レベニューシェア注意点
「1,000万円のサイト構築費を50万円に抑える方法」 という記事がありました。 私が趣味でやっていることは「レベニューシェア」と言うのか!という発見が新鮮でした。 (参考:制作費を受け取らないWebクリエイターは実現可能か?、プレコ専門店とWebサイトを共同制作)
今のところ半年ぐらいやっていますが、何となく思ったところをまとめてみました。 私の視点は、個人もしくは小規模なWeb技術者がレベニューシェアをやってみるという視点です。 Web担当者さんの記事とは恐らく前提が違うので、ご注意下さい。
1. コミュニケーションが重要
レベニューシェアという形態だと、発注と受注のような明確な役割がありません。 極端な言い方をすると、一緒に仲良くやろうという感じです。 (「仲良く」の内容が例えば収入の折半だったりしますがそれは契約や約束次第になります。)
そうすると、どちらが意思決定をするかというのも曖昧になる瞬間が出てきます。 発注者が決まっていれば意思決定者が明確ですが、両方が意思決定者であると、意見が分かれたときに暗礁に乗り上げるかもしれません。
発注/受注の関係でもコミュニケーションは大事ですが、レベニューシェア方式ではさらにコミュニケーションの重要度が上がるのではないかと思います。
2. 相手にやる気を出してもらう必要がある
発注/受注の関係だと、両者ともにやる気を出さないという選択肢はありません。 しかし、レベニューシェアは成果が出るまで時間がかかります。 そのため、開始前に〆切を明確にしておかないと、途中でやる気をなくしたり、あきらめてしまう可能性があります。
極端な話、コンテンツを持っている側は「やらせてあげてる」という立場になってしまうかもしれません。 すぐに成果が出ないと、成果がすぐ出るものや、お金をかけているその他のプロジェクトを優先的に処理し始めてしまうかも知れません。 そうすると、「今、忙しいから」といってあまり相手にしてくれなくなる可能性があります。
逆に、技術者側にも同じことが言えます。 レベニューシェアをしながら、普通に受注もしているとお金の入り方が明確な受注側を優先してしまうかもしれません。
3. 終了方法を明確にする必要がある
当初想定していた成果を達成できそうになかったり、提携相手と継続的に作業を続けるのが困難であるなど、様々な理由で提携を終了したくなることもあり得ます。 終了条件や方法を最初から規定していないと、紛争になってしまいます。
提携を終了するときに、今までのデータ(コンテンツ)はどうなるのかというのは重要な課題です。 争いにならないように、開始時に明確に規定するようにした方が良いと思われます。
4. 作り損にならない仕組みを考える必要がある
タダで作らされて、サイトが出来上がったら「サヨウナラ」では割があわな過ぎです。 また、ある程度運用し続けて利益が出たとしても、開始後3年で契約を切られて全部持っていかれたりすると嫌な気分になれます。 契約などで明確にするというのも重要ですが、サーバの管理/運用/アクセス権を誰が持つのかというのが重要になってきます。 (ユーザデータ管理なども同様。)
逆に、発注する立場から見ると、サーバ全般のアクセス権を全く承諾されないと自分の意図しないコンテンツを迅速に削除したり出来ないなどの問題点も発生するので、サーバ管理権を明確にしておいた方が良いと思われます。
5. 組む相手を発見するのが難しい
「誰と組んで、何をするか?」それを発見するのが難しいです。 「これだ!」と思うフィールドがあったとしても、そのフィールドで組みたいと思う相手を発見しなくてはなりません。
発見できたとしても、相手に趣旨を理解してもらって賛同してもらわないといけません。
レベニューシェアの場合、組む相手は自分とは全く異なる分野に住む人になると思われます。 業界用語や常識が全く異なる2つの世界が融合しているような状況になるので、最初は言葉が通じないと思った方が良いでしょう。 時間をかけて、お互いの前提を理解しあう必要があると思います。
6. 組む相手で8割方決まるかも
レベニューシェアが成功するか(継続できるか)どうかは、相手の選び方で決まると思われます。 例えば、自分が個人なのに、大規模な相手と提携してしまうと安い外注として扱われてしまうかも知れません。 相手の人柄が自分に合わないと、やる気をなくしてしまうかもしれません。 コンテンツ保持者側のコンテンツが、そもそもマニアックすぎてマーケットがなければ、シェアするレベニューがないかも知れません。
最後に
注意点として後ろ向きなことばかりを書いてしまいましたが、私が趣味でやっているレベニューシェアもどきは色々実験や経験になっていて楽しいです。 念のため。
仮に、今のところ利益は月に数千円ぐらいです。 ほとんどAdsense収入です。 あはははははは、という感じですね。
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