ファイル共有サイトMegaupload閉鎖 - アメリカで起訴、ニュージーランドで逮捕
世界最大級のファイル共有サイトMegaupload責任者ら4人が逮捕され、サイトが閉鎖されました。 逮捕された4人の他に3人が捜索中とのことです。 Megauploadのサイトでは、同サイトの1日の訪問者数が5000万、過去10億ユーザ以上が利用したと記述されていました。 世界で多く利用されるWebサービスで13番にランクインしたこともあるそうです。
このニュースは、1月19日に報じられていますが、アメリカのオンライン海賊行為禁止法法案であるSOPA/PIPAに抗議した大規模Webブラックアウト運動の翌日だったこともあり、同法案と絡めて語られています。
- Megaupload file-sharing site shut down
- CircleID: Feds Shut Down File-Sharing Website Megaupload.com, Seven People Charged
- ABC News: Popular File-Sharing Website Megaupload Shut Down
アメリカ国外での逮捕
今回の逮捕がアメリカ国外であることが大きな特徴です。 MEGAUPLOAD LIMITEDは香港の会社です。
Megaupload創設者のKim Dotcom(Kim Schmitz)氏とMathias Ortmann氏と二人の従業員が逮捕されたのがニュージーランド/オークランドです。 アメリカ当局の要請をうけての逮捕です。
Kim Schmitz氏はフィンランドおよびドイツ国籍で香港およびニュージーランド居住、Mathias Ortmann氏はドイツ国籍でドイツおよび香港在住です。 Finn Batato氏はドイツ国籍および在住、Julius Bencko氏はスロバキア国籍および在住、Andrus Nomm氏はエストニア国籍でトルコおよびエストニア在住、"Baramos"として知られるVan Der Kolk氏はオランダ国籍です。
アメリカ国内でホスティング
ただ、Megauploadがアメリカと全く無関係であったわけではありません。
バージニア州にあるCarpathia Hostingというホスティング事業者からサーバを借りていました。 Carpathia Hosting社によるサーバは、バージニア州、アリゾナ州、カルフォルニア州、カナダのトロントにあります。
MegauploadがCarpathia Hostingから借りていたのは、サーバ1000以上、約25ペタバイトのストレージです。
起訴状に含まれる黒い部分
GigaOMがMegauploadの起訴状から黒い部分をまとめています。
たとえば、以下のような部分が紹介されています。 詳細はGigaOM記事か、そこからリンクされている起訴状をご覧下さい。
- MegaUploadユーザは、PayPay経由で合計1億1000万ドル以上を支払っていた
- 車やオートバイ30台が押収された。ナンバープレートには「STONED」「GUILTY」「MAFIA」など
- MegaUploadのMegavideoホスティングサイトの利用者を増やすために、YouTubeからビデオをコピーしてアップロードした。 社内メールにYouTubeからのコピーを急ぐようにとの内容がある。
- 社内メールでDVDなどの著作物をアップロードしたユーザへの報償を相談していた。
- 会社の責任者らが自社サービスを利用して音楽アルバムを探しているメールがある。 (GigaOMには具体的なメール内容は含まれていませんが、起訴状には「the sopranos is in French :((( fuc k.. can u pls find me some again ?」とある。)
- チャットログに「we have a funny business . . . modern days pirates :)」とある。
- MegaUploadのプログラマが複数のDVDをアップロードした
FBIのプレスリリース
FBIにプレスリリースが掲載されています。
それによると、被告は違法行為による金儲け(最大懲役20年)とマネーロンダリング(最大懲役20年)と著作権侵害(最大懲役5年)に問われているとあります。
ダウンロード数が多いアップロードユーザに対して報酬を与えつつ、ダウンロード数が少ない投稿は自動的に削除されるなど、著作権侵害を助長するような仕組みであったことがFBIのプレスリリースに記述されています。
さらに、DMCAに基づいた要請に対して一部しか対応せず、著作権者に対しては「削除した」と虚偽の報告を故意に行ったとされています。 他にも色々と書いてあるので、FBIプレスリリース本文を是非ご覧下さい。
YouTubeでのCM
昨年12月に、Megauploadが「謝罪しないとUniversal Music Groupを訴える」と発言した事件がありました。
- Guardian: Megaupload threatens to sue Universal over YouTube video
- arstechnica: UMG claims "right to block or remove" YouTube videos it doesn't own
この事件は、MegauploadがYouTubeに同社のCMをアップロードし、それをUMGが削除したというものです。 問題は、ビデオやそこに含まれる音楽がUMGの著作権を侵害していなかったことです。 UMGにはYouTube上でビデオを削除する権利はないはずです。
そのビデオは、以下のようなものです。
UMGがビデオを削除したのは、同社と契約しているアーティストであるKanye West、will.i.amがビデオに登場していたためと思われます。 ビデオには、Jamie Foxx、Snoop Dogg、Macy Gray、P. Diddy、Alicia Keysといったアーティストも含まれています。 Macy Grayは「Upload to me today」と歌い、will.i.amが「When I got to send files across the globe, I use Megaupload」と話しています。
著作権侵害の温床となっているWebサービスの宣伝にアーティストが登場していることが話題でした。
最後に
このニュースは、SOPA/PIPA抗議活動の翌日であったこともあり、英語圏では色々なところで報じられています。
このニュースの影響で、司法省(Justice Department)がAnonymousからのDDoSを受けてアクセス不能に陥ったり、MPAA(Motion Picture Association of America)が「クラックされた」と述べたりしたようです(参考)。
外国での著作権侵害行為を取り締まるためのSOPA/PIPAが成立する前に、現状のDMCAのもとで外国企業の責任者や従業員が逮捕されたことによって、「現状で対応可能では?」という声や、「SOPA/PIPAが成立したら、もっと多くの逮捕者が外国で出るのでは?」という声もありました。
一方で、今回のMegauploadの件のように、アメリカ国内向けのサービスでありつつも本拠地が外国で、かつ著作権侵害の温床という事例も色々ありそうだという感想を持ちました。 どちらにせよ、Megauploadの件は今後の議論で登場しそうだと思った今日この頃です。
追記
MegaUpload関連で日本のユーザが逮捕される可能性を考える
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