スイッチ仮想化の活用方法 - Interop ShowNetレポート
「仮想化」はInterop Tokyo 2009のテーマの一つであります。 ここでは、仮想化の中でもスイッチ仮想化に着目します。
2種類のスイッチ仮想化
スイッチ仮想化は大きく2つに分類する事が出来ます。 一つのスイッチを複数のスイッチとして見せるものと、複数のスイッチを仮想的に一つとして見せるものの2種類です。
今回、この記事で注目するのは複数のスイッチを一つにまとめる側の仮想化です。 去年のShowNetでは、このように複数のスイッチを一つに見せる機能が運用されたのはJuniper社とCisco社のスイッチだけでした。 今年は各社から同様の仮想化が可能なスイッチがコントリビュートされています。 各社、機能の名前が異なるのでご注意下さい。
「スタック4兄弟の3人」
4台のスイッチを仮想的に一台としてまとめて運用しています。 これら3社以外のスイッチはShowNet内において2台でのスイッチ仮想化で運用されています。
- NEC社によるIRF (QX5500)
- Brocade社によるStack (FLS)
- Juniper社によるバーチャルシャーシ (EX4200)
Alcatel Lucent 7450 ESS-7
Extreme Summit
ShowNetでの利用方法
今回、スイッチ仮想化技術は以下の図のような構成で利用されています。 NOCに2台のスイッチが設置されており、そのスイッチは2つの別々のホールへと10Gbpsイーサネットで接続されています(図中のホールA,Bは架空の名称です)。 外部からは、これら4台のスイッチは1台のスイッチに見えます。
管理コストの削減
このように4台のスイッチを1台のスイッチに見せる事で、管理コストを下げる事が可能になります。 まず、通常このような構成でNOCとホール側で同じセグメントを実現しようと思った場合、スイッチ間でタグVLANを利用した設定が必要になります。 しかし、4台が全て「同じスイッチ」であればタグの調整などの細かい設定は必要なくなります。
冗長化
このような構成でスイッチ仮想化を行う事によって、冗長化を実現することも可能です。 例えば、以下の図のように一カ所で障害が発生しても、他の回線を経由して接続性が維持されます。
STPを利用しないで、このような冗長化が実現可能であるという点も利点と言えるかも知れません。 スイッチ仮想化そのものはSTPとは違い「1台」です。 冗長化も仮想化している形です。
今までは、L2での冗長構成を実現するためにはSTPを使う事が多かったのですが、STPには様々な制約があるため、ネットワーク管理者泣かせな方式と言われていました。 この「管理者泣かせ」な方式を使わなくても良いという点を喜ぶ人は存在しそうです。
伝送装置が間に入ってる
今回、これらのスイッチ間に伝送装置(WDM)が設置されています。 距離的には間に伝送装置を入れなくても問題無く1本の光ファイバで接続可能ですが、スイッチメーカとは別メーカによる伝送装置を間に入れて運用されたのは非常に珍しいのではないかと思います。
利用されている伝送装置はInfineraとMatisse Networks(SX-1000)です。
Infinera
Matisse Networks (SX-1000)
最後に
昨年と比べ、今年はこのようなスイッチ仮想化技術を実現したスイッチが多く出現しています。 もしかすると、今後この技術は爆発的に普及するのかも知れないと思った今日この頃です。
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