ビデオ編集ソフトLoiLoScopeが斬新過ぎる
未踏プロジェクトの成果物であるLoiLoScopeが斬新過ぎます。 ビデオ編集ソフトと言えば、画面に広がるタイムラインとプルダウンメニューが浮かびますが、LoiLoScopeは今までのものとは全く違ったUIです。 LoiLoScopeのキーワードとしては、無限平面とマウスジェスチャによる操作だと感じました。 また、通常のビデオ編集ソフトのようにレンダリング時に待たされるという状態を可能な限り減らし、リアルタイムに様々な作業が行われる「超高速処理」も目玉だそうです。
今回は、LoiLoScopeを開発している株式会社LoiLoさんにお邪魔してきました。 自称ブログ取材コーディネータのGOGA社小山社長に紹介して頂きました。
LoiLoScope概要
LoiLoScopeの特徴は今までのビデオ編集ソフトとは似ても似つかないところです。 ドラッグ&ドロップやマウスジェスチャでの操作がメインです。
操作用の画面も今までとは全く違います。 作業は「無限平面上」で行われます。
以下の画像はLoiLoScopeのスクリーンショットです。
LoiLoScope動作
まず、LoiLoScopeにインポートしたいメディアファイルをドラッグドロップします。 すると、サムネイルがあわられます。
そのサムネイルを動かしたり、つなぎ合わせたりというのが基本動作になります。
中でも特徴的なのが、サムネイルを無限平面上で「投げて」仕分けできるところです。 色々と雑多に入っている映像サムネイルを「あっち」や「こっち」という感覚でマウスを使って「投げる」ことが可能になります。
投げたものは、加速して「飛んで」行き、ある程度移動すると減速して止まります。 後で、「投げた」サムネイル達を仕分けして編集する事が可能です。
「投げる」という動作は非常に大きな机の上でカード(書類)を仕分けするような感覚です。 投げる方向というのが「想い」です。 例えば、現実世界の机の上を整理するときに「これは財務の書類」「これはプライベート」などのように複数ある書類を場所で仕分けすることは一般的ですが、その概念を映像編集に持ち込んでいます。
編集は「タイムライン」を生成することによって行います。 編集作業中に「レンダリングによって待たされる」ということが無いところもLoiLoScopeの特徴です。 再生を行いながら、同時に色々と変更することが可能なので、再生しながらの調整ができます。
サムネイル・タイムラインをクリックすると画面センターにきて、選択されます。 画面上部にいくと、ツールバーが現れて、その中にエフェクトがあります。 ツールバー中のエフェクト上をマウスでホーバーすると仮にエフェクトがかかります。 仮エフェクトをかけたり、外したりしている間も途切れることなく再生を行えるのも特徴です。
ダブりクリックで決定し、サムネイル/タイムラインにエフェクトがかかります。 エフェクトをたくさん追加しても再生は止まりません。
最終的に編集結果を保存したり、YouTubeへ投稿したりすることが可能です。
解説ビデオ
YouTubeに投稿されている解説ビデオです。 ビデオで動作を見ると、全体的な動作や操作画面のイメージがわかりやすいです。
動作詳細
ズーム
無限平面上にあるサムネイルをクリックするとズームできます。 ホイールマウスでグリグリやってもズームイン/ズームアウトが可能です。 画面全体が1ピクセルを表すまで、どこまでもズームできます。 ダブルクリックで全画面表示も可能です。
何もないところをクリックで全体をフォーカスします。
マグネット
「投げた」後のサムネイルを「マグネット」を使って引き寄せて集める事が出来ます。 マグネットを使うと、同じような方向に投げた複数のサムネイルを一々クリックしてまわらなくても、引き寄せて集めてくれます。 マグネットは、通常の映像編集ソフトのプレイリストのような役目も果たしています。
マウスホバー
様々な細かい動作にはマウスホバーやクリックで行います。 例えば、サムネイル/タイムラインを選択後、エフェクトアイコンにマウスホーバーすると仮にエフェクトがかかって、プレビューできます。 可能な限り従来のようなメニューバーを減らしてあるので、映像編集に慣れていない初心者には使いやすいかも知れません。
専門的なツールを使っていると、どうしてもショートカットを多用するようになってきます。 LoiLoScopeでは、ショートカットをできるだけ使わないように作ったそうです。
YouTube機能
YouTubeへの投稿機能が非常に楽になっているそうです。
ID,パスワード,タイトル,解説,タグ等を入力するとYouTubeへの投稿を行ってくれます。 さらに、YouTubeのファイルサイズ上限である100MBに対して最適化した圧縮を自動的に行ってからYouTubeへのアップロードも行います。
入手方法
現状では、まだ発表していないそうです。
そろそろクローズドベータをリリースするとのことでした。 どうしても、クローズドベータ版を入手してすぐに試してみたい方はメールを下さいとの事でした。
Q: どういう問題意識でLoiLoScopeを作ったのでしょうか?
株式会社LoiLo杉山竜太郎氏に伺いました。 以下、杉山氏による回答です。
私は元々映像編集していました。 SEGAでゲームを作っていたのですが、ゲームに登場する映像の編集をしていました。
今の映像編集ソフトは編集中の素材を選び、タイムラインへ切り出したカットを直でタイムラインに入れることしかできません。 一度編集してたものを複数並べてどれがいいかを比較検討するには向いていません。
例えば、ソニックのパンチがあります。 ゲームキャプチャでパンチしたものがあるのですが、いいパンチにも色々あります。 頭の中でそれぞれの「イイ」パンチを覚えていくのは大変です。 シーンとパンチの親和性を考えるときなどに、比較しながらちょっと再生してみるのが簡単なソフトが欲しいと思っていました。
私流の作り方が、まずジャンル毎にタイムラインに集めて、そのタイムラインを複製して、比較していいものを並べるという作業フローに定着していきました。
そのような経験もあって、編集ツールを作るときに仮で置いておくところが欲しいと考えました。 「仮で集める」という感じでしょうか。 自由な場所で置いておきたい、自由なところでプライオリティを考えたい、集めたものの中でプライオリティを考えたい、同じようなものを一塊にしてその中からいいものを選びたい、そう考えました。
従来型のタイムラインは横にバーっと並べるだけで、いくつかを比べて選ぶのには適していません。 一方、LoiLoScopeのような無限平面上ではたくさんのところに色々と並べられます。
さらに、現在の映像・画像編集ソフトウエアは、遅すぎるという問題意識もありました。 何かをする度にレンダリング時間を待たされるのが嫌でした。 「映像制作をもっと快適に、もっと面白くしたい!」と思ったときに、レンダリング時間を全く感じさせない超高速な「ノンレンダリング」にしたかったのです。
このような想いからLoiLoScopeを作りました。
最後に
お忙しいところ、お時間を頂きありがとうございました。
まだ、発表前のクローズドベータ版には多少のバグなどもありそうですが、今後が非常に楽しみなソフトだと思いました。 頑張ってください!
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