今年のShowNetみどころ
最新技術を集結して構築されるライブネットワークのShowNetですが、今年の見所を ブロケードコミュニケーションズシステムズ(株)橋本賢一郎氏、 ジュニパーネットワークス(株)渡邊貴之氏、 A10ネットワークス(株)天田賢氏、 シスコシステムズ(同)早川浩平氏、 アラクサラネットワークス(株)小林大氏、 NEC 齋藤修一氏、 日商エレクトロニクス(株)尾崎規広氏、にうかがいました。
以下、インタビューした、今年のShowNetみどころです。
ShowNetに注目!
Interopを単なる「展示会」だけだと思っている人も多いと思うのですが、実際は未発売の最新機器などを使って構築するライブネットワークであるShowNet上で相互接続性実験が行われるという側面を持っています。
この、ShowNetを知っている人がどれだけいるのかなと思うことがあります。 たとえば、Interop関係者ではない知人と話していてると、ShowNet構築を行っているという話をしても、展示物についての質問をされるなど、まだまだ知らない人が多いと感じます。
Interopでは、ShowNetでコアな技術を扱っているんだよと、ShowNetを通じてInternetコネクティビティを提供してるんだよと、面白いことをしてるよと、それを伝えられればと思います。
仮想化
まず、今年のメインコンセプトである「マネージャブルな仮想化」ですが、我々の考えるマネージャブルな仮想化には二つの要素があります。 一つ目は、「オンデマンド」ですが、必要になった瞬間に即座にリソースを造り出せるのは仮想化の大きなメリットです。 我々はこのコンセプトを「出前一丁」と今回呼んでいます。
二つ目が「マネージャブル」です。 「オンデマンド」が実現すると、それをいかに管理するかが課題になります。 管理者に対して「物理資源」「仮想資源」「物理と仮想のマッピング」の操作と管理を支援する機能が必要です。
ハイパーバイザースライス
今回、「マネージャブルな仮想化」を実現するために、「ハイパーバイザースライス」という仮想面を構築するという手法を用います。
ハイパーパイザースライスは、必要最低限の設定を持つ仮想面として構築します。 他の仮想面は、ハイパーバイザースライスをコピーしたのちに、必要な設定を行うという形で作成されます。 このような仕組みを採用することによって、仮想面そのものもオンデマンドで作成できるようになります。
ハイパーバイザースライスは、オンデマンドを実現するだけではなく、管理を容易にもします。 ハイパーバイザースライスは、必要最低限の構成に停めることによって、各仮想面の問題発生箇所を特定しやすくします。 ハイパーバイザースライスは、OSPFのような枯れた仕組みでルーティングを行い、その経路は外部へと広告せず、ユーザトラフィックも流しません。 このように安定した運用が行われるハイパーバイザースライスに問題が発生していないにも関わらず、他の仮想面で問題が発生した場合には、問題は仮想面での設定の差異によって発生していることが特定できます。 このような機能から、我々はハイパーバイザースライスを「濡れ衣払拭面」とも呼びます。
ShowNet External
ShowNetのExternal回線としては、100GbE-LR4のデモを幕張-大手町間でやります。 100GbEの規格であるIEEE 802.3baが、まだ標準化完了前のP802.3baということもあり、100GbEによる実トラフィックを活用したデモは世界初です。
ASとしては、従来通りの2バイトASと同時に4バイトASも運用されます。 4バイトASそのものは、今やホットなトピックではありませんが、昨年に引き続き到達性実験を行います。 昨年は、4バイトASを使うと様々な場所への到達性が無いことがわかりましたが、今年はどこまで状況が変わったのかを調べられればと思います。
IPv6移行技術を体験
IPv4アドレスの枯渇が近づきつつあり、IPv6が注目されることも増えてきました。 Count Down to Realityと3年間言い続けて来ましたが、今年はカウントゼロのInteropです。 今年は、去年よりもさらに一歩踏み込み、出展社に対してIPv6を配ると同時に、IPv4アドレスはNATによるプライベートアドレスとしました(申請を頂いた出展社はグローバルIPv4アドレスが利用できます)。 昨年は、無線LANと一部の出展社様によるアクセスがNAT以下という構成でしたが、今年は全回線がデフォルト状態でNAT以下になっています。
この環境を実現するLSN(Large Scale NAT)の他に、IPv4/IPv6トランスレータや(NAT型, Proxy型)、IPv6移行技術であるDS-Liteや(IPv4をIPv6網で転送),6RD(IPv6を既存IPv4網で転送)等を一般来場者の方々にも体験して頂ける形になる予定です。 国際会議棟で無線LAN接続サービスを提供しますが、それらのSSIDに各種IPv6移行技術の名前をつけて、各ユーザに選択して頂けるようにしたり、有線では来場者の方々が接続できるアクセスコーナーでケーブルの色を分けるなどの工夫をしつつ、各種技術を実際に体験して頂こうと計画中です。 来場者の方々に体験して頂くことで、技術を知るキッカケとなれば嬉しいと考えています。
運用をIPv6化
例年、ShowNetでIPv6の運用が行われるのは、主に中継動作に対してが基本だったのですが、管理面での完全はIPv6化はされていませんでした。 今年は、syslogなどの管理面を含めて、IPv6必須の環境としてShowNetを構築します。 SNMP、syslog、NTP、telnet、SSH、プリンタなどが、ShowNetの管理のためにIPv6上で使われます。
EtherOAM
昨年に続き、今年もShowNet内でEtherOAMを活用します。 昨年は、IEEE802.1agでの相互接続性実験を行いました。 結果として、多くの機器間で相互接続性を確認できました。 今年は、新しい規格であるITU-T Y.1731に対応している機器が登場しているので、 その相互接続性実験にチャレンジします。 同時に、Y.1731の遅延測定などの機能も実験したいと思います。
もう一つの試みとしては、単なる相互接続性確認に留まらず、 EtherOAMを運用に積極的に活用しようと考えています。 例年は、pingなどによってネットワークの接続性確認を行っていましたが、 EtherOAM CC(Continuitiy Check)も使うことによって、 さらにレイヤの低い部分での接続性確認を行おうと思います。
接続性確認は、ShowNetバックボーン内だけではなく、 出展社などのカスターマーに対しても行う予定です。 ご協力頂ける出展社ブース内のスイッチでEtherOAM機能をオンにして頂いて、そこまでの接続性確認を行います。
さらに、単に運用として接続性確認を行うだけではなく、それを「見せたい」んですね。 ShowNetでは、様々な測定器メーカによるコントリビューションもあります。 それらの測定器を活用することで、来場者の方々に「見て頂ける」という形を作れればいいなと。 EtherOAMの仕組みを使って、どこが切れているか、どこが繋がっているかというのが 、可視化される予定です。
このEtherOAMの実験を行うために、仮想化技術が使われる予定です。 EtherOAMは、レイヤの低い部分での運用効率が上昇することが期待されるので、 導入を検討されている事業者もいます。 監視だけでなく、冗長経路への切り替えをEtherOAMでの監視をトリガに 管理を行うケースも出てきています。 事業者の中には、Ethernetの冗長プロトコルやEthernetSwitch仮想化技術を使っている事業者もいます。 そのため、EtherOAMの実験の中では、Ethernetの冗長プロトコルや EthernetSwitch仮想化技術との組み合わせにより運用性が向上できるかどうかの 検証も行う予定です。
FCoE/CEE
FCoE/CEEの規格化がもうすぐ完了するので、それにあわせて各ベンダがサポートしてきています。 ShowNetでは、サーバセグメントにおいて、それらの運用も行われます。
今年の大きな変化としては、ストレージベンダのFCoE対応製品が登場したので、それをあらたに収容します。
L3バーチャルシャーシ
今年から登場したものとしてL3のバーチャルシャーシも挙げられます。 昨年は、ShowNetで活用できたのがL2のバーチャルシャーシだけでしたが、この1年でスタッキング、もしくはバーチャルシャーシ技術が枯れて来たことによって、ShowNetのL3トポロジに組み込んでも大丈夫になってきたました。
たとえば、複数の物理的なL3スイッチをバーチャルシャーシ機能で一つのL3スイッチとして仮想的に見せたうえで、その仮想的なL3スイッチ上でVRFを使って仮想面を構築することができるようになりました。 最近は、HSRP(Hot Standby Routing Protocol)やVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を使わずに、バーチャルシャーシ機能を利用した冗長化構成も増えてきました。
このように、ネットワークにおける仮想化技術は未だ途上ではありますが、徐々に徐々に進歩して来ていると言えます。
見える化
去年に引き続き、sFlowとNetFlowを活用した「ネットワークの見える化」を行います。 ShowNetに接続された様々な装置から、sFlowもしくはNetFlowを利用してトラフィックデータを取得し、それらを可視化します。
具体的には、コントリビューションをいただくトラフィック監視アプライアンスを利用して、各出展社毎に、どれだけのトラフィックを使っているのか、どういったトラフィックなのかを見せられる仕組みになります。
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