NTT NGNネイティブ方式上でIPv4 over IPv6提供へ
先ほど、「BBIX、MF、JPIXの3社が、IPv6上でのIPv4サービス提供の共通仕様の採用を検討、技術検証を開始 〜IPv6上でのIPv4サービスを実現〜」というプレスリリースが出ました。 このプレスリリースを見ると、日本国内においては、IPv4はIPv6網の上に構築される方向に時間をかけてシフトして行きそうだという感想を持ちました。
今回のプレスリリースは、Stateless Address Mapping(SAM)を使ってIPv4を提供していくという話です。
IPv6といえば、BBIXとソフトバンクBBで採用されている6rdが最近話題ですが、6rdは既存のIPv4網上にIPv6パケットを流すためのトンネル技術です。 SAMは、6rdの「逆」バージョンです。 IPv6網上にIPv4パケットを流すためのトンネルをステートレスに運用するのがSAMです。
SAMでは、ステーテレスにカプセル化処理が行われるので、設備投資が軽減されるとともに、ステートフルな方式と比べると運用も簡素化されるという利点があります。
SAMは、7月に開催されたJANOG26で紹介されていました。
「JANOG26: SAM: Stateless Address Mapping 〜IPv6時代のIPv4を考える〜 ソフトバンクテレコム松嶋聡氏」
IETFでInternet Draftとして提案されており、現在のバージョンは01のようです。
範囲の説明
今回のこのプレスリリースは、BBIX株式会社、インターネットマルチフィード株式会社、日本インターネットエクスチェンジ株式会社、株式会社IIJイノベーションインスティテュートの4社が共同で行っています。 IIJを除く三社は、NTTがIPv6ネイティブ方式接続事業者として選定した事業者なので、この三社が歩調を合わせるということは、大きな意味を持ちそうです。
この方式が採用されて行った場合、NTT NGN(フレッツ光ネクスト)のネイティブ方式では、IPv4がIPv6によって転送されていく環境が追加されます。 しかし、ユーザから見ればIPv4のまま通信しているように見えると思うので、違いに気がつかないかも知れません。
なお、この話題はIPv6が標準となったアクセス網における方式なので、現時点では、CATV網やフレッツ光やADSLを使っているユーザは範疇外となっています。 しかし、既に確立している手法が存在していれば、同じ方式を採用する事業者も多くなると推測されるので、Stateless Address MappingによるIPv4接続性提供が様々なネットワークで採用される可能性も感じました。
おまけ
あー。でも、ネイティブ方式とトンネル方式って、どれだけのISPがどっちを選ぶかというのは、蓋を開けてみないとわからなかったりするんですかね。。。
あと、これをもって急激にIPv6化が進むかというとそれも微妙な気がするので、まあ、何年もかけてIPv6が普及して行く要素の一つぐらいのニュースだと思います。
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