【書籍】Vyatta入門

2011/7/20-1

オープンソース・ソフトウェアルータVyatta入門――実践ルーティングから仮想化まで 著者の方々から献本を頂きました。 ありがとうございます。 「オープンソースソフトウェアルータVyatta入門 - 実践ルーティングから仮想化まで」は、オープンソースのルータソフトウェアVyattaを解説しています。 Vyattaに関して一部界隈で盛り上がっていおり、気になっていたので、非常に楽しく読めました。

Vyattaは、ルータソフトウェアですが、どちらかというと「ルータ」というよりも「ルータ風ユーザインターフェース」を実現するソフトウェアです。 Juniper社のJUNOSに似たコマンド体系です。

そのため、どちらかというと、コンフィグを容易にするためのユーザインターフェース提供ソフトであり、ルータそのものではありません。 VyattaはLinux上で動作し、実際のフォワーディングはLinuxカーネルが行います。 ルーティングはQuaggaなどのルーティングデーモンが行います。 ファイアウォール機能はiptablesを、VPN機能はOpenVPNを利用しています。 Vyattaは、ユーザが入力したコマンドに応じてコンフィグファイルを自動生成し、Linux上で動作しているデーモン等を設定します。

何故Vyattaが必要なのか?

こうやって書いてしまうと、「あー。じゃあ、自分で設定すればVyattaいらないんだ」という感想を持ってしまうかも知れませんが、必ずしもそうとは限らないというのが私の感想です。 このような「ルータ風ユーザインターフェース」が必要になる背景として、ネットワークエンジニアの分業化という流れもありそうな気がしています。

30代以上のネットワークエンジニアの多くは、UNIX系のOSの利用やプログラミング経験を身につけることが要求されるような時代背景がありましたが、今はそのような状況ではありません。 やりたいことがルータの設定なのに、Linuxから覚えなければならないというと敷居が高くなってしまう場合もあります。 そこで、Vyattaのような「ルータ風ユーザインターフェース」が必要になってくるのだろうというのが私の感想です。

「Vyatta入門」の内容

「Vyatta入門」は、最初にVyatta概要が説明してあり、その後は一般的に使いがちなネットワーク構成とそれを実現するためのVyattaコンフィグが解説してあります。 入門者用のコンフィグマニュアルに近い側面もあります。

Twitter上での様々な方々の感想を見ていると「もの足りない」と書かれている方もチラホラといましたが、基本的に「入門書」であり、あまりに細かい話を書いていないのが正しいのかなぁとも思いました。 Amazonやその他書店でのランキングを見る限り売れ行きも好調のようですし、もうちょっと詳しい「実践編」が企画されているに違いないと思った今日この頃でした。

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