お金を払ってでも人の足を引っ張りたいか?
「Are People Willing to Pay to Reduce Others' Incomes?, Annalesd'Economie et de Statistique, July/December 2001, 63-64, 39-65」という論文がありました。 お金を払えば他人の財産を削減できるというゲームでどれだけ人が他人の財産を削る事に尽力するかを実験しています。 英国オックスフォード大学での実験です。
誤読などが含まれている可能性があるので、論文を是非ご覧下さい。 以下の文章の間違い等を発見された方はご指摘頂ければ幸いです。
実験内容
実験の概要は以下のようなものです。
- ゲームの経過と共に保持する金額にばらつきを持たせ、不公平な状態を作り上げる。
- 何度か個別に賭け事を行わせる。
- 途中で一部の被験者に対して特別収入を与える。
- 最終的に全被験者の取得金額が表示される。
- 匿名で他人のお金を「焼く」事ができる。ただし、自分のお金も同時に焼かれる。
- 他人のお金を「焼く」のに必要な対価は様々な数値で行われる。
- 「嫉妬」に対して人がどれだけの対価を払っていくのかに着目している。
- ゲームが終わったら各被験者が顔を合わせないように外へ誘導、その際に結果を換金。
結果としては、多くの被験者が他人のお金を「焼いた」そうです。 「焼く」ためのコストが25%(他人の100を焼くのに25が必要な状態)以下までは「焼く」ためのレートに関わらず被験者の6割前後が、他人の収入を減少させる行動に出たそうです。 観測された「焼かれた」レートは7%〜90%と書いてありました。
持っている金額が低い人ほど他人のお金を「焼き」、焼くときの基準として重要だったのは「そのお金が"不当に"高く得られたものかどうか」だったと記述してありました。 また、全体の結果から収入が1位だった人が最も標的になり、2位、3位と「焼かれる」数は増えているようです。
全員で競い合っているわけではないので、他人のお金を「焼く」という行為にはメリットがありません。 自分が得る収入を減らしてまで被験者の多くが「他人の足を引っ張った」という実験結果は、興味深いものです。
論文中の参考文献を見ると「嫉妬」に関しての論文も色々あるんですね。 なお、今回紹介した論文にも続きがあるようですが、まだ読んでいません。
その他
Oswald教授のページとZizzo教授のページに記載されているその他論文等も面白そうでした。
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