ICANN CEOによる「2010年10月IPv4枯渇」発言の衝撃
「NIKKEI NET(日経ネット):IPv4でのアドレス割り当て、10年10月終了 管理団体CEO」という発表がありました。 ICANN CEOであるRod Beckstrom氏が発言したものです。 従来であれば2011年と推測されていたIPv4アドレス枯渇が2010年と1年縮まった形になるため、一部インターネットインフラ屋さんに衝撃が走りました。 従来の推測よりも1年早い推測をICANNのCEOが公式に述べてしまった状態であるからです。
一部では「本当にRod Beckstrom氏が言ったの?」「具体的にはどう表現したの?」という話もあったのですが、Rod Beckstromは自身のTwitterアカウント上で以下のように述べました。 これで、もう確実に「ICANNのCEOが2010年10月にIPv4アドレス枯渇がトリガーされるかも知れない」と発言していることが確認されてしまいました。
IPv4 Internet address space ICANN final allocation (exhaustion) policy: http://bit.ly/4sJhmC May be triggered late 2010.
http://twitter.com/RodBeckstrom/status/5092021852
2011年の間違いだったのかもという可能性もなくなり、もう完全にICANNのCEOが2010年と言っていることになります。 「IPv4アドレス枯渇」と「IPv4 Internet address space ICANN final allocation (exhaustion) policy」のトリガー(*1)で多少違うという話はあるのかも知れませんが、それにしても多くの人々の予測よりもかなり早い時期です(追記:それを含めて2011年11月が現在の予測であるようです。maemさん、ありがとうございます。)。
この発言に対して、本日JPNICが急いで見解を述べました。
「ICANN事務総長による「IPv4アドレスの割り振り、2010年10月終了」との発言に関して」
しかしながら、 多くの関係者が行っている現在の予測では、 IANAから地域インターネットレジストリ (RIR)への、 IPv4アドレスの最終割り振りは2011年後半と予測されており、 各RIRを含め、世界的にもその予測に基づき対応を進めております。
「2010年10月」という現在の予測と異なる、 同氏の発言の裏付けとなるような新しい情報は現時点では得られておらず、 IPアドレスを管理するインターネットレジストリの中で大きく方針転換された事実もありません。
もはや、IPv4アドレス枯渇が発生するかどうかではなく、来年なのか再来年なのかで大騒ぎになる状況と言えます。
今後、この手の「実際の枯渇タイミング」に関する話題が増えるのかも知れません。 また、場合によっては本当に枯渇タイミングが早まる可能性もあります。 IPv6への移行が進まなければ、IPv4グローバルアドレスに価値が出てしまう可能性もあるため、確保できるうちに確保してしまおうという組織が多く発生すれば、結果としてIPv4アドレスの割り当てスピードも上昇してしまいます。
枯渇時期が迫ってきていますが、本当にIANAプールが完全に枯渇した瞬間は、どのような反響や変化が始まるのでしょうか。。。
(*1) /8ブロック最後の5個は世界5カ所にあるRIRに均等に配られるという取り決めが行われています。5つのRIRとは、AfriNIC(アフリカ),APNIC(アジア太平洋地域),ARIN(アメリカ),LACNIC(ラテンアメリカ及びカリブ海地域),RIPE-NCC(ヨーロッパ、中東、中央アジア)です。日本(JPNIC)はAPNICに参加しています。
IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースによる枯渇時期予測及び推奨移行パターン資料:「IPv4アドレス枯渇対応 アクションプラン 2009.10版」発表
追記
10月25日にTwitter上でRod Beckstrom氏が、potarooによる推測が現時点で最も精度が高く、自身の発言が悲観的であったと発言を訂正しています。
http://twitter.com/RodBeckstrom/status/5136626046
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