これならわかるネットワーク

2008/6/2-2

研究室の後輩が本を出しました。 超初心者向けなタイトルとは裏腹に結構ガッツリ書いてある本だったので、紹介させて下さい。

880円(税抜き)という価格帯の本の中では、私が知る中で一番しっかりと通信技術を解説している本だと感じました。 最初は軽いジャブから入り、インターネット通信を学ぶ人が最初に学ぶ事は一通り網羅してあります。

これを書いている著者は、学生時代に日本のIPv6アドレスの割り当てを行っていました。 彼は驚くほどの大食漢で「食欲大魔神」と呼ばれていました。 主にIPv6系の研究をしていて、博士(情報理工学)を東京大学で取得し、今は証券アナリストをやっているようです。 証券アナリストがTCP/IPを解説した本を出しているというのも、ちょっと面白いと思いました。

この本はかなり良く書かれているので、後輩が書いていなかったとしても人に勧めたい本でした。

ただ、一点難点を挙げるとすれば、タイトルが初心者向けなのに反して内容はちょっぴり深いです。 いかにもブルーバックスっぽいと言えるかも知れません。 どちらかというと、「インターネットの通信形態に関しては初心者だけどプログラミングやIT系の知識はある」ようなタイプの人向けかも知れません。

目次

参考までに、以下、目次です。


ネットワークとは?
 日常生活のなかの「ネットワーク」
 ネットワークとは「点と線の集合」
 ネットワークと情報交換
 意図電話−シンプルな通信ネットワーク
 通信ネットワークその1−郵便
 通信ネットワークその2−電話

インターネットはなぜ生まれたのか?
 インターネット誕生の背景
 ポール・バランのアイデア
 銀河系間ネットワーク
 パケットの誕生
 初のパケット交換ネットワーク
 ARPANETにむけて
 ARPANETでのパケット交換開始
 ARPANETデモンストレーション
 インターネットへの舵取り

インターネットの約束ごと、TCP/IP
 ブロードバンドの2つの通信方式
 プロトコルとは?
 インターネットの約束ごと:TCP/IP
 TCP/IPと階層構造
 メールの送受信−アプリケーション層
 仮想回線を生み出す−トランスポート層
 ネットワーク同士をつなぐ−ネットワーク層
 配送手段を提供−リンク層
 リンク層の主役、イーサネット
 デジタル信号を管理−物理層
 階層構造のメリットとエンド・ツー・エンドの原則

インターネットの郵便番号、IPアドレス
 識別子としてのIPアドレス
 ルーティングと識別
 IPアドレスにおけるホスト部とネットワーク部
 IPアドレス割り当て
 クラス別IPアドレス割り当ての行き詰まり
 可変長サブネットマスク
 経路集約の問題点と次世代IPへの要求
 ネットワークアドレス変換

情報のバケツリレー、ルーティング
 ルーティングとフォワーディング
 インターネットにおける透過性
 もっとも単純なルーティング、静的ルーティング
 動的ルーティングへの要求
 RIP−ディスタンスベクター型ルーティングプロトコル
 RIPによるループ
 ディスタンスベクター方式からリンクステート方式へ
 ダイクストラのアルゴリズム
 OSPFは万能か?
 ドメイン間ルーティング
 ドメイン間ルーティングプロトコルのスタンダード、BGP
 プロバイダの拠点、IX

インターネットの電話帳、DNS
 DNSはなぜ必要か
 名前変換の原則
 インターネット初期の名前解決:HOST.TXT
 集中から分散−HOST.TXTからDNSへ
 分散とドメインツリー
 名前が解決されるまで
 端末での名前解決機能−リゾルバ
 DNSとルーティング
 リソースレコード
 DNSの光と影

インターネットの渋滞とTCP
 インターネットの渋滞とは?
 TCPの役割
 仮想回線の生成・遮断−接続の確立と終了
 TCPによる高信頼性の提供
 輻輳制御
 TCP高速再送アルゴリズムと高速リカバリーアルゴリズム
 渋滞を自律的に回避するTCP

インターネットのこれから
 4つの疑問の回答
 インフラとしてのインターネット
 インターネットの課題とこれから


おまけ

誤植発見!87ページ。個人的にちょっぴりヒットな誤植でした。

現在では、スイッチがこのCSMA/CDに相当する機能を実現しているので、コンピュータにCSMA/CDは必要ありませんが、共有ドリンクの場合、コストは低いものの、品質の管理は一対一リンクと比べると困難になるということは覚えておいてください。

恐らく、「シェアードリンク」と元々書いていて、「シェアー」を「共有」に置き換えて「ドリンク」になったのではないかと推測しました。 こういうちょっとした誤植って全て潰すのは難しいですよね。。。

私も、ブログで短い駄文を書くだけでもひたすら誤変換やその他変な表現を入れてしまいます。 監訳をしたときも、色々と誤植を埋め込んでしまい第2版で色々修正をお願いしました。

第2版が出るぐらい売れて修正を出来るといいですね!

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