのみの契約可能なLTE接続サービスを発表(3)

2012/2/15-1

最初に知る必要があるのは、LTEと3Gで網構成や用語が異なることです。 3Gは音声通信とパケット通信が別となっていましたが、LTEではそれらが統合されています。

まずは3G網の構成ですが、以下のようになっています。

MNVO側はGGSN(Gateway GPRS Support Node)を自前で用意し、docomoとレイヤ2もしくはレイヤ3接続します。 MNO側であるdocomoは、SGSN(Serving GPRS Support Node)から無線網側が責任範囲です。

LTE網の場合は、PSドメイン/CSドメインに分かれていないので、構成がシンプルになります。

3GでGGSNと呼ばれていた機器に相当するのがP-GW(PDN Gateway)で、SGSNがS-GW(Serving Gateway)です。 LTE網のもう一つのポイントは、3G網と接続しているという点です。 初期のLTE網は3G網ほどカバー範囲が広くないので、3Gにフォールバックすることが前提となっており、3G網を利用しているときはSGSNからS-GWを経由してP-GWへと通信が行われます。

SSGN(S-GW)とGGSN(P-GW)の接続方法をプロトコル的に見ると以下の図のようになります。 MVNO側から見えるのは、SSGN(S-GW)までのIPリーチャビリティまでで、無線網部分は見えません。

MVNOが直接契約しているユーザに対してIPv4/IPv6アドレスを割り当てるのは、ユーザからのPPPを終端しているGGSN(P-GW)であることがわかります。 PPP接続は、IP/UDP/GTP-Uの上にあります。

MVNOが用意する機器であるGGSN(P-GW)が1箇所であるとしたとき、GGSNは複数のSGSN(S-GW)からのIP/UDP/GTP-Uパケットを受け取っているという形になります。 一方、MNO側の立場で見ると、SGSN(S-GW)は複数のMVNOが用意したGGSN(P-GW)へとIP/UDP/GTP-Uパケットを送信していることになります。 MVNOが用意するGGSN(P-GW)が「ルータではなく交換機だ」という感じです。

GGSNは、ユーザとの接続情報をGTP-CというコントロールメッセージでSGSNとやりとりしますが、ここでは詳細は割愛します。

3GとLTEで網使用料は同じ

現時点では、3GとLTEでdocomoの網使用料は同じです。 そのため、LTEによるサービスであるXi(クロッシィ)が受信最大75Mbpsに対応しているからといって、MVNO側での3Gの場合とLTEの場合で通信帯域制限を変更するというのも難しいというのが実情だろうと推測しています。

そもそも、LTEで送受信用のネットワーク帯域が3Gより広いのは、通信事業者側の思惑としては「ユーザに多くの通信をしてもらおう」ではなく「単位時間あたりに詰め込めるビット数を増やしたい」というところにあります。

たとえば、100Mbpsと1Mbpsを比べると、1秒あたりに行える通信は100Mbpsの方が1Mbpsの100倍です。 無線帯域は時間のシェアリングであると考えて、ユーザが同じビットレートで通信をしているのであれば、100倍のユーザを収容できるということになります。

このように、「多くのユーザを収容できるようになりたい」という通信事業者側の思惑が強いので、恐らく網使用料が3GとLTEで同額なのだろうと推測しています。 とはいえ、サービスを販売するときには「受信最大75Mbps」というような宣伝文句が並ぶだろうと思うと、ユーザ側としては納得しずらいとは思いますが。。。

最後に

今回のIIJmio高速モバイル/Dサービスは面白いと思いました。

最高速度を競うような表示が多い現状で、最初っから「いや、帯域制限バリバリですから。帯域制限の限定解除したければ従量課金になります」と言ってしまっている設計は硬派であると同時に現実的であり、設計思想として好きです。

そもそも私はモバイルで使うときは128kbpsも必要なくて、64kbpsぐらいで十分な通信しかしてませんし。 メールやWebを見るぐらいにしか私は使わないだろうと考えると、バーストトラフィックを許容するシェイピングだったらもうちょっと体感速度が早いだろうと予想しているというのもあります。

個人的には、docomoのMVNOであり同社SIMを使っているので、docomoのSIMロックがかかっている機器でそのまま使えそうな気がする点も面白いと思いました(そんな使い方は推奨されてないのでしょうが)。

実際に開始されるのが今月後半で、申し込んでからSIMが届くのが今月末か来月はじめぐらいになるかも知れませんが、945円ですし、試してみようかと本気で思えるサービスだと思いました。

(この記事を書くにあたって報酬を頂いたり、特別に何かの機器を頂いたりしているわけではありません。「ステマステマ」が時代の最先端なので一応念のため。笑)

参考資料

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