ファンレス節電NOC@Interop Tokyo 2011
ホール5にあるPOD5は「節電+臨時NOC」として運営されています。 メッセホール内に置かれているハーフラックには特別な空調がなく、出展社ブースにコネクティビティを提供しているファンレスス/準ファンレススイッチが割と過酷な環境で稼働しています。
こういった「空調なし」の状態を実現できるのは、これらのスイッチが発熱を抑えつつファンなしでも運用できる設計になっているためです。 4ポートや8ポートなど、ポート数が少ないファンレススイッチは非常に多いのですが、ギガで多ポートのファンレススイッチは、そう多いわけではありません。 今回のInterop ShowNetで利用されているのは、日立電線のApresia5428GTと、アラクサラネットワークスの2530S-24Tです。
日立電線 Apresia5428GT
日立電線の出展社ブースの方に「何故ファンレスで大丈夫か?」を聞いて来ました。
通常はファンをまわす事によって行う冷却ありきなのですが、ファンがなくても稼働するような 条件を広げてあげることが大事です。
Apresia5428GTは、ファンレスではなく準ファンレスです。 ファンはギリギリの状態になってしまったときのために念のため付けられており、通常状態では稼働しません。 完全ファンレスにする選択もあったのですが、そうしてしまうと部品選定などに対する要求が上昇してしまい、価格に反映されてしまうので、非常時にのみ稼働するファンをつけるという選択をしました。
部品の選定から、通常に稼働する温度範囲に余裕を持たせる、熱に強い物を使うことがあげられます。 部品の選定だけではなく、さらにはその配置も重要です。 熱設計のシュミレーションや試作を繰り返し、熱を逃がしてファンをまわさずに済む設計を実現しました。
最適な設計の結果準ファンレスを実現しています。
稼働温度:0-50
アラクサラ AX2530S-24T
アラクサラネットワークスの開発者の方に「何故ファンレスで大丈夫か?」を聞いて来ました。
2530-24Tは、オフィスなどでの利用を想定して、音が全くしないファンレスを実現しました。 48ポートの準ファンレスの2530-48Tは、準ファンレスです。 こちらは、0-50度の範囲で稼働します。
ファンを付けることを我々は強制空冷とよんでおり、ファンレスは自然空冷です。 ファンをつけて強制空冷をすることで、チップが冷えます。 それによってチップの動作温度範囲に入るので、保証出来る温度の範囲が広がります。 空気を強制的に循環させれば、循環している空気がある程度の温度でも冷えますが、ファンレスで自然滞留だと冷えにくくなります。
2530のファンレス化ですが、一番苦労したのは装置内の熱の逃がし方です。 具体的に言えば、ヒートシンクの形状です。 シミュレーションと実機確認を繰り返し、現在の形状になりました。 熱が装置内の一箇所に固まらないように、拡散するような形状にする必要があったのです。
稼働温度:0-45度
今後、こういう系統のネットワーク製品が増えそうです
省電力を考えるとき、空調は非常に大きな要素です。 今まではデータセンター全体で空調をどうするかに関しての議論が多かったのですが、今後は「空調を必要としないネットワーク機器」というジャンルも今よりも増えるかも知れないと思った今日この頃です。
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