ニコニコ動画とTwitterによるアクセシビリティの可能性

2009/4/7-2

先日、視覚障害を持つ友人と一緒に「視覚障害とWeb」やアクセシビリティに関して色々話をしていました。 最初は私のサイトが音声読み上げソフトで読み難くないかなどの質問をしたり、今後のWeb界の進化とアクセシビリティなどについて話していました。

ニコニコ動画によるアクセシビリティ

その中で、ニコニコ動画の話が出てきました。 ニコニコ動画のような雰囲気で皆でワイワイと字幕を作ったりすれば、アクセシビリティを実現できるのではないかという話でした。

元々は動画などの扱いや、動画によるオンライン学習をどうするかなどの話題でした。 採算を取りながらオンライン学習環境を整えようと思うと、どうしても収録やコンテンツ作成の費用を圧縮しなければならなくなります。

そのようなときには、例えば聴覚障害者のアクセシビリティ向上のために動画に字幕を入れる予算をつけてもらうのは至難の技です。 社会的にアクセシビリティが必須になるような組織だったりすれば、恐らく問題なく字幕用の予算などがつくのだろうと思います。 しかし、現実には多くの視聴者を得ようとするようなサービスで最初から字幕などに気を使っている動画はあまり見た事がありません。

このような現状を話題にしつつ、収録やアクセシビリティ向上のためにかかる費用とそれによる利益の向上度合いを考えると、どうしてもアクセシビリティが後回しになりがちになるという問題をどうすれば改善できるかという案についても色々話しました。

出て来た案は月並みに「Web上で多くの参加者に字幕を作ってもらう方法しか今のところ思いつかない」というものでした。 でも、動画のタイミングに合わせて皆が作った字幕を出すのって、実はニコニコ動画なんですよね。

そう考えると、皆の意識が特定の字幕を作る事という方向性に向いた動画コメントという「場」をニコニコ動画上で実現出来れば、システム的にはアクセシビリティ対応が出来そうだと思いました。 問題は、特定の動画に対する「アクセシビリティ用に字幕を作るぞ!」という共有意識をどのように構築するかですね。 そして、それはどのような動画でどんな目的だったら、多くの人が楽しみながら参加できるかなどですね。

システム的にはそこにあるのですが、問題は「流れ」や「場」の構築などの、ソフトウェアよりもさらに「ソフト」な部分ですね。

twitterによるアクセシビリティ

ニコニコ動画とアクセシビリティに関する話題は、個人的には非常に新鮮な視点でした。 でも、さらにこの考えを発展させると、twitterでも同様の事ができそうです。

例えば、先日WBC決勝戦などがtwitterでひたすら中継されていました。 これは、ある意味メディアフォーマットの変換です。 テレビ放送の内容が映像から文字へとリアルタイム人力変換されていると言えそうです。

このように、多くの人が興味を持つような内容であれば、twitterから情報を入力し続けるという事も可能なのかも知れません。 また、「興味」の対象も「人」という単位で選択することが出来るので、嗜好が似ている人を多く発見出来れば自動的に文字情報を入手し続ける事が出来そうです。

さらに、一つの投稿が140文字に制限されているのも良い点かも知れません。 文字数が制限されているために、個々の投稿は長文になりません。 そのため、例えば読み上げソフトや点字キーボードによって次から次へとコンテキストの違う情報を入手し続けるのに適しているのかも知れません。

他にもあるのではないか?

ちょっと切り口を変えると、今まで見たり使ったりしていた物でも全然違う可能性が見えてくることって結構ありますね。 アクセシビリティという視点で見ると違う世界が見えてくるウェブサービスは他にもあるのではないかと思った今日この頃です。

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