「違法ダウンロード刑事罰化」に関して

2012/6/12-2

2009年6月に改正著作権法が国会で成立し、2010年1月1日から「ダウンロード違法化」が開始しました。 現在は違反者に対する罰則は設けられていませんが、最近、違反者に対する罰則を追加しようという話になっているようです。

個人的な感想

個人的な感想としては、ダウンロード罰則追加によってダウンロード者を逮捕するよりもアップロードを行っている人々を逮捕したり、アップロードを助長しているサイトを閉鎖させる努力をした方が良いと考えています。

そもそも、ダウンロード違法化で音楽コンテンツが売れるようになるとはあまり思えません。 「マイナビニュース: CDが売れない本当の理由」というニュースでCDが売れない理由の第一位がレンタルで借りるからとありますが、私も日本においてはレンタルCDの存在が大きいのではないかと推測しています。 昨今は、リスクが明確であり、かつISPの制限によって通信速度が制限されがちなP2P等によるファイル共有を行う人は2000年前後と比較すると激減していると思われます。

次に、インターネットにおける著作権侵害コンテンツ取り締まりが世界的に強化されつつある背景もあります。 P2Pによる著作権侵害行為に対する取り締まり強化が世界各国で行われたこともあり、ここ数年はファイル共有サイトに行為が集中していました。 昨年までは、国境を越えた閉鎖が難しいとされていたので、事実上ファイル共有サイトは野放しにされていました。

しかし、今年に入ってから全体の30%-40%ぐらいを占めていたと言われる、最大級のファイル共有サイトであるMegaUploadが強制的に閉鎖されました。 MegaUploadは、ダウンロード数に応じてアップロード者に報酬を与えて違法行為を助長していたとFBIの訴状に書かれていますが、米国バージニア州等で差し押さえられたデータには誰がどういった違法行為をしたのかの詳細が大量に詰まっていたものと思われます。 報酬を与えていたということは、個人を特定するための情報も含まれていたでしょうし。

さらに、ファイル共有サイトを支えるコロケーション/ホスティング事業者は世界的に限られており、物理的には世界4箇所で全体の85%のトラフィックが生成されているという調査結果が発表されました。 そもそもファイル共有サイトも上位10サイトで全体の70%のトラフィックを発生させているようです。

こういった背景もあり、実は「アップロードを行った人物」に関する情報は、数年前よりも集中しており、かつ、アップロードを行う人物も人数としては減少しているものと思われます。 そのため、そこを抑えることができればダウンロード違法化をするよりも効率的に著作権侵害行為を減らせるのではないかと予想しています。 恐らく、こういった「インターネット側の状況の変化」は、ロビー活動をされている方々はご存知ない気がします。 (というか、そもそもIT業界でも結構知られてない気もしますが。。。)

ということで、副作用が非常に多い違法ダウンロード罰則追加や、既に施行されてしまっているダウンロード違法化そのものに私は反対です。

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