Webどっぷりの人が本を読むと感動できると思う
以下の記事を読んでの感想。
Webどっぷりで本や雑誌をあまり読まない人が、ウェブサーフィングというかネトヲチをする気分で本や雑誌を読むと逆に感動できる部分もあるのではないかと思うことがあります。 NNTPのネットニュースやネトゲやIRCを経て、今ではひたすらWebですが、もう何年もネトヲチどっぷりの生活を楽しみながら満喫しつつ、たまに本を読むと「やっぱり良い本に含まれる情報はいいよなぁ」といつも感じます。
Web上の情報を楽しんでいて思うのですが、Webに出て来るもののほとんどは「表層的なもの」です。 海外の情報(特に英語。人口が少ない言語は情報も少ない印象)を見たい場合であればWebを見る方が深い情報も得られることも多いのでしょうが、日本語での情報に関してだけ言えば、表層的な情報の割合が急激に上昇している気がします。 昔、「Web検索では届かない世界」という文章を書いたのですが、今でも私の基本的な考え方は変わっていません。
多くの人々がセンサーとして動作して「何かを掘り出す」という面白みがネットにはありますが、何かの情報を深く調べたうえで体系的にまとめあげたというコンテンツはネット上で多くはない印象があります。
最適な手法が生き残る
なぜWebが表層的なものばかりになるかというと、それが現時点でのマネタイズ可能なオンラインコンテンツ制作手法としての最適解だからだというのが私の感想です。
Web上での情報発信をしていると良くわかるのですが、長い文章は好まれません。 たとえば、ブログ記事一つで1万5千字ぐらいの文章を書いて公開すると「長い」と文句を言われたりしますし、読む気が失せることも多いようです。
Web上で好まれる記事というのは、短く、刹那的でかつ何らかの方向性に心を揺さぶるようなものです。 生き残るのに最適な手法が生き残り、そうでないものが消えて行くのが世の中だと思うと、現時点の日本におけるWeb界隈で盛況な場所が何故盛況なのかがよくわかります。
これは、無料であることが前提で次から次へと短期間内に色々なコンテンツを見て回れるからそうなっているという側面がありそうです。
生き残っている本や雑誌
逆に、本や雑誌であれば、有料であることが前提の場合が多いので、中身がスカスカだと文句を言われますし、誰も買わないので生き残れません。
「これは良い本だ」と言われるような本は、それなりに時間をかけて文章を推敲したものが多いというか、私が思う「良い本」はかなり労力をかけていると感じるものが多いです。 とはいえ、「良い本」というのは、恐らく少数派です。 本や雑誌の大半が各個人にとっては「ゴミ」という認識か、「興味が無い」という認識だろうとは思います。 本の出来というのは、どれだけ筆者が苦労をしたかではなく、どのような作品であるかの結果のみが大きな意味を持ちます。
本の中身が「カス」だと多くの人々が評価していても売れている本があるのも事実です。 それはそれで、宣伝手法が上手だったり、流通のさせかたが上手で生き残っているのかも知れないとは思います。
何はともあれ、Webと紙媒体(現時点の。電子書籍が普及すれば、それは有償コンテンツという意味では同じ分類だろうと思います)では「生き残るもの」の傾向は違います。
で、何でWebべったりの人が本を読むといいか
ここでやっと、本文章のタイトルと繋がるのですが、本や雑誌をあまり読まないWebべったりの人が本や雑誌を読むと何故良いかというと、純粋に刺激が違うからです。
「どのようなコンテンツが生き残るのか?」の生態系が違うので、違った方向性を追究したコンテンツがあります。 人間、いつもと違って慣れてないものに遭遇した時の方が「感動」は発生しやすいと思うので、本をあまり読んだことがなくて小さい頃からずっとWebべったりだった人ほど良い書籍に出会えると感動できる気がしています。
「そんなの雑誌に普通にのってるよね?何が楽しいの?」みたいなニュアンスの突っ込みが登場するというのは、そういうことなのだろうと思います。
おまけ
Web上に掲載されるコンテンツの多くが表層的な雰囲気を感じる要因の一つとして、現在のWebはオーディションの場のような役割もあり、Web上で名前を売った人が本を書くという流れが定着しつつあるので、ネット上に無償で掲載される文章の多くが「かけだし」の人によるものだったりするという側面もあるのだろうとは思います。
なお、この文章は「Webが駄目だ」とか「Webには深い情報が全く無い」と言っているわけではないのでご注意下さい。 それぞれ媒体や流通手法によって生態系が異なっており、Webという情報の流通手法にはそれにとって最適な情報の割合が高くなっているというだけの話です。
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