Interop Tokyo 2008にブロガーという立場で参加して思ったこと
今回「ブロガー」という立場でプレス登録をしたうえでInterop Tokyo 2008に行きました。 (本日も17時までやっていますが、私が参加したのは11日と12日の二日間です)
事前インタビューも行きました。
- IPv4アドレス枯渇についてNTT Communicationsさんに聞いて来ました
- ルータ/スイッチの仮想化についてJuniper NETWORKSさんに聞いてきました
- Layer 0とLayer 1についてPanduitさんに聞いてきました
学生時代は舞台裏で参加し続けて、会社に入ってからは一般来場者になって、今度はプレスとして参加したInteropでした。 ケーブルを作ったり、Flukeを持って走り回ったり、telnetやpingをしまくっていた人物が、いつの間にかカメラを持って歩き回る人物に変化したわけです。
同じイベントでも立場が変わると視点ががらりと変わるのだと、自分でも驚きました。
ブロガーというプレス
今回、ブロガーという立場の個人がプレスとして登録して参加したのはInterop史上初でした。 今回プレス室に居たブロガーは私一人だけでした。
Interopに限らず、企業へのインタビューに「ブロガー」として行くと、大抵「弊社ではこのような形の取材は初めてです」というようなコメントを頂きます。 イベント会場においても、プレスの腕章をつけながら「ブロガーです」と説明すると相手の脳内に「?」マークが浮かんでいるのが見えるような気がします。
今回、思ったのですが、恐らくブロガーというプレスは今までの普通のプレスの方々と違った生態をしているような気がします。 そして、今後はブロガーという存在を意識した展示会が徐々に増えてくるのではないかと感じました。
CES 2008のBlogger Lounge
世界最大規模の展示会であるCESでは、今年からCES Blogger Loungeというものが出来たそうです(参考)。 ブロガー専用ラウンジでイベント情報と通信手段が用意されていたようです。
CESのドキュメントを見ると、プレスルームと分けてあるのが特徴的だと思います。 私も、規模が大きくなるのであれば恐らく分けた方が良いと思います。
ブロガーとプレスの違い
まず、ブロガーは一人で行動します。 カメラマンとライターに別れて行動したりしません。 また、文章の練り込み度合いも違う気がします(ただし人によりますし、一人で行動されているプレスの方も多いです)。
さらに、記事にする対象も異なる気がします。 今回オンラインメディアにて記事として掲載されていたものを拝見すると、普通のプレスの方々はある程度読者数が期待できるものを中心に狙って書いている気がします。 ブロガーは自分の好きな事や興味があるものをメインに追いがちだと思われます。 人によっては非常にマニアックな題材ばかりを記事にします。
さらに、インタビュー時の質問も違うと思います。 あまりに細かい質問をしてしまい、「プレスの方なんですよね?」と何度か聞かれました。 (ご迷惑をおかけしました。すみませんでした。。。)
全体的にかもし出す雰囲気も違うような気がします。 ブロガーが多数集まると、知り合い同士でワイワイガヤガヤと長時間仲良く話を始めると思います。
あと、出入りする頻度も違うかも知れません。 ブロガーの方が出たり入ったりが多いかもしれません「UPしたら、じゃあ次へ」という感じで「いけるだけ行こう」という感じになりそうです。 単一の企業が行うブログイベントではテーマは一つですが、展示会ではテーマは大量に転がっています。 出展社の数が多ければ、それだけテーマが増えますし、各出展社が複数の展示を行う事もあります。 そのような場では、「時間が許す限り上限なく書き続けよう」という考えを持つブロガーが出現するかも知れません。
ブロガーを展示会に呼ぶ利点
ブロガーが展示会で記事を書きやすい環境を整えたり、ブロガーが記事を書くために展示会に行きたくなるような雰囲気を整える事によるメリットは以下のようなものがあると思われます。 主に運営者的視点だとどうだろうという考え方で書いています。
- 展示会前に展示会自体が話題になる可能性がある
- 多少マニアックな題材も取り上げられやすくなる
- ニッチな分野へのアピールになる可能性がある
- 出展社へのプレスアクセスが行き渡りやすくなり、出展するモチベーションが上昇するかも知れない(出展によるマーケティング効果上昇)
- ブログで話題⇒大手メディアに掲載というパスも存在する
一方、欠点もあります。 (以下の欠点の一部はブロガーをプレスとして招かなくても発生する可能性はあります)
- 悪い事を書かれてしまう可能性もある
- 間違った情報が流れる可能性がある
- 「プレス」登録を許可する範囲を決めるのが難しい
- 出展社が今よりも非常に多くの「プレス」を相手にしなければならなくなる
- 運営者は考慮する要素が増える
利点や欠点、運用方法などは経験を積みながら徐々に運営主体が色々と試していくのだろうと思います。
日本とアメリカではブログそのものの世界が違うように、展示会とブロガーの関係も日本とアメリカでは違った運用が出来上がっていくのではないかと思われます。 (そもそも日本ではブロガーがプレスとしてイベント内で活動する事が一般化しない可能性もあります。)
足で集める情報
私が文章を書くとき、普段はWeb上にある情報を元に文章を書くことが多いです。 しかし、直接会って話をしながらでなければ得られないものも多いと改めて感じました。
業界の知人から直接聴く話は深さが違います。 例えば、10年前からその世界の専門家である知人は、その世界にその後10年いるわけで当時よりもより深く色々知っています。 また、大枠では同じ業界だとしてもそれぞれ微妙に違った分野を専攻していたりするので、様々な方々の話を伺うと結果的に広く色々な事が見えます。 聞いた話を直接的に書くわけではないにせよ、ネタを探すための新しい方向性や視点は増えます。
また、あまりうまく説明はできないのですが、現場に顔を出して挨拶をするというのも私は大事だと思っています。
TIPS
まだ日本ではブロガーがプレスの一部として展示会に行くという事があまり一般的では無いと思いますが、来年〜数年後ぐらいから徐々に一般化するのではないかと勝手に予想しています。
まあ、自分用メモ程度に今回思ったTIPSを以下に示します。
脚立
各社プレスの方々は小型の脚立を使っていました。 記事を書くための写真を撮影するときに、人ごみを避けて撮影したい場合や高いところに掲載されている看板を撮影しようと思うと必要になります。 持ち運び可能な形態のものが良いと思われます。 来場者の方々の邪魔にならないように、さりげなく脚立を使うには経験が必要そうです。 (でも、そこら中で色々な人が脚立を使い出したら邪魔になりそうですね。。。)
フラッシュ
室内はフラッシュが必要になる場面が多いです。 通常の一丸レフカメラに最初からついているフラッシュでは力不足だと思われます。 狭い部屋では、天井に向けられるタイプのフラッシュが使いやすいような気がします。
行きたい展示はあらかじめ調べた方が良い
例えば、数百社(もしくはそれ以上)がブースを設営しているような大規模展示会では、見て周るだけでかなりの時間が取られます。 限られた時間内に撮影、インタビュー、構成、出稿(投稿)を行いたいのであれば、どこで何を見たいかをあらかじめ絞っておくと良いかも知れません。
撮影許可腕章は目立つように
イベント会場全体が撮影禁止という場合も多いです。 そのような場合、プレス室等で撮影許可腕章を借りることになります。 これを目立つ場所につけていないと、「ここ撮影禁止だよな?」というヒソヒソ声が後ろでしたりします。
服装はラフ過ぎない方が良いと思う
ある程度常識の範囲内の服装で撮影を行った方が良い気がします。 ブロガーという立場で展示会場を周るのであれば、一人で行動する事が多いと思います。 あまりにラフな格好をしてカメラを持っていると結構怪しく見えるかも知れません。
ただ、展示会の内容にも左右されるかも知れません。 例えば、Interopはネクタイ姿の来場者が多めですが、来場者の大半がTシャツになるようなイベントでは、それに即したドレスコードでもOKかも知れません。
また、いかにもテレビ局っぽい機材を持っていればラフな格好でも「ああプレスの方々だ」と思ってもらえるかも知れません。
撮影禁止の場所もある
いくらプレス登録をしていても撮影が好ましくない場所もあります。 撮影や掲載が許可されるかどうか怪しいケースだと思ったら、運営者に質問をしてみるということも可能です。 ただし、運営者側もイベント中は忙しいです。 疑問に思った場合、そもそも撮影や掲載をしないという手もあります。
最後に
多くのブロガーがプレスの腕章をつけて展示会内を行き交う世界は来るのでしょうか?
実際にやってみると初めて気がつく視点というものもあり、自分が全くの素人であると思い知らされる事も多々ありました。 今後色々と経験を積む必要があるなぁと思った今日この頃です。
最近のエントリ
- 「ピアリング戦記」の英訳版EPUBを無料配布します!
- IPv4アドレス移転の売買価格推移および移転組織ランキング100
- 例示用IPv6アドレス 3fff::/20 が新たに追加
- ShowNet 2024のL2L3
- ShowNet 2024 ローカル5G
- ShowNetのローカル5G企画(2022年、2023年)
過去記事