OpenFlow ShowCase、NTTコミュニケーションズの展示内容 [Interop Tokyo 2012]
Interop Tokyo 2012 OpenFlow ShowCaseでのNTTコミュニケーションズの展示内容も面白かったです。 何となくATM的な用途っぽい気もしましたが、ユースケースという意味ではこういった場所での利用を検討するのはあり得るのかもと思いました。
概要
このデモの背景および概要は、以下のように書かれていました。
現在、IP-VPN など、WAN ネットワークに利用しているルーターは、高機能・高価格な装置が用いられています。またオペレーションに関しては、有スキル者が網設計を行い、ベンダー個別の コマンドラインによるコンフィグ設定が行われており、CAPEXとOPEXの削減が課題となっています。 このユースケースでは、IP-VPNにSDN/OpenFlow技術を適用しました。 PEルーターのBGP機能を、コントローラーにオフロードさせるBGP Free Edge技術を用いてPEの処理を軽減し、標準仕様であるOpenFlowを用いたベンダーフリーなオペレーションと連携することで、安価なコモディティスイッチが利用可能となります。 また、カスタマーWebポータルを利用することでユーザー自らがリアルタイムにプロビジョニングを可能とし、柔軟で迅速なネットワーク開通を実現します。
デモの内容
大まかに内容を説明すると、以下のような感じです(説明員の方に話を聞いた私の解釈)。
- VPN網をOpenFlowで構築する。
- OpenFlow網に接続された顧客の手前に簡易なBGPルータを置く。BGPルータの管理はNTTコミュニケーションズが行い、POIはBGPルータのユーザインターフェース。
- 中央に全体を見るBGPルータが存在し、そのBGPルータと情報を共有してOpenFlow網内の経路等を計算するOpenFlowコントローラを設置。
- 全ての顧客側BGPルータは中央BGPルータへと接続する。
- 顧客側BGPルータから中央BGPルータまではOpenFlowが適切にパケットを運べるようにする。
- 「インターネット」が対象ではなく、VPN網が対象。そのため、インターネットのフルルートをBGPで扱うわけではない。
つい最近、NTTコミュニケーションズとNECが提携する話が報道されたので、「え!?NECと一緒にやるのこういう話?」と思ってしまうかも知れませんが、そうではないのでご注意下さい。
この展示内容は、実際にすぐに事業化をするという話ではないようですが、NTTコミュニケーションズとして、クラウドだけではなく、キャリアネットワークを視野にいれて考えられたユースケース提案だそうです。
感想
この展示内容を見ての個人的な感想としては、以下のような感じです。
- 「インターネット」ではなく「VPN網」という視点でBGPとOpenFlowを考察しているのが面白かった。それが自然な発想だと思える方々にとっては当たり前の発想なのでしょうが、IP-VPN網の構築手法は私の知らない世界なので。
- 実環境を強く意識しているという意味では、今回のOpenFlow ShowCaseの中で最もユースケース的であったような気がする。
- OpenFlowコントローラが単一なのでSingle Point of Failureになりそう。ただし、OpenFlowコントローラが落ちたとしてもOpenFlowスイッチ内のテーブルが残るようにはできるので、OpenFlow網内での転送が維持されるようにはできる。
- OpenFlowコントローラよりも中央BGPルータがSingle Point of Failureになりそう。中央BGPルータが落ちて、顧客側BGPルータとのTCP接続(BGP接続)が切れたら通信が途絶えるものと思われる。
- 中央BGPルータとOpenFlowコントローラのソフトウェアアップデートをどうやってやるんだろう?逆に言うと、ソフトウェアアップデートが可能な形での冗長性確保を考えるのも楽しそう。
- OpenFlow網に設定されるテーブル数等、スケールに関する考察が大変そう
今回はあくまで実現可能性を示したデモのようなので、これらコントローラの冗長・分散化やスケーラビリティは、商用化するまでには、もちろんいろいろ検討されていくと思われます。
非常に楽しい展示でした。
明確な問題意識と要素技術が出会ってこれから色々と検討されていくのかも知れないと思える部分が特に面白いと思いました。 最終的に採用される技術がOpenFlowではない可能性もあるとは思いますが、OpenFlowがきっかけとなって新しい技術が考案されていくというのは、ある気がしています。
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