Google Appsの障害はBGPハイジャック?
先日、Google Appsでの大規模障害が発生したことが話題でしたが、その原因はインドネシアのISPによるBGPハイジャックなのではないかという記事がありました。
- CloudFlare blog: Why Google Went Offline Today and a Bit about How the Internet Works (via slashdot.jp)
本来、Googleへと向かう筈の経路がインドネシアのISPであるMoratelへと向かってしまったということだったようです。 (ただ、なぜインドネシアの経路が優先されたのか、ちょっと不思議に思ったりはしますが。。。YouTubeの時と同じでプレフィックス長が要素だったりするんですかね?)
BGPハイジャックの被害をGoogleが受けた有名な事件としては、2008年にパキスタン国内でYouTubeを遮断するための経路が世界に漏れてしまって、世界中でYouTubeが閲覧出来なくなった事件があげられます。
あまり注目されることはありませんが、BGPハイジャックそのものは、ちょくちょく発生しています。 2010年の資料ですが、「国内最新動向-JPIRRと経路奉行の取り組み」を見ると毎月発生しているのがわかります。 大規模なものとしては、2009年に世界中で障害が発生した事例があげられます(参考:今朝、インターネットが壊れました)。
なお、CloudFlare blogの最後に、追記としてインドネシアのISPであるMoratelがBGPハイジャックを行ってしまった原因がハードウェア障害であったと発表されたとあります。
おまけ
BGPの仕組みやBGPハイジャックに関しては、拙著2章で解説しているので、興味のあるかたは是非ご覧下さい。
過去に実際に起きた「インターネットが壊れて復旧した」事件を端緒に、「粘り強いが壊れやすく、壊れやすいが粘り強い」という視点でインターネットの形を探るという本を書きました。 インターネットを構成する基礎技術TCP/IPを解説した書籍は非常に多くありましたが、そのTCP/IPを使ってインターネットがどのように運用構築されているのかに関しては、あまり知られていません。本書は「TCP/IPを知っていてもインターネットはわからない、一方でインターネットを知るにはTCP/IPの細かい話を全て知る必要もない」という思想で、教科書的にならずに、あくまで「読み物」として楽しんで頂けることを目標に書いています。
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