まずは「このプログラムダメだ」と言われることを目指す

2007/2/1

最初に。 ここでの話は、個人でプログラムを書いて公開したり、Webアプリとして誰でも使えるように公開している場合を想定しています。 無名なところからソフトウェアを育てていくには、ダメだと言われるフェーズを通るのではないかと漠然と考えました。 そのため、企業などが行うサービスや市販されるソフトウェアは範疇外です。

ダメだと言ってもらう

最近、私はソフトウェアを公開するときには、まずは「このプログラムはダメだ」とか「ここが使いにくい」とか言われる事を目指しています。 これは駄目なものを目指して作っているわけではありません。 どうしても駄目な部分が発生してしまうのです。

大規模な組織で、何を作るかを考える人と、どうやって作るかを統括する人と、実際に作る人と、出来上がったものをチェックする人と、その他サポートスタッフが潤沢にある組織ならば、公開した瞬間に良いものを作れるかも知れませんが、個人でソフトを作ってそれを公開する場合には最初から完璧なものは作れません。 個人で作っている場合、製作者の趣味が色濃く出てしまいます。 例えば、ユーザビリティよりもコードの美しさや動作速度ばかりに注目してしまったり、ある程度の技術的な知識が無いと意味がわからない入力項目ができあがったりします。 さらに、何をしたいかよりも何を使って作りたいかが先行している場合も良くあります。

このため、公開して、使ってもらってフィードバックをもらわないとソフトウェアは成長していかないと思われます。 よくよく考えれば、大手企業でも永遠のベータ版とか言っていたりしますし。

ダメだと言われるまでのハードル

ダメであるという表現を耳にするということは、使った誰かが心に留めるのではなく、わざわざ手間をかけて作者にソフトウェアの欠点を教えてくれているということです。 人に苦言を呈するのは意外に嫌なものです。 また、伝えるにはメールを書くなど、多少の手間が発生します。 それでも意見を伝えてくれるということは、そのユーザは私のソフトウェアが改善されることを期待してくれている可能性が高いです。

ユーザからの意見が来るまでには大きなハードルがあります。

1. そもそも、ソフトウェアの存在を知ってもらうこと。誰も知らないソフトウェアは誰からも批判されません。
2. ソフトウェアを試してもらうこと。
3. ソフトウェアのコンセプトや動作など、どこかを気に入ってもらうこと。再度使いたいと思わないソフトウェアは欠点を見つけてもスルーする場合が多いと思われます。
4. こうなっていればもっと良いのにと感じてもらうこと。
5. フィードバックをしよう!と思ってもらうこと。
6. 実際にフィードバックを送ってもらうこと。

これらのハードルを越えてフィードバックは送られてきます。 実際に、フィードバックをくれる人というのは非常に少ないです。 例えば、数百人が毎日見るようなWebサービスに明らかなバグがあってみんな気が付いていても、なかなか教えてくれなかったりします。

まあ、もちろん、的外れな指摘などもありますが、多くのフィードバックは有意義だと思われます。 このような高いハードルを越えて来たフィードバックは大切にしたいと思いつつ、限られた趣味の時間はブログの記事を書いたりしていて、なかなか実際に行動に移せない今日この頃です。 反省。

Appendix : カスと言われる場合

ソフトウェアを使ってみる前から期待していたけど、期待を裏切られて「ダメだ、カス、ゴミ」と言われてしまう場合もあると思います。 ソフトウェア発行元が元々知名度があったり、前バージョンのユーザが多かったり、前バージョンが好評だったり、前バージョンと使い方が大きく変わったりした場合に良く発生すると思われます。

既に知名度がある組織等がソフトウェアをリリースする場合は、無名な個人と違って非常に高いレベルを当然の事とされてしまうのが大変なところですね。 カスと言われないためにも、市場に出す前に十分なテストをしておくのが理想ですが、理想を本当に実現できない場合も (ry。

逆に、理想を実現できたとしても、あまり褒めてもらえないというのもつらいところだと思います。 超ウルトラ凄い場合には絶賛されますが、普通に良く出来ている場合には「当たり前」と思われてしまいます。 わざわざ「普通に使えるよ。バグが出ないのは凄いね。」と言ってくれるユーザは皆無です。 開発者と一般ユーザのギャップですね。。。

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