IANAへのIPv4アドレス返却
2011年2月にIANAで管理されているIPv4アドレスの中央在庫が枯渇しました。 しかし、その後、RIRからIANAに返却されたIPv4アドレスがあります。 そのため、現在はIANAのIPv4アドレス中央在庫にIPv4アドレスが多少復活しています。
RIRからIANAへの返却は任意であり、RIRに対してIPv4アドレス返却が行われたとしても、それをIANAへと返却しなければならないという義務はありません。 しかし、RIR設立以前に分配された歴史的経緯を持つPI(Provider Independent)アドレスが返却された場合、本来IANAが管理するべきとの考えに基づいて返却が行われました。
IANA在庫枯渇後に返却されたIPv4アドレスの例として、以下のものがあげられます。 2010年にInteropからARINに返却された45.0.0.0/8の一部も含まれています。
- ARIN : ARIN Returns Some IPv4 Address Space to IANA
- RIPE NCC : Returned Legacy Space
- APNIC : APNIC returns IPv4 legacy addresses to IANA
IANAによる再割り振り
IANAに返却されたこれらのIPv4アドレスをどのように再割り振りするのかに関してですが、どこかのRIRの在庫が/9を切った時点で5つのRIR(AfriNIC,APNIC,ARIN,LACNIC,RIPE NCC)に対して均等に分配されることが決定しています(GPP-IPv4-2011、2012年5月施行)。
- http://www.nro.net/news/gpp-ipv4-2011-ratification
- http://www.icann.org/en/groups/board/documents/prelim-report-06may12-en.htm#1.1
- http://aso.icann.org/global-policy-proposals/#GPP-IPv4-2011
どこかのRIRの在庫が/9を切った時点というタイミングですが、恐らくARINがそのトリガーとなりそうです。
AfriNIC、APNIC、RIPE NCCの3RIRは、IPv4アドレス在庫が最後の/8ブロックに達した時点で「RIRにおけるIPv4アドレス枯渇」が発生したと定義しています。 APNICとRIPE NCCでは、IPv4アドレス在庫が既に/8を切っており、「枯渇状態」へと突入しています。 枯渇状態になったRIRでは、枯渇後のポリシーが発動しますが、APNICとRIPE NCCでは、これまでのように何度も同じ事業者がIPv4アドレス割り振りを受けられなくなっているので、IPv4アドレス在庫があまり減らなくなっています。 AfriNICもIPv4アドレス在庫サイズが/8を切ることを枯渇としていますが、それが発生するのは数年後になりそうです。
ARINは/10に達した時点で「枯渇」となり(参考)、LACNICは/12に達した時点で「枯渇」となります(参考)。 このため、ARINではIPv4アドレス在庫が/10になるまで割り振りが行われ、/9を切っても割り振りは行われます。
LACNICも、ARIN同様にポリシー的には/8サイズを枯渇をしているRIRよりも先に/9を切る可能性がありますが、現時点でのIPv4アドレス在庫とその割り振りペースを見る限り、/8を切るのがまだまだ先になりそうです。
あまり本質的な話ではないとは思いますが、IANAにおけるIPv4アドレス中央在庫に関する現状はこんな感じです。
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